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Chapter5(沖縄クニシゲ編)
Chapter5-⑥【Feel Like The First Time】
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「狭いけど、ここに座ってくれ。」
男はスペースを作り、勧めてくれた。
「俺はクニシゲ。
仲間からはクニと呼ばれてる。
彼氏と一緒みたいだけど、名前を聞いても大丈夫かい?」
褐色の顔から白い歯が零れる。
「俺はタクミです。
相方が熟睡中でやはり暇してた。」
釣られて笑ってしまう。
近くで見ると、褐色の肌にサソリのタトゥーが隠れていた。
振り上げた尻尾が今にも襲ってきそうだ。
その胸のタトゥーに見覚えがある。
「もしかしてクニさんって、昔ビデオに出てなかった?」
ストレートに聞いてみる。
「見た事あるか?
もう10年以上前になるけどな。
覚えていてくれて嬉しいよ。」
クニが照れながら頷いた。
忘れる訳がない。
あれは高一の夏休みだ。
隣町まで自転車を走らせた。
中古ショップのアダルトコーナーへ、息を殺して入る。
父親の服を借り、老けた印象を装って来た。
誰もいないフロアを見て、やっと息を吐き出す。
片隅にゲイビデオが数本置いてある。
そのひとつが『覆面マッスル!』だった。
タイトルを見ただけで、どうしてもそのビデオが欲しくなる。
ここに来る前はゲイビデオであれば何でも良かった。
しかし今はそのタイトル以外は目に入らない。
心臓が高まり、伸ばした手が震えた。
人が入ってくると慌てて引っ込め、手に取るのも難儀だ。
なかなか買う勇気が出ず、1時間近くその場で躊躇する。
そして最大の勇気を振り絞って、レジへ向かう。
会計を済ませると、逃げる様に店を後にした。
もどかしい思いでサドルに跨ると、立ったままペダルを踏んだ。
高一の俺にはその映像は衝撃的だった。
レザーの覆面を被った色黒マッチョが白いスパッツ1枚でベンチプレスをしている。
股間はローションで濡れ、マラがくっきり浮き出ていた。
そこに体育会系マッチョが現れ、白いスパッツを脱がす。
極小のビキニの焼け跡に興奮した。
乳首クリップのチェーンを引っ張られて、雄叫びをあげる。
馬鹿デカいディルドでケツを拡張され、最終的にはフィストで悶え狂う。
モザイクは掛かっていたが、迫力は満点だった。
始めて見たゲイビデオに衝撃は計り知れない。
その覆面マッチョの大胸筋にはサソリのタトゥーがあった。
タトゥーを入れたい願望が芽生えたのもこのビデオがきっかけだ。
俺の全ての原点といっても過言ではなかった。
憧れのモデルが今、目の前にいる。
「ビデオが擦れ切れる程見ました!
DVDで復刻版が出た時は即購入しました!
それ以来…。」
興奮した口が勝手に動く。
「そうか、最初はまだビデオだったな。
焼きながら話して良いかい?」
クニの視線がオイルに向く。
「勿論いいっすよ。
塗りましょうか?」
脇にあったオイルのボトルに手を伸ばした。
「なら頼むかな。
跡が付くの嫌なんで、焼く時は全裸なんだ。
構わないか?」
クニの手がビキニに掛かる。
10代の頃、モザイク越しに想像したマラが、目の前に現れた。
「ゴクッ!」
俺は生唾を飲み込んだ。
(つづく)
男はスペースを作り、勧めてくれた。
「俺はクニシゲ。
仲間からはクニと呼ばれてる。
彼氏と一緒みたいだけど、名前を聞いても大丈夫かい?」
褐色の顔から白い歯が零れる。
「俺はタクミです。
相方が熟睡中でやはり暇してた。」
釣られて笑ってしまう。
近くで見ると、褐色の肌にサソリのタトゥーが隠れていた。
振り上げた尻尾が今にも襲ってきそうだ。
その胸のタトゥーに見覚えがある。
「もしかしてクニさんって、昔ビデオに出てなかった?」
ストレートに聞いてみる。
「見た事あるか?
もう10年以上前になるけどな。
覚えていてくれて嬉しいよ。」
クニが照れながら頷いた。
忘れる訳がない。
あれは高一の夏休みだ。
隣町まで自転車を走らせた。
中古ショップのアダルトコーナーへ、息を殺して入る。
父親の服を借り、老けた印象を装って来た。
誰もいないフロアを見て、やっと息を吐き出す。
片隅にゲイビデオが数本置いてある。
そのひとつが『覆面マッスル!』だった。
タイトルを見ただけで、どうしてもそのビデオが欲しくなる。
ここに来る前はゲイビデオであれば何でも良かった。
しかし今はそのタイトル以外は目に入らない。
心臓が高まり、伸ばした手が震えた。
人が入ってくると慌てて引っ込め、手に取るのも難儀だ。
なかなか買う勇気が出ず、1時間近くその場で躊躇する。
そして最大の勇気を振り絞って、レジへ向かう。
会計を済ませると、逃げる様に店を後にした。
もどかしい思いでサドルに跨ると、立ったままペダルを踏んだ。
高一の俺にはその映像は衝撃的だった。
レザーの覆面を被った色黒マッチョが白いスパッツ1枚でベンチプレスをしている。
股間はローションで濡れ、マラがくっきり浮き出ていた。
そこに体育会系マッチョが現れ、白いスパッツを脱がす。
極小のビキニの焼け跡に興奮した。
乳首クリップのチェーンを引っ張られて、雄叫びをあげる。
馬鹿デカいディルドでケツを拡張され、最終的にはフィストで悶え狂う。
モザイクは掛かっていたが、迫力は満点だった。
始めて見たゲイビデオに衝撃は計り知れない。
その覆面マッチョの大胸筋にはサソリのタトゥーがあった。
タトゥーを入れたい願望が芽生えたのもこのビデオがきっかけだ。
俺の全ての原点といっても過言ではなかった。
憧れのモデルが今、目の前にいる。
「ビデオが擦れ切れる程見ました!
DVDで復刻版が出た時は即購入しました!
それ以来…。」
興奮した口が勝手に動く。
「そうか、最初はまだビデオだったな。
焼きながら話して良いかい?」
クニの視線がオイルに向く。
「勿論いいっすよ。
塗りましょうか?」
脇にあったオイルのボトルに手を伸ばした。
「なら頼むかな。
跡が付くの嫌なんで、焼く時は全裸なんだ。
構わないか?」
クニの手がビキニに掛かる。
10代の頃、モザイク越しに想像したマラが、目の前に現れた。
「ゴクッ!」
俺は生唾を飲み込んだ。
(つづく)
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