123 / 147
Chapter11(焦燥編)
Chapter11-⑨【J.Boy】
しおりを挟む
「これに着替えろ。」
ロッカールームに入ると、ソウイチロウからよそよそしさが消えた。
リョウは安堵の溜息を吐く。
着替え終わると、鏡の前に連れて行かれた。
メッシュ生地のシングレットで、身体が透けて見える。
「どうだ?
エロいだろ!
これは目が細かいから遠目には透けて見えないけど、近くから見ると…。」
ソウイチロウが子供の様に笑う。
「お前、Tバックなんか穿いているのか!」
見開いた瞳が透けた尻に留まった。
「こんなの男も穿くのかな?」
抱き続けていた疑問をぶつけてみる。
「あんまり穿かないけど、マッチョ系は愛好家が多いな。
内のビルダーにもたまにいるぜ。
ビルパンにもTバックがあるし。
まあ、ナルシストに多いな。」
ソウイチロウが説明してくれた。
トールの挙動を思い返すと、合点がいく。
ジムの広さは学校のトレーニングルームと大差ない。
ただ全面鏡張りになっている点が大きく違う。
鏡越しにトレーニングに没頭している男達が見える。
ボディビルダーを初めて見た。
「先ずはストレッチだ。」
ソウイチロウがマットを指差す。
柔軟体操しながら、視線はビルダー達を追ってしまう。
皆、ピチピチの縦縞スパッツに、ダボダボのタンクトップを着ていた。
タンクの脇から大胸筋が見える。
リョウのマラはTバックからはみ出していた。
「お前さ、少しは集中しろよ。」
ソウイチロウが文句を言う。
そうは言われても、初めての社会見学には刺激が強すぎる。
スキンヘッドのビルダーが鏡の前に立った。
スパッツを脱ぎ捨て、ポージングを始める。
小さなビルパンが辛うじて大殿筋に張り付いていた。
股間は最小限の布で被われているだけだ。
「ここで集中しろって方が無理だよ。
あの人のビキニって、凄く小さくない?」
リョウはビルダーの下半身から目を離せない。
「あれはビルダーパンツ。
通称、ビルパン。
ビルダーがコンテストの時に穿くんだ。
ここでビルパンを穿くのは会長くらいだけどな。」
最後は失笑となった。
「陰毛がはみ出してないけど、どうなってるの?」
ビルダーの股間に違和感を覚える。
「お前と同じさ。
皆、パイパンにしてるのさ。
ビルパンから陰毛出しているビルダーはまずいないな。」
ソウイチロウの一言一言が、リョウの耳へ刺激的に届く。
二人の所にビルダーがやって来た。
「ソウ、入会の方か?」
強面の男が仁王立ちで、二人を見下ろす。
リョウは目の前にある股間を凝視する。
「会長、お疲れっす!
はい、体験の方です。」
ソウイチロウに背中を押され、視線が逸れた。
「君は大学生か?」
会長に聞かれ、顔を上げる。
「い、いえ、高校生です。
ら、来年、三、三年になります。」
緊張のあまり吃ってしまう。
「えっ!」
ソウイチロウが一番驚いた様だ。
「ちょっと立ってみろ。」
鋭い視線に射抜かれた。
「う、うす!」
慌てて立ち上がる。
強面が身体を叩きながら、筋肉を確認していく。
「高校生でこれだけの筋肉なら、先が楽しみだ。
是非、内に来て、ボディビルしてみないか?」
厳つい顔が綻んだ。
「は、はい!」
思わず返事してしまう。
しかしレスリングと両立出来るか、自信はない。
「じゃあ、待ってるぞ。」
会長はそう言うと、ロッカールームへ消えて行った。
「お前、高校生だったのか?」
会長がいなくなると、ソウイチロウの質問が堰を切る。
「うん。ねぇ、トレーニング始めようよ。」
会長に褒められ、俄然やる気が沸いて来た。
「なら、最初はスクワットにするか。」
二人は空いていたパワーラックに向かう。
「おいらが手本を見せるから、良く見ておけ。
両足を肩幅に開いたら、バーを担ぐ。
胸を張って、ググッと腰を下ろす。
目線は若干上で、ケツを突き出すんだ。
この時、膝が中に入らないように注意しろ。
限界まで下ろしたら、元に戻す。
この繰り返しだ。」
ソウイチロウはバーを戻すと、振り返った。
リョウはソウイチロウの先にある鏡に目を向ける。
上気した頬を紅潮させた男が映っていた。
(つづく)
ロッカールームに入ると、ソウイチロウからよそよそしさが消えた。
リョウは安堵の溜息を吐く。
着替え終わると、鏡の前に連れて行かれた。
メッシュ生地のシングレットで、身体が透けて見える。
「どうだ?
