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Chapter13(辻堂編)
Chapter13-⑤【星空の誘惑】
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サーファーのどす黒い肌は丸で黒いキャットスーツを纏っている様だ。
黒光りする肌は恍惚とさせた。
黒く光沢する物に異常なくらい欲情する。
ブラックレザー、ラバー、そして日焼けした肌然りだ。
ここまで黒い肌とマラにはお目にかかった事がない。
汗に光るどす黒いガタイに酔い痴れた。
突然、ドアが開く。
四人は蜘蛛の子を散らす様に四隅に離れる。
「お客さん達、そろそろ閉店だから、宜しくお願いしますよ。」
店員がうんざりした調子で言う。
名残惜しいが、露天風呂から出る。
脱衣所に戻ると、カケルがフルチンのまま頭を拭いていた。
まだ半起ちで、周囲を挑発している様だ。
「これ着替え。サイズが小さ過ぎて着てないんだ。
ヤマトさんならギリ着れると思う。」
俺に気付いたカケルがウェアを手渡す。
タンクトップだと思って着ると、Tバック型のワンピースだった。
鋭角の切れ込みに、背中がぱっくり開いている。
生地は極めて薄く、乳首も腹筋も透けていた。
慌てて、パンツを手に伸ばす。
しかしスパッツも薄手で、Tバックの食い込みがはっきりと透けて見えた。
「やっぱりどんぴしゃだ。
めっちゃエロいぜ。」
カケルが満足げに頷く。
カケルも同じ様な組み合わせで、黒いワンピースと赤いスパッツだ。
「この格好で二人して銭湯行くのが夢だったんだ。」
はにかんだ笑顔に大きく頷く。
この感情はフェチ同士にしか分からない。
好きな顔が10人に1人、欲情する身体が10人に1人、フェチが一致するのは10人に1人程度だ。
そうすると、全ての条件が揃うタイプは千人に1人となる。
夢が叶うタイプと知り合う確率はかなり低いのが現実だ。
表に出ると少しだが風もあり心地好い。
「海まで歩こうか?
折角憧れてたシチュエーションだ。
このまま帰るのは勿体ない。」
カケルが嬉しそうに言う。
さすがに深夜になると、海岸通りの人も疎らだ。
「ボードウォークに行ってみるか?」
カケルが手を引く。
「ボードウォークって何?」
聞いたことのない名前だった。
「防砂林の中の遊歩道なんだ。
木製だから地元の奴はそう呼んでいる。
この時間なら、きっと発展しているぜ。」
カケルは淫靡な笑みを浮かべる。
ボードウォークは月光に照らされて、思いの外明るい。
風で木々が揺れる度に、ドキッとする。
肝試しの趣だ。
こんな状態では、とても勃起しそうもない。
カケルから離れない様、ピッタリくっついて歩く。
前方から帽子を目深に被った男が歩いて来る。
ジョギングウエアの装いだが、走っている様子はない。
よくこんな場所に一人で歩けるものだと感心する。
結局、30分も歩くと数人と擦れ違った。
カケルが急に立ち止まる。
「ヤマトさん、あそこ見てみろよ。」
奥の木立を指差す。
微かな呻き声が聞こえ、重なり合う影が見える。
呻き声が一段と大きくなり、やがて影は分離した。
一方の影が近寄ってくる。
「なんだカケルか!
