妄想日記7<<DAYDREAM>>

YAMATO

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Chapter1(シオン編)

Chapter1-⑦【As if in a dream】

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「ここは…。」
そのティッシュの意味は直ぐに分かった。
欲望に駈られた男達の残滓だ。
振り向くと同時に強烈な痛みを腹に感じる。
グローブをした拳が鳩尾に食い込んでいた。
「俺さ、こうしないと、射精出来ないんだ。」
ツグムは左手でぺニスを扱きながら、右手を引く。
その拳がまた腹筋を狙う。
後退しようとしたが、トイレの壁に阻まれた。
「おおっ、たまんねぇ!」
振り下ろした拳が腹に突き刺さる。
壁に挟まれ、諸にパンチを受ける羽目になった。
 
何が起こっているか分からない。
ただ痛みに腹を押さえ、膝を着く。
『あれっ、これって…?』
何処かで似たシーンを見た。
それが夢だと分かった時は手遅れだった。
 
「二発で終わりかよ。
まだまだ足んねぇんだ。」
無理やり立たされ、壁に凭れる。
そこで次々とパンチを浴びた。
「おっ、おっ、おおっう!」
雄叫びが闇夜に吸い込まれていく。
狂った性に支配されたツグムの拳が止まった。
仰け反った身体はフィニッシュに向かっているのだ。
 
シオンはその場にしゃがみ込む。
尻が冷たい事にも気が回らない。
ただ目の前で繰り広げられている映像をポカンと見詰めるだけだ。
『くっ、狂ってる!』
両肘に力を込め、起き上がろうとする。
『逃げなくちゃ!』
その瞬間、真っ黒なブーツが股間を捕らえた。
「おらっ、こうして欲しかったんだろ!」
ツグムの体重が乗ったブーツがマラを踏み潰す。
先程の吸殻の様に。
両手でブーツを掴む。
今迄に感じた事のない感覚を覚える。
それは何かに似ていた。
シチュエーションは違うが、自慰している時に近い。
罪悪感を覚えながらも、止められない。
『えっ、これで射精するの?』
自らに問い掛ける。
答は離した両手が語っていた。
 
「悪かったな。
ちょい調子に乗っちまった。」
悪戯を咎められた子供の様に謝る。
だがシオンの意識は別に向いていた。
「こんなプレイ出来る奴なんていなくてさ。
お前が居酒屋で俺のプレイを受け入れたからさ、もしかしてと思ったんだ。」
言い訳を聞き流す。
夢と逆の事が次々と起こる。
『あの夢は俺の願望ではなく、俺が受けたいプレイの表れだったのか?』
その考えに呆然とする。
少し変わった性癖だとは自覚はしていた。
『だがあの夢が俺の欲する物であれば?』
思わず身震いする。
隣でべらべら喋っている狂った男と同じではないか。
「でもよ、お前が射精したんで、マジ感動したんだ。
同じフェチと知り合えてさ。」
『一緒にするな!』
心中で叫ぶ。
濡れた下半身から発する汚臭も忘れた。
ただ怒りが全身を支配している。
 
「この臭いもたまんねぇよ。
正に雄の臭いだ。」
ツグムの手が尻を撫でた。
違和感に初めて失態を知る。
漏らした事実に愕然とした。
振り向き様に固めた拳でツグムの腹を狙う。
『打ち込むと同時に踏み込むんだ。』
夢の教えに従い、踏み込んだ足に体重を乗せる。
「うぐっ…。中々いいパンチだ。
だがな、素手で殴るな。
手首を痛めるだけだ。」
ツグムの言う通り、手首に鈍い痛みが残った。
「又やらないか?
月に一度、衝動が抑えきれなくなる。
その内、犯罪者になりそうで怖いんだ。」
シオンは手首を回しながら夜空を見上げる。もう東の方向は白み始めていた。
 
 
(つづく)
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