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Chapter8(魔法使い編)
Chapter8-②【淋しい熱帯魚】
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「トレーニングはどれくらいのペースでやっているんだ?」
ヨウが蕎麦を啜りながら聞く。
「学校のトレーニング室には毎朝行ってます。」
リョウは視線のやり場に困り、蕎麦つゆの波紋を見詰める。
自分の貧乏揺すりが原因だとは直ぐに気付かなかった。
「リョウの筋力は高校生の中では断トツだもんな。
ジム・モンゴメリーみたいなダイナミックな泳ぎを目指せ。」
ヨウがリョウの上腕を叩く。
「…。」リョウは蕎麦だけを食べて、セットのカツ丼には手を付けていない。
喉がカラカラで食べ物が喉を通過しない。
「なんだ食わないのか?
だったら俺が食っちゃうぜ。」
ヨウは二つ目のカツ丼を一気に平らげた。
「しっかり食わないと、筋肉付かないぞ。」
笑顔のヨウが箸を置く。
リョウはこの笑顔の裏の淫らな姿を思い返す。
露天風呂のビデオを毎晩繰り返し見た。
露出不足で不鮮明な映像だ。
筋肉を震わせ、快楽に耽る裸体に欲情した。
「うがぁ!」
鮮明に記録された叫び声に亀頭が膨らむ。
ジュンヤを見ながら、興奮の対象はヨウだった。
それを認めたくない。
今、目の前にヨウを感じると、もう自分自身を欺けない。
『俺はヨウ先輩を欲している。』
今まで抱えていたジレンマの真の原因と向き合う。
「じゃあ、気をつけて帰れよ。」
駅まで送ってくれたヨウがリョウの手を握る。
「はい。」それだけ言うのが精一杯だ。
リョウは勇気が欲しかった。
ここで言いそびれたら、絶対に後悔する。
リョウは逆の手で拳を握り締める。
「せっ、先輩!今度、俺の泳ぎを見てくれないっすか?」
自分でも驚く程デカい声が出た。
「おう、いいぜ。」
あっさりした答えを空耳かと疑う。
電話番号を交換すると、ヨウが自転車に跨がった。
去って行く自転車が角を曲がるまで見送る。
リョウの膝の奮えは暫く収まらなかった。
リョウは家に着くと、露天風呂の映像に食らい付く。
ヨウの温もりの残る右手でペニスを握る。
もうジュンヤの姿は目に入らず、ヨウだけを追う。
リョウはヨウとの妄想セックスに没頭した。
もうヨウへの気持ちを抑え切れない。
映像をカメラで写し、何時もヨウを携帯した。
想いが募るのに伴い、ヨウへの傾斜が強まる。
朝のトレーニング時間を増やし、日曜日も府立体育館に出向いた。
伸びた陰毛に鋏を入れる。
出来れば剃りたいが、踏み切れずにいた。
ヨウのパイパンには憧れるが、部室での着替えを考えると決断しかねる。
リョウは通販で、コックリングとケツワレを購入していた。
『ヨウに近付きたい!』
これがリョウの切なる願いだ。
ヨウとの待ち合わせを明日に控え、動悸が高まる。
ベッドに入り目を閉じるが、眠気は一向に訪れてこない。
ペニスの浮かぶ競パンを思い描く。
ヨウの穿いていた透ける競パンがどうしても欲しかった。
しかしどこで売っているか、皆目見当が付かない。
先々でスポーツ店に立ち寄ってみたが、それらしき物は見付からなかった。
店員に聞いてみたいが、足と口は動かない。
「明日、先輩に聞いてみようかな…。」
それが出来ない事は、リョウ自身が一番分かっていた。
翌日、プールに行くとヨウは既にストレッチをしていた。
「お、おはようございます!」
リョウは緊張すると吃ってしまう。
「おう!あれっ?
またガタイがデカくなってないか?」
ヨウが筋肉をポンポンと触る。
リョウは顔を赤らめながらも、その感触を愉しむ。
この一言がトレーニングのモチベーションとなっていた。
「俺、モンゴメリーのビデオを何回も見たんだ。
で、一つ分かった事があるんだ。
お前、クロールに転向してみないか?
この筋力を活かすのはクロールが一番だ。
人間魚雷になっちまえ!」
ヨウが興奮気味にジムの通称で勧める。
『俺も先輩のビデオを何回も見たっすよ!』
リョウも胸中で叫ぶ。
「そろそろ上がろうか?
