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YAMATO

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Chapter10(覚醒編)

Chapter10-⑤【JEALOUSYを眠らせて】

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「くっそー!」
ジュンヤはベッドの上で悪態を吐く。
タクローに言われた一言が頭から離れない。
今日は室内練習日だった。
今までストレッチもフリーウェイトもパートナーはリョウだ。。
今日もトレーニングルームに入って来たリョウに手を挙げ、歩み寄る。
しかしリョウはジュンヤの脇を摺り抜け、マットの上にいたスグルに声を掛けた。
「ベンチプレスをするぞ。
ウェイト付けろよ。」
偉そうな口調で命令する。
「うっす、何キロにするっすか?」
スグルの張り切った声が背後から聞こえた。
呆然と立ち尽くし、振り返る事が出来ない。
そこにタクローが声を掛けてきた。
「寝取られたな。
必要な時は、俺がサポートしてやるよ。」
タクローが肩を叩く。
呪縛の解けたジュンヤは、空いていたラットプルマシンに座り込んだ。
 
『寝取られたな。』
その言葉が頭を駆け回る。
リョウとスグルが本当に肉体関係がある事を、タクローが知る訳がない。
抽象的な言葉として使ったに過ぎない。
しかし的を射られたジュンヤは穏やかでない。
「くっそー!」
同じ言葉が零れ出た。
『それにしてもリョウもリョウだ!』
ジュンヤの怒りの矛先がリョウに向く。
股間に手を伸ばすが、扱くには固さが足りない。
リョウとのセックスが失くなり、もう半月以上が経つ。
ヨウに手紙を出しても、数日過ぎた頃に短い返事が返って来るだけだ。
悶々としたジュンヤは、欲求に押し潰されそうだった。
 
日曜日、イオリが帰った後、ジュンヤは持て余した欲求のはけ口を探した。
プールの道具を持つと、自転車に跨がる。
部活で使うプールではなく、隣町の体育館を目指す。
あれこれ考えず、ペタルを漕ぐ事に集中する。
長い上り坂で息が上がるが、苦にはならない。
この先には緩やかな下り坂が待っているから。
いつも使うプールは25メールだが、ここは50メールある。
広い分、利用者も多い。
リュックから二枚の競パンを出す。
どちらもリョウがくれた物で、普段の練習で穿ける代物ではない。
一枚は黄色いハイドロで、濡れると透けてしまう。
竿も陰毛も丸見えになり、プールでは一度も穿いた事がない。
他方は透けはしないが、サイズがSSのため尻が半分以上はみ出す。
マラを真横に納めないと、飛び出し兼ねない。
ジュンヤはSSを選び、素早く穿き替えた。
シャワーを浴び、プールサイドに向かう。
意外と同じ様な競パンを穿いている人が多い事に驚く。
場違いさが失せた事に安堵し、小さな競パンを穿く男達を見詰める。
視線が合うと、ねっとりと絡み合う。
仲間だと分かるが、ジュンヤはドギマギして視線を逸らしてしまう。
いざとなると、行動に移せない。
頭を振って、邪心を追い出す。
そうしないと、勃起したマラが飛び出しそうだ。
真ん中のコースに下りると、一気に泳ぎ出した。
 
ジュンヤは水中の景色が好きだった。
音のない、ブルーな世界が現実を忘れるさせてくれる。
幾ら泳いでも疲労感は訪れてこない。
代わりに空腹感がやってきた。
ジュンヤはプールを上がると、ロッカーへ向かう。
途中で買った菓子パンにかじりつく。
あっという間にあんパンとカレーパンを平らげた。
ついでに小便して行こうとトイレに寄る。
入り口で出て来た奴とぶつかりそうになった。
「スグル!」ジュンヤは目を見開く。
「すみま…。」ジュンヤの声に、スグルの声が途切れた。
「スグル、何でここにいるんだ?」
来たばかりらしく、スグルは服を着たままだ。
「いや、あの、練習に…。」
スグルが消え入りそうな声で答える。
「んな事は分かっているさ。
練習以外にプールに来る奴なんていねぇよ。
じゃなくて、何でこの遠いプールに来たんだ?」
苛立ちながら聞き直す。
「俺、ここの近所なんです。
夏前に引っ越してきたんで。」
伏し目がちにスグルが訳を言った。
ジュンヤはその視線の先が、自分の股間に留まっている事に気付く。
『コイツ、俺のチンポを見てやがる。
リョウは今頃、先生と勉強している筈だ。』
スグルがひとりで来ている事は間違いない。
『一丁、からかってやるか!』
ジュンヤは欲望のはけ口をやっと見い出した。
 
 
(つづく)
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