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Chapter11(焦燥編)
Chapter11-⑦【NMB48】
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「おらっ、いつまで寝てるんだ。
起きろ!」ナリヒラの怒声が飛んだ。
リョウはゆっくり瞳を開く。
眩しさに目が慣れない。
本当に眠ってしまった。
身体が動かない。
部屋の真ん中で、椅子に固定されていた。
胴体が背もたれに括られている。
大胸筋に食い込む縄からナリヒラへ視線を移す。
実験器具の様な物を持っていた。
「これが何か分かるか?」
ナリヒラが器具を突き出す。
中が空洞で、大きな試験管にも見えるし、注射機の様にも思えた。
リョウは首を傾ける。
「これがお前の望んでいた吸引機だ。
これを毎日繰り返せば4、5センチはデカくなるぞ。」
口元に冷笑が浮かんだ。
この吸引機でリョウを苛め、気を晴らす気でいた。
『どんなに懇願しようと、決して射精させねぇ。
眠らせもしねぇ。
一晩中、寸止め地獄を味わうんだ。』
シリンダとコンプレッサをバキュームホースで繋ぐ。
ゼリー状の液体をペニスに塗りたくると、シリンダを被せる。
電源を入れると、コンプレッサが低く唸り出す。
シリンダの中が徐々に真空となり、中のペニスが膨張していく。
「うわぁ!あっ、あっ、ああ!」
初めて味わう吸引力に身体を仰け反らせている。
痛気持ちいい、その感触は圧倒的な快楽が伴っている筈だ。
吸引による膨張なのか、勃起しているのか分からない。
シリンダの側面に張り付く、グロテスクな一物が熱気で見えなくなる。
10分程度動かし続けると、顔を上に向け、小刻みに震え出した。
涎が溢れ、痙攣が止まらない。
それを合図にナリヒラはスイッチを切る。
静寂が訪れ、リョウの瞳が大きく開く。
「と、止めないで!」
上目遣いの懇願が気分を上げる。
「うるせぇ、休憩だ。」
ナリヒラはそう言うと、ビールを呷った。
「止めないで、止めないで…。」
譫言を繰り返すリョウを満足げに眺める。
スイッチを一瞬入れ、即座に切る。
リョウの一挙手一投足が面白おかしい。
『お前みたいなガキんちょの調教なんて、たわいねぇぜ。』
再びスイッチを入れ様とした時、ボタンが二重に見えた。
上半身がぐらつき、前のめりに倒れ込む。
クラブでアキラ達を待っている間、立て続けにビールを呑んだ。
『飲み過ぎたか…。』
薄れいく意識の中で後悔した。
リョウは椅子ごと倒れ、縄からすり抜ける。
受け身の練習が役に立ったと、ほくそ笑む。
足でナリヒラを小突いてみたが、起きる気配はない。
『ちょっと量が多かったかな?』
舌を出すと、来た時の服に着替える。
「じゃあ、これ貰って行くね。
メリークリスマス!」
ハーネスと吸引機をバッグに詰め込むと、玄関へ向かう。
ブーツの編み上げを丹念に結んだ。
スニーカーはもう入らないので、バッグからぶら下げた。
表に出ると、夜気が身体に纏まり付く。
リョウは鼻唄を口ずさみながら、階段を駆け降りた。
暗闇の中、公衆電話のボックスが浮かんでいる。
ポケットから紙を出し、間違いない様に番号を押す。
呼び出し音は続くが、相手は出ない。
仕方なく受話器を戻す。
リョウは宝物の入ったバッグを手に、難波へ向かう。
グリコの看板近くのドーナツ屋に入り、暖を取る。
薄いコーヒーに口を付ける。
暖かいコーヒーが身に染みた。
折角持って行ったビデオを使わなかった事に気付く。
『まあ、ソウイチロウに撮ってもらえばいいや。』
そう考えると、睡魔が一気に襲ってきた。
正面のヒョウ柄を着た女性はカウンターに突っ伏している。
掛け時計を見ると、4時半だ。
誘われる様に瞼を閉じた。
誰かに追い掛けられる夢で、ビクッとして目を覚ます。
辺りを伺うが、勿論知った顔はない。
安堵して温くなったコーヒーに口を付ける。