やっぱりこの筋肉はクロール向きだ。
鍛えれば鍛える程タイムが伸びるぞ!」
ヨウがセームタオルで身体を拭く。
今日も透ける競パンを穿いていた。
リョウは頭を拭く振りをして、股間を盗み見る。
「じゃあ、シャワー浴びに行こうぜ。」
ヨウが先を歩く。
プリッとした尻に透ける競パンが張り付いていた。
リョウは眩しげにそれを眺める。
水泳選手にとって最も重要な種目転向など上の空だった。
(つづく)
ヨウが蕎麦を啜りながら聞く。
「学校のトレーニング室には毎朝行ってます。」
リョウは視線のやり場に困り、蕎麦つゆの波紋を見詰める。
自分の貧乏揺すりが原因だとは直ぐに気付かなかった。
「リョウの筋力は高校生の中では断トツだもんな。
ジム・モンゴメリーみたいなダイナミックな泳ぎを目指せ。」
ヨウがリョウの上腕を叩く。
「…。」リョウは蕎麦だけを食べて、セットのカツ丼には手を付けていない。
喉がカラカラで食べ物が喉を通過しない。
「なんだ食わないのか?
だったら俺が食っちゃうぜ。」
ヨウは二つ目のカツ丼を一気に平らげた。
「しっかり食わないと、筋肉付かないぞ。」
笑顔のヨウが箸を置く。
リョウはこの笑顔の裏の淫らな姿を思い返す。
露天風呂のビデオを毎晩繰り返し見た。
露出不足で不鮮明な映像だ。
筋肉を震わせ、快楽に耽る裸体に欲情した。
「うがぁ!」
鮮明に記録された叫び声に亀頭が膨らむ。
ジュンヤを見ながら、興奮の対象はヨウだった。
それを認めたくない。
今、目の前にヨウを感じると、もう自分自身を欺けない。
『俺はヨウ先輩を欲している。』
今まで抱えていたジレンマの真の原因と向き合う。
「じゃあ、気をつけて帰れよ。」
駅まで送ってくれたヨウがリョウの手を握る。
「はい。」それだけ言うのが精一杯だ。
リョウは勇気が欲しかった。
ここで言いそびれたら、絶対に後悔する。
リョウは逆の手で拳を握り締める。
「せっ、先輩!今度、俺の泳ぎを見てくれないっすか?」
自分でも驚く程デカい声が出た。
「おう、いいぜ。」
あっさりした答えを空耳かと疑う。
電話番号を交換すると、ヨウが自転車に跨がった。
去って行く自転車が角を曲がるまで見送る。
リョウの膝の奮えは暫く収まらなかった。
リョウは家に着くと、露天風呂の映像に食らい付く。
ヨウの温もりの残る右手でペニスを握る。
もうジュンヤの姿は目に入らず、ヨウだけを追う。
リョウはヨウとの妄想セックスに没頭した。
もうヨウへの気持ちを抑え切れない。
映像をカメラで写し、何時もヨウを携帯した。
想いが募るのに伴い、ヨウへの傾斜が強まる。
朝のトレーニング時間を増やし、日曜日も府立体育館に出向いた。
伸びた陰毛に鋏を入れる。
出来れば剃りたいが、踏み切れずにいた。
ヨウのパイパンには憧れるが、部室での着替えを考えると決断しかねる。
リョウは通販で、コックリングとケツワレを購入していた。
『ヨウに近付きたい!』
これがリョウの切なる願いだ。
ヨウとの待ち合わせを明日に控え、動悸が高まる。
ベッドに入り目を閉じるが、眠気は一向に訪れてこない。
ペニスの浮かぶ競パンを思い描く。
ヨウの穿いていた透ける競パンがどうしても欲しかった。
しかしどこで売っているか、皆目見当が付かない。
先々でスポーツ店に立ち寄ってみたが、それらしき物は見付からなかった。
店員に聞いてみたいが、足と口は動かない。
「明日、先輩に聞いてみようかな…。」
それが出来ない事は、リョウ自身が一番分かっていた。
翌日、プールに行くとヨウは既にストレッチをしていた。
「お、おはようございます!」
リョウは緊張すると吃ってしまう。
「おう!あれっ?
またガタイがデカくなってないか?」
ヨウが筋肉をポンポンと触る。
リョウは顔を赤らめながらも、その感触を愉しむ。
この一言がトレーニングのモチベーションとなっていた。
「俺、モンゴメリーのビデオを何回も見たんだ。
で、一つ分かった事があるんだ。
お前、クロールに転向してみないか?
この筋力を活かすのはクロールが一番だ。
人間魚雷になっちまえ!」
ヨウが興奮気味にジムの通称で勧める。
『俺も先輩のビデオを何回も見たっすよ!』
リョウも胸中で叫ぶ。
「そろそろ上がろうか?
やっぱりこの筋肉はクロール向きだ。
鍛えれば鍛える程タイムが伸びるぞ!」
ヨウがセームタオルで身体を拭く。
今日も透ける競パンを穿いていた。
リョウは頭を拭く振りをして、股間を盗み見る。
「じゃあ、シャワー浴びに行こうぜ。」
ヨウが先を歩く。
プリッとした尻に透ける競パンが張り付いていた。
リョウは眩しげにそれを眺める。
水泳選手にとって最も重要な種目転向など上の空だった。
(つづく)
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