変なところ見られちゃったな。」
その影が声を掛けてきた。
「やっぱりアキラか。相変わらず盛んだな。」
顔見知りらしく、カケルが挨拶を返す。
アキラと呼ばれた男はラグパンにタンクを着たガチムチ体型だ。
「お前だって、しっかりやっているじゃん。
しかもマッパ同然の格好でさ。」
アキラがニヤニヤしながら二人を交互に見た。
「ところでケイスケの話は聞いたか?」
アキラの視線が俺で止まる。
どうやら聞かれたくない話らしい。
アキラとカケルが声を潜めて話し出したので、少し距離を置く。
「ヤマトさん、ちょっと込み入った話なんだ。
悪いけど、先に家に戻っていて。」
戻ってきたカケルが申し訳なさそうに鍵を出す。
「うん、分かった。」
鍵を受け取ると、不安を抱きながら来た道を戻る。
もう丑三つ時に近い。
恐怖感は募るばかりだ。
前方から人影が近付いて来た。
しかしどんなに近付いても人影は影のままだ。
「えっ、顔なし!」びっくとする。
直前で笑った口元から、白い歯だけが見えた。
銭湯のサーファーだった事に安堵する。
(つづく)
黒光りする肌は恍惚とさせた。
黒く光沢する物に異常なくらい欲情する。
ブラックレザー、ラバー、そして日焼けした肌然りだ。
ここまで黒い肌とマラにはお目にかかった事がない。
汗に光るどす黒いガタイに酔い痴れた。
突然、ドアが開く。
四人は蜘蛛の子を散らす様に四隅に離れる。
「お客さん達、そろそろ閉店だから、宜しくお願いしますよ。」
店員がうんざりした調子で言う。
名残惜しいが、露天風呂から出る。
脱衣所に戻ると、カケルがフルチンのまま頭を拭いていた。
まだ半起ちで、周囲を挑発している様だ。
「これ着替え。サイズが小さ過ぎて着てないんだ。
ヤマトさんならギリ着れると思う。」
俺に気付いたカケルがウェアを手渡す。
タンクトップだと思って着ると、Tバック型のワンピースだった。
鋭角の切れ込みに、背中がぱっくり開いている。
生地は極めて薄く、乳首も腹筋も透けていた。
慌てて、パンツを手に伸ばす。
しかしスパッツも薄手で、Tバックの食い込みがはっきりと透けて見えた。
「やっぱりどんぴしゃだ。
めっちゃエロいぜ。」
カケルが満足げに頷く。
カケルも同じ様な組み合わせで、黒いワンピースと赤いスパッツだ。
「この格好で二人して銭湯行くのが夢だったんだ。」
はにかんだ笑顔に大きく頷く。
この感情はフェチ同士にしか分からない。
好きな顔が10人に1人、欲情する身体が10人に1人、フェチが一致するのは10人に1人程度だ。
そうすると、全ての条件が揃うタイプは千人に1人となる。
夢が叶うタイプと知り合う確率はかなり低いのが現実だ。
表に出ると少しだが風もあり心地好い。
「海まで歩こうか?
折角憧れてたシチュエーションだ。
このまま帰るのは勿体ない。」
カケルが嬉しそうに言う。
さすがに深夜になると、海岸通りの人も疎らだ。
「ボードウォークに行ってみるか?」
カケルが手を引く。
「ボードウォークって何?」
聞いたことのない名前だった。
「防砂林の中の遊歩道なんだ。
木製だから地元の奴はそう呼んでいる。
この時間なら、きっと発展しているぜ。」
カケルは淫靡な笑みを浮かべる。
ボードウォークは月光に照らされて、思いの外明るい。
風で木々が揺れる度に、ドキッとする。
肝試しの趣だ。
こんな状態では、とても勃起しそうもない。
カケルから離れない様、ピッタリくっついて歩く。
前方から帽子を目深に被った男が歩いて来る。
ジョギングウエアの装いだが、走っている様子はない。
よくこんな場所に一人で歩けるものだと感心する。
結局、30分も歩くと数人と擦れ違った。
カケルが急に立ち止まる。
「ヤマトさん、あそこ見てみろよ。」
奥の木立を指差す。
微かな呻き声が聞こえ、重なり合う影が見える。
呻き声が一段と大きくなり、やがて影は分離した。
一方の影が近寄ってくる。
「なんだカケルか!
変なところ見られちゃったな。」
その影が声を掛けてきた。
「やっぱりアキラか。相変わらず盛んだな。」
顔見知りらしく、カケルが挨拶を返す。
アキラと呼ばれた男はラグパンにタンクを着たガチムチ体型だ。
「お前だって、しっかりやっているじゃん。
しかもマッパ同然の格好でさ。」
アキラがニヤニヤしながら二人を交互に見た。
「ところでケイスケの話は聞いたか?」
アキラの視線が俺で止まる。
どうやら聞かれたくない話らしい。
アキラとカケルが声を潜めて話し出したので、少し距離を置く。
「ヤマトさん、ちょっと込み入った話なんだ。
悪いけど、先に家に戻っていて。」
戻ってきたカケルが申し訳なさそうに鍵を出す。
「うん、分かった。」
鍵を受け取ると、不安を抱きながら来た道を戻る。
もう丑三つ時に近い。
恐怖感は募るばかりだ。
前方から人影が近付いて来た。
しかしどんなに近付いても人影は影のままだ。
「えっ、顔なし!」びっくとする。
直前で笑った口元から、白い歯だけが見えた。
銭湯のサーファーだった事に安堵する。
(つづく)
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