時計を見ると、7時に近い。
表に出たら、もう一度ソウイチロウに電話してみようと思った。
(つづく)
起きろ!」ナリヒラの怒声が飛んだ。
リョウはゆっくり瞳を開く。
眩しさに目が慣れない。
本当に眠ってしまった。
身体が動かない。
部屋の真ん中で、椅子に固定されていた。
胴体が背もたれに括られている。
大胸筋に食い込む縄からナリヒラへ視線を移す。
実験器具の様な物を持っていた。
「これが何か分かるか?」
ナリヒラが器具を突き出す。
中が空洞で、大きな試験管にも見えるし、注射機の様にも思えた。
リョウは首を傾ける。
「これがお前の望んでいた吸引機だ。
これを毎日繰り返せば4、5センチはデカくなるぞ。」
口元に冷笑が浮かんだ。
この吸引機でリョウを苛め、気を晴らす気でいた。
『どんなに懇願しようと、決して射精させねぇ。
眠らせもしねぇ。
一晩中、寸止め地獄を味わうんだ。』
シリンダとコンプレッサをバキュームホースで繋ぐ。
ゼリー状の液体をペニスに塗りたくると、シリンダを被せる。
電源を入れると、コンプレッサが低く唸り出す。
シリンダの中が徐々に真空となり、中のペニスが膨張していく。
「うわぁ!あっ、あっ、ああ!」
初めて味わう吸引力に身体を仰け反らせている。
痛気持ちいい、その感触は圧倒的な快楽が伴っている筈だ。
吸引による膨張なのか、勃起しているのか分からない。
シリンダの側面に張り付く、グロテスクな一物が熱気で見えなくなる。
10分程度動かし続けると、顔を上に向け、小刻みに震え出した。
涎が溢れ、痙攣が止まらない。
それを合図にナリヒラはスイッチを切る。
静寂が訪れ、リョウの瞳が大きく開く。
「と、止めないで!」
上目遣いの懇願が気分を上げる。
「うるせぇ、休憩だ。」
ナリヒラはそう言うと、ビールを呷った。
「止めないで、止めないで…。」
譫言を繰り返すリョウを満足げに眺める。
スイッチを一瞬入れ、即座に切る。
リョウの一挙手一投足が面白おかしい。
『お前みたいなガキんちょの調教なんて、たわいねぇぜ。』
再びスイッチを入れ様とした時、ボタンが二重に見えた。
上半身がぐらつき、前のめりに倒れ込む。
クラブでアキラ達を待っている間、立て続けにビールを呑んだ。
『飲み過ぎたか…。』
薄れいく意識の中で後悔した。
リョウは椅子ごと倒れ、縄からすり抜ける。
受け身の練習が役に立ったと、ほくそ笑む。
足でナリヒラを小突いてみたが、起きる気配はない。
『ちょっと量が多かったかな?』
舌を出すと、来た時の服に着替える。
「じゃあ、これ貰って行くね。
メリークリスマス!」
ハーネスと吸引機をバッグに詰め込むと、玄関へ向かう。
ブーツの編み上げを丹念に結んだ。
スニーカーはもう入らないので、バッグからぶら下げた。
表に出ると、夜気が身体に纏まり付く。
リョウは鼻唄を口ずさみながら、階段を駆け降りた。
暗闇の中、公衆電話のボックスが浮かんでいる。
ポケットから紙を出し、間違いない様に番号を押す。
呼び出し音は続くが、相手は出ない。
仕方なく受話器を戻す。
リョウは宝物の入ったバッグを手に、難波へ向かう。
グリコの看板近くのドーナツ屋に入り、暖を取る。
薄いコーヒーに口を付ける。
暖かいコーヒーが身に染みた。
折角持って行ったビデオを使わなかった事に気付く。
『まあ、ソウイチロウに撮ってもらえばいいや。』
そう考えると、睡魔が一気に襲ってきた。
正面のヒョウ柄を着た女性はカウンターに突っ伏している。
掛け時計を見ると、4時半だ。
誘われる様に瞼を閉じた。
誰かに追い掛けられる夢で、ビクッとして目を覚ます。
辺りを伺うが、勿論知った顔はない。
安堵して温くなったコーヒーに口を付ける。
時計を見ると、7時に近い。
表に出たら、もう一度ソウイチロウに電話してみようと思った。
(つづく)
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