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YAMATO

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Chapter10(覚醒編)

Chapter10-⑰【Hurry X'Mas】

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「リョウ、お前も汗掻け!」
トールが命令する。
「うす!」
リョウもズボンを下ろし、マラを扱く。
カウンターで耽るオナニーに、二人は日頃感じた事のないエクスタシーを覚えた。
恍惚としているトールに目を向ける。
リングで塞き止められたペニスは真っ赤に膨張し、美しいとさえ思えた。
衝動に抵抗しきれない。
「おお…、汗が出そうだ。」
トールの声が震えた。
リョウは肘で、態と割り箸を落とす。
それを拾う振りして、しゃがみ込む。
カウンターの下で暴発寸前のペニスを口に含んだ。
亀頭が膨らむのが分かる。
見上げると、見開いた瞳と搗ち合う。
舌で亀頭の回りを一周なぞる。
リョウは何事もなかった様にカウンターに腰掛けた。
トールの先走りを反芻し、再びオナニーに没頭する。
「お兄ちゃん達、そこの学校の生徒さんか?」
新聞を畳んだ親父が話し掛けてきた。
二人は手を止め、顔を見合わせる。
「はい、そうです。」
リョウが返事をする。
「こんな日まで部活か?偉いな。
これおじさんからのクリスマスプレゼントだ。」
二人の前に瓶のコークを置く。
「ありがとうございます。」
リョウは礼を言い、瓶に口を付ける。
ズボンを戻したトールも一気に飲んだ。
汗を連呼したので、気を使ったのかもしれない。
飲精は出来なかったが、満足感を得る。
トールのゲップを合図に店を出た。
 
リョウは自転車を押しながら、トールの脇を歩く。
悶々としたトールの気配が、犇々と伝わってくる。
「リョウ、水泳部でもチンポを舐めてたのか?」
トールが前を見ながら聞く。
「いや、初めてっす。
先輩のチンポがあまりにも素晴らしかったので、つい…。」
リョウは『素晴らしい』を強調する。
「そうか…。俺のチンポが素晴らしいか!」
トールが繰り返す。
「先輩はチンポだけじゃないっす!
その素晴らしい肉体は、水泳部にもいないっす。
いや、学校一じゃないっすか!」
リョウはトールのナルシスト心を巧に擽る。
「本当に思っているのか?」
トールは満面の笑みを浮かべると、リョウをヘッドロックした。
「い、痛いっすよ!」
嬉しげな悲鳴をあげる。
「銭湯でも寄って行かないか?」
手を離したトールが誘う。
「帰ったら、家族とクリスマスなんです。
残念だけど、今日は帰ります。
年明けにご一緒させて下さい!」
リョウは渋々断る。
「そうか…。仕方ないな。
なら新年、一発目の練習後に行こうぜ。」
トールが駅に向かって歩き出した。
「先輩!来年もヨロシクお願いします!」
リョウは深々と頭を下げる。
下を向いた口から舌を出した。
 
クリスマスなど嘘だった。
両親はクリスマスパーティーやイベントの梯子で、帰ってくるのは夜半過ぎだろう。
クリスマスは毎年、桃が買ってきてくれたケーキとチキンを食べるのが習慣となって
いた。
家族で過ごすクリスマスなど、記憶にはない。
それでも誘いを断ったのは、計算があったからだ。
トールは悶々として、帰って行った。
家に着いたら、即効オナニーに耽る筈だ。
初めてされたフェラチオが引き金となり、トールは捌け口のない欲望に翻弄される筈
だ。
きっと自分の事を考えながら、リングに締め付けられたペニスを扱くだろう。
もしかすると『リョウ!』と名前を呼ぶかもしれない。
「くっ、くっ、くっ…。」
想像すると、笑い声が零れた。
リョウは明日のクリスマスに想いを馳せる。
ナリヒラのマンションでのクリスマスが、気持ちを高ぶらせた。
リョウは自転車に乗り、ネオンで輝くイヴの町を疾走する。
初めてクリスマスが待ち遠しいと思えた。
 
 
(完)
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