エロいだろ!
これは目が細かいから遠目には透けて見えないけど、近くから見ると…。」
ソウイチロウが子供の様に笑う。
「お前、Tバックなんか穿いているのか!」
見開いた瞳が透けた尻に留まった。
「こんなの男も穿くのかな?」
抱き続けていた疑問をぶつけてみる。
「あんまり穿かないけど、マッチョ系は愛好家が多いな。
内のビルダーにもたまにいるぜ。
ビルパンにもTバックがあるし。
まあ、ナルシストに多いな。」
ソウイチロウが説明してくれた。
トールの挙動を思い返すと、合点がいく。
ジムの広さは学校のトレーニングルームと大差ない。
ただ全面鏡張りになっている点が大きく違う。
鏡越しにトレーニングに没頭している男達が見える。
ボディビルダーを初めて見た。
「先ずはストレッチだ。」
ソウイチロウがマットを指差す。
柔軟体操しながら、視線はビルダー達を追ってしまう。
皆、ピチピチの縦縞スパッツに、ダボダボのタンクトップを着ていた。
タンクの脇から大胸筋が見える。
リョウのマラはTバックからはみ出していた。
「お前さ、少しは集中しろよ。」
ソウイチロウが文句を言う。
そうは言われても、初めての社会見学には刺激が強すぎる。
スキンヘッドのビルダーが鏡の前に立った。
スパッツを脱ぎ捨て、ポージングを始める。
小さなビルパンが辛うじて大殿筋に張り付いていた。
股間は最小限の布で被われているだけだ。
「ここで集中しろって方が無理だよ。
あの人のビキニって、凄く小さくない?」
リョウはビルダーの下半身から目を離せない。
「あれはビルダーパンツ。
通称、ビルパン。
ビルダーがコンテストの時に穿くんだ。
ここでビルパンを穿くのは会長くらいだけどな。」
最後は失笑となった。
「陰毛がはみ出してないけど、どうなってるの?」
ビルダーの股間に違和感を覚える。
「お前と同じさ。
皆、パイパンにしてるのさ。
ビルパンから陰毛出しているビルダーはまずいないな。」
ソウイチロウの一言一言が、リョウの耳へ刺激的に届く。
二人の所にビルダーがやって来た。
「ソウ、入会の方か?」
強面の男が仁王立ちで、二人を見下ろす。
リョウは目の前にある股間を凝視する。
「会長、お疲れっす!
はい、体験の方です。」
ソウイチロウに背中を押され、視線が逸れた。
「君は大学生か?」
会長に聞かれ、顔を上げる。
「い、いえ、高校生です。
ら、来年、三、三年になります。」
緊張のあまり吃ってしまう。
「えっ!」
ソウイチロウが一番驚いた様だ。
「ちょっと立ってみろ。」
鋭い視線に射抜かれた。
「う、うす!」
慌てて立ち上がる。
強面が身体を叩きながら、筋肉を確認していく。
「高校生でこれだけの筋肉なら、先が楽しみだ。
是非、内に来て、ボディビルしてみないか?」
厳つい顔が綻んだ。
「は、はい!」
思わず返事してしまう。
しかしレスリングと両立出来るか、自信はない。
「じゃあ、待ってるぞ。」
会長はそう言うと、ロッカールームへ消えて行った。
「お前、高校生だったのか?」
会長がいなくなると、ソウイチロウの質問が堰を切る。
「うん。ねぇ、トレーニング始めようよ。」
会長に褒められ、俄然やる気が沸いて来た。
「なら、最初はスクワットにするか。」
二人は空いていたパワーラックに向かう。
「おいらが手本を見せるから、良く見ておけ。
両足を肩幅に開いたら、バーを担ぐ。
胸を張って、ググッと腰を下ろす。
目線は若干上で、ケツを突き出すんだ。
この時、膝が中に入らないように注意しろ。
限界まで下ろしたら、元に戻す。
この繰り返しだ。」
ソウイチロウはバーを戻すと、振り返った。
リョウはソウイチロウの先にある鏡に目を向ける。
上気した頬を紅潮させた男が映っていた。
(つづく)
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説







ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる