妄想日記7<<DAYDREAM>>

YAMATO

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Chapter2(テツオ編)

Chapter2-①【愛した日】

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荒縄で緊縛されたテツオが悶える。
だが晒を巻かれた口では言葉にならない。
ただ出てくるのは呻き声と涎だけだ。
 
「うわぁ!」
自分の声で目を覚ます。
まだ時計は六時になっていない。
トイレに行こうと、布団を捲る。
饐えた雄の臭いが充満していた。
 
下着を替え、再び布団に潜る。
だが眠気は訪れて来ない。
熱くなった股間が睡眠を妨げた。
そろそろとマラに手を伸ばす。
固くなったマラは他人の物の様だ。
事務的に扱き始める。
射精さえしてしまえば、再び寝れる筈だ。
だが一向にオーガズムに達しない。
縛られたテツオを想像する。
亀頭が膨らんだ。
そこを集中的に擦る。
だが快楽は訪れない。
気持ちは欲情しているのに身体は冷めていた。
こんな事は初めてだ。
『俺の身体は何を求めているんだ?』
 
「生憎の雨だ。
久し振りにグランドを疾走する姿を見せたかったのにな。」
「で、今日はどうするんだ?休み?」
「馬鹿言うな。
筋肉に休みなんかない。
野外で出来なければ、屋内で筋トレだ。
多少マッチョになったシオンを品定めするか。」
駅で待ち合わせしたテツオはフードを被ると、雨の町を闊歩した。
良く言えば豪快だ。
出会った頃は自分とは真逆の性格が新鮮で惹かれた。
だが慣れてくるとそれががさつに映り、デリカシーのなさに苛立ちを覚えたのだ。
再会した時はそんな負の面はすっかり忘れていた。
 
「俺は見てるだけでいいよ。」
トレーニングルームの入口で尻込みする。
「おりゃあ!」「もう一丁!」
中から聞こえる掛け声はとても人の物とは思えない。
怒声が交錯していたのだ。
「どうしてだ?普通ジムってこんなもんだろ?」
きょとんとしたテツオが真顔で聞く。
「ああ、ジャングルならね。」と嫌味で返す。
「おっ、ジャングルジムか。
上手い事言うな。」
嫌味も通じない相手に諦めるしかない。
 
「ねっ、本当にその格好でトレーニングするの?」
白いスパッツが大殿筋に張り付いている。
薄い生地は皮膚と同化していた。
「着ているだけマジさ。
中に入れば分かるぜ。」
勢い良くドアを開ける。
「お疲れっす!」「ちーっす!」
挨拶が飛び交う。
「今日は生憎の雨だ。
という事は筋トレ日和だ。
気合い入れてけ!」
「うっす!」返事をした男達を見て、度肝を抜かす。
皆、スパッツすら穿いてない。
ヨレヨレのラグバンやケツワレ姿の者もいる。
「どうせ直ぐに洗濯すんだ。
なるべく小さくて乾き易いの穿いてんだ。」
シオンは白昼夢を見ている気がした。
 
「だったらテツオも脱げばいいだろ?」
コンプレッションのロングスリーブを着ているテツオに言う。
「これはコーチの特権だ。」
『嘘だ!』心中で否定する。
見せたがりのテツオが長袖等着る訳がない。
『縄の跡を隠しているんだ!』
 
『ガッシャーン!』
雄叫びを掻き消す派手な音がした。
「すっ、すいません!」
ベンチで潰れた男が大声を発する。
ジム内が静寂に包まれた。
「いいもん、見せてやるよ。」
テツオはウインクすると、その男へ歩み寄る。
丸坊主の男はまだ幼さが残る顔立ちだ。
バーがのし掛かり、身動き出来ない。
サポートに立っている部員もフリーズしていた。
近寄るテツオを見詰める幼顔が引き攣っていく。
 
 
(つづく)
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