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YAMATO

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Chapter11(焦燥編)

Chapter11-⑬【真実】

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リビングに入って行くと、母親がうたた寝をしていた。
桃はいない様だ。
「ただいま。」
声を掛けると、母親はびっくりして飛び起きた。
「リョウちゃん、お勉強の合宿じゃなかったの?」
目を丸くして聞く。
「うん、そうなんだけど。
皆に付いて行けなかったんだ。」
リョウは肩を落として答える。
「まあ…。」
母親は二の句が出て来ない。
「やっぱりさ、勉強って日頃の積み重ねが、大切だって事が分かったんだ。」
リョウは力無く話し出す。
「でさ、塾に通いたいんだけど、いいかな?」
上目遣いで母親を見る。
「勿論いいわよ。
リョウちゃんも、やっとやる気を出してくれたのね!
イオリ先生のお陰かしら。
リョウちゃんはお父様の血を受け継いでいるの。
やる気さえ出せば、どんな大学にでも行けるわ。」
母親が喜々として言った。
「じゃあ、年明けから月謝をお願い。
それとそのイオリ先生には家庭教師を断っておいて。
日曜日も塾通いになりそうだから。」
リョウはそれだけ言うと、重いバッグを担いで二階に駆け上がった。
 
待ちに待った始業式の日になった。
学校が待ち遠しいなど、未だ曾て思った事がない。
トールのTバックを穿き、学生服を着こむ。
まだ星空の下、自転車に跨る。
部室の前に立つと、中の電気が点いていた。
音が出ない様にそっと開けて、中を覗く。
トールがロッカーに頭を突っ込み、何かを探している様だ。
リョウは一度ドアを閉め、改めて勢い良く開けた。
「あれ、先輩!
早いっすね!」
リョウはさも今気付いた風を装う。
「お、おう…。リョウか。
こ、今年もヨロシクな。」
明らかに動揺しているのが分かる。
「こちらこそ宜しくお願いします。
先輩も学校が始まるの楽しみにしてたんですね。」
リョウは何食わぬ顔で着替え始める。
ズボンを脱ぎ、態と尻を突き出す。
「あっ、それ!」
リョウの尻に食い込むTバックを見たトールが声をあげた。
「ああ、これっすか?
年末ここを掃除してたら、落ちてたんですよ。
こんな女みたいなの、穿く奴なんているんすね。」
リョウが機先を制する。
「そ、そうだな…。」
トールは出鼻を挫かれ、言葉が続かない。
「こんな女物を穿く変態は誰っすかね?」
リョウは笑いを堪えて、シングレットに着替えた。
 
今日は始業式だけで、授業はない。
午前中のホームルームが終わると、ダッシュで出口を目指す。
ウザいジュンヤに話し掛けるきっかけを与えない為だ。
 
「おい、三浦!ちょっと待て。」
 
担任に呼び止められた。
「はい、何ですか?」
怪訝な表情で、足を止める。
ジュンヤも何事かと、こちらを見ていた。
一旦、腕時計を見てから、教壇に向きを変える。
「進路のアンケートが出てないのは、お前だけだぞ。」
担任が眉間に皺を寄せた。
「あっ、忘れてました。」
リョウはペコッと頭を下げる。
「俺、映像関係の専門学校に行こうと思っています。
アンケートは明日提出します。」
呆気に取られた担任を尻目に、教室を飛び出す。
今日は投げを教えてくれると、トールが言っていた。
このTバックがある限り、トールはもう怖くない。
上手く行けば、言いなりにする事も可能に思えた。
シミュレーションは何通りもあるが、全て対応可能だ。
リョウは胸の高鳴りが抑え切れず、廊下を疾走する。
ぶつかりそうになった女生徒の悲鳴も、耳には入らなかった。
 
 
(完)
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