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Chapter7(朋友編)
Chapter7-③【虹】
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「ああ、俺はあれでいいと思ってる。
タクローは自分自身を律する事が出来る。
だからメンタルが強い。
デカい大会になるほど集中力が増すんだ。
お前達と違ってな。」
鈴木先生はヨウと残った生徒二人を順番に眺める。
「俺は未だにあのインターハイを悔やんでいるんだ。」
今度はヨウだけを見た。
「あの時俺はコーチに成り立てで、メンタル面のコーチングまで出来なかった。
悔やんでも悔やみきれない。
ヨウの水泳人生を潰したのは俺だ。」
鈴木先生が酒を煽る。
「止めて下さい。
先生の所為じゃあ、ないっすよ。
水泳を止めたのは俺自身が決めた事っすから。
あのまま続けても日本一になれた訳でもないし。
それに俺は今幸せなんです。」
ヨウはイオリを思い出し、明るく言う。
「お前、結婚するのか?
式には是非呼んでくれ。」
鈴木先生は勘違いし、夫婦のイロハを語り出した。
『何が結婚だ。
このパイパンゲイが!
この変態が伝説の先輩かと思うと腹立たしい。
制裁を加えてやる!』
ジュンヤが内心悪態を吐く。
「所詮夫婦は他人だ。
言っていい事と悪い事を見極めろ。
それが長続きする秘訣だ。
一度口を出た言葉は引っ込まないぞ。
そろそろお開きにするか。」
いい加減酔っ払った鈴木先生が話しを締め括った。
先生は千鳥足で襖を開ける。
「先生、大丈夫か?」
リョウが肩を貸す。
「悪いな。ヨウ、部屋で飲み直すぞ!」
鈴木先生が威勢良く言った。
「先輩。ちょっといいっすか?」
ジュンヤが声を掛けてきた。
「何だ?」ヨウは先生からジュンヤに視線を移す。
「実は明日の試合が不安なんです。
最後にフォームのチェックをお願いしたいんですけど。」
ジュンヤが理由を言う。
「それは構わないが、明日は選手以外プールに入れないからな。」
不安な気持ちは充分分かる。
「なので後程、風呂に来てもらえないっすか?」
ジュンヤの頼みは唐突だ。
「風呂でか?」ヨウが聞き返す。
「はい。是非お願いします。
11時に風呂で待ってます。」
ジュンヤはそれだけ言うと、先生の肩を逆側から支えた。
部屋割は鈴木先生とヨウ、生徒三人が一人部屋だった。
ジュンヤは11時が来るのをいらいらしながら待つ。
タクローは集中したいからと言って、ロビーに下りて行った。
リョウは布団の上でテレビを見ている。
「こいつら最近よく見るよな。」
バラエティ番組を見ながら、腹を抱えて笑っていた。
ジュンヤは持て余す時間を、ヨウへの制裁シナリオ作りに当てる。
「ちょっと風呂に行って来る。」
15分前になったので、ジュンヤはタオルを持って、部屋を出ようとした。
「俺も行こうかな。」
伸びをしたリョウも立ち上がる。
「俺も集中したいんだ。
悪いけど遠慮してくれ。」
つっけんどんに言い残し、部屋を出た。
大浴場の扉を開けると、案の定誰もいない。
時計を見ると、10分前だった。
動悸が激しいのが、自分でも分かる。
『落ち着け、落ち着くんだ。』
自分自身に言い聞かす。
ジュンヤは浴衣を脱ぎ、ブリーフ姿になる。
曇りガラスに人影が映る。
扉が開くと、赤ら顔のヨウが入って来た。
「よおっ!」
ジャージ姿でヨウは愛想よく声を掛ける。
「すんません。
疲れているのに呼び出しちゃって。」
ジュンヤが恐縮して言う。
「気にすんな。
俺が出来る事なら手伝うぜ。」
ほろ酔いで気が大きくなる。
ジュンヤはブリーフを脱ぎ、籠へ放った。
高校生にしては発達したペニスがだらりと垂れ下がる。
陰毛は競パンから出ない程度にカットしてあった。
「先輩、さあ行きましょう。」
ジュンヤが誘うが、ヨウはジャージに手を掛けられない。
「どうしたんすか?
