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YAMATO

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Chapter11(焦燥編)

Chapter11-⑨【J.Boy】

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「これに着替えろ。」
ロッカールームに入ると、ソウイチロウからよそよそしさが消えた。
リョウは安堵の溜息を吐く。
着替え終わると、鏡の前に連れて行かれた。
メッシュ生地のシングレットで、身体が透けて見える。
「どうだ?
エロいだろ!
これは目が細かいから遠目には透けて見えないけど、近くから見ると…。」
ソウイチロウが子供の様に笑う。
「お前、Tバックなんか穿いているのか!」
見開いた瞳が透けた尻に留まった。
「こんなの男も穿くのかな?」
抱き続けていた疑問をぶつけてみる。
「あんまり穿かないけど、マッチョ系は愛好家が多いな。
内のビルダーにもたまにいるぜ。
ビルパンにもTバックがあるし。
まあ、ナルシストに多いな。」
ソウイチロウが説明してくれた。
トールの挙動を思い返すと、合点がいく。
 
ジムの広さは学校のトレーニングルームと大差ない。
ただ全面鏡張りになっている点が大きく違う。
鏡越しにトレーニングに没頭している男達が見える。
ボディビルダーを初めて見た。
「先ずはストレッチだ。」
ソウイチロウがマットを指差す。
柔軟体操しながら、視線はビルダー達を追ってしまう。
皆、ピチピチの縦縞スパッツに、ダボダボのタンクトップを着ていた。
タンクの脇から大胸筋が見える。
リョウのマラはTバックからはみ出していた。
「お前さ、少しは集中しろよ。」
ソウイチロウが文句を言う。
そうは言われても、初めての社会見学には刺激が強すぎる。
スキンヘッドのビルダーが鏡の前に立った。
スパッツを脱ぎ捨て、ポージングを始める。
小さなビルパンが辛うじて大殿筋に張り付いていた。
股間は最小限の布で被われているだけだ。
「ここで集中しろって方が無理だよ。
あの人のビキニって、凄く小さくない?」
リョウはビルダーの下半身から目を離せない。
「あれはビルダーパンツ。
通称、ビルパン。
ビルダーがコンテストの時に穿くんだ。
ここでビルパンを穿くのは会長くらいだけどな。」
最後は失笑となった。
「陰毛がはみ出してないけど、どうなってるの?」
ビルダーの股間に違和感を覚える。
「お前と同じさ。
皆、パイパンにしてるのさ。
ビルパンから陰毛出しているビルダーはまずいないな。」
ソウイチロウの一言一言が、リョウの耳へ刺激的に届く。
二人の所にビルダーがやって来た。
「ソウ、入会の方か?」
強面の男が仁王立ちで、二人を見下ろす。
リョウは目の前にある股間を凝視する。
「会長、お疲れっす!
はい、体験の方です。」
ソウイチロウに背中を押され、視線が逸れた。
「君は大学生か?」
会長に聞かれ、顔を上げる。
「い、いえ、高校生です。
ら、来年、三、三年になります。」
緊張のあまり吃ってしまう。
「えっ!」
ソウイチロウが一番驚いた様だ。
「ちょっと立ってみろ。」
鋭い視線に射抜かれた。
「う、うす!」
慌てて立ち上がる。
強面が身体を叩きながら、筋肉を確認していく。
「高校生でこれだけの筋肉なら、先が楽しみだ。
是非、内に来て、ボディビルしてみないか?」
厳つい顔が綻んだ。
「は、はい!」
思わず返事してしまう。
しかしレスリングと両立出来るか、自信はない。
「じゃあ、待ってるぞ。」
会長はそう言うと、ロッカールームへ消えて行った。
 
「お前、高校生だったのか?」
会長がいなくなると、ソウイチロウの質問が堰を切る。
「うん。ねぇ、トレーニング始めようよ。」
会長に褒められ、俄然やる気が沸いて来た。
「なら、最初はスクワットにするか。」
二人は空いていたパワーラックに向かう。
「おいらが手本を見せるから、良く見ておけ。
両足を肩幅に開いたら、バーを担ぐ。
胸を張って、ググッと腰を下ろす。
目線は若干上で、ケツを突き出すんだ。
この時、膝が中に入らないように注意しろ。
限界まで下ろしたら、元に戻す。
この繰り返しだ。」
ソウイチロウはバーを戻すと、振り返った。
リョウはソウイチロウの先にある鏡に目を向ける。
上気した頬を紅潮させた男が映っていた。
 
 
(つづく)
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