先輩、脱がないんすか?」
ジュンヤが含み笑いを浮かべる。
「先に行っててくれないか?」
ヨウは動揺を隠し、冷静さを装う。
「別にいいじゃないっすか?
男同士だし。」
先に行く気配はなく、着替えを待っている。
『ケツワレなんか穿いてこなければ良かった。』
ヨウは後悔した。
(つづく)
タクローは自分自身を律する事が出来る。
だからメンタルが強い。
デカい大会になるほど集中力が増すんだ。
お前達と違ってな。」
鈴木先生はヨウと残った生徒二人を順番に眺める。
「俺は未だにあのインターハイを悔やんでいるんだ。」
今度はヨウだけを見た。
「あの時俺はコーチに成り立てで、メンタル面のコーチングまで出来なかった。
悔やんでも悔やみきれない。
ヨウの水泳人生を潰したのは俺だ。」
鈴木先生が酒を煽る。
「止めて下さい。
先生の所為じゃあ、ないっすよ。
水泳を止めたのは俺自身が決めた事っすから。
あのまま続けても日本一になれた訳でもないし。
それに俺は今幸せなんです。」
ヨウはイオリを思い出し、明るく言う。
「お前、結婚するのか?
式には是非呼んでくれ。」
鈴木先生は勘違いし、夫婦のイロハを語り出した。
『何が結婚だ。
このパイパンゲイが!
この変態が伝説の先輩かと思うと腹立たしい。
制裁を加えてやる!』
ジュンヤが内心悪態を吐く。
「所詮夫婦は他人だ。
言っていい事と悪い事を見極めろ。
それが長続きする秘訣だ。
一度口を出た言葉は引っ込まないぞ。
そろそろお開きにするか。」
いい加減酔っ払った鈴木先生が話しを締め括った。
先生は千鳥足で襖を開ける。
「先生、大丈夫か?」
リョウが肩を貸す。
「悪いな。ヨウ、部屋で飲み直すぞ!」
鈴木先生が威勢良く言った。
「先輩。ちょっといいっすか?」
ジュンヤが声を掛けてきた。
「何だ?」ヨウは先生からジュンヤに視線を移す。
「実は明日の試合が不安なんです。
最後にフォームのチェックをお願いしたいんですけど。」
ジュンヤが理由を言う。
「それは構わないが、明日は選手以外プールに入れないからな。」
不安な気持ちは充分分かる。
「なので後程、風呂に来てもらえないっすか?」
ジュンヤの頼みは唐突だ。
「風呂でか?」ヨウが聞き返す。
「はい。是非お願いします。
11時に風呂で待ってます。」
ジュンヤはそれだけ言うと、先生の肩を逆側から支えた。
部屋割は鈴木先生とヨウ、生徒三人が一人部屋だった。
ジュンヤは11時が来るのをいらいらしながら待つ。
タクローは集中したいからと言って、ロビーに下りて行った。
リョウは布団の上でテレビを見ている。
「こいつら最近よく見るよな。」
バラエティ番組を見ながら、腹を抱えて笑っていた。
ジュンヤは持て余す時間を、ヨウへの制裁シナリオ作りに当てる。
「ちょっと風呂に行って来る。」
15分前になったので、ジュンヤはタオルを持って、部屋を出ようとした。
「俺も行こうかな。」
伸びをしたリョウも立ち上がる。
「俺も集中したいんだ。
悪いけど遠慮してくれ。」
つっけんどんに言い残し、部屋を出た。
大浴場の扉を開けると、案の定誰もいない。
時計を見ると、10分前だった。
動悸が激しいのが、自分でも分かる。
『落ち着け、落ち着くんだ。』
自分自身に言い聞かす。
ジュンヤは浴衣を脱ぎ、ブリーフ姿になる。
曇りガラスに人影が映る。
扉が開くと、赤ら顔のヨウが入って来た。
「よおっ!」
ジャージ姿でヨウは愛想よく声を掛ける。
「すんません。
疲れているのに呼び出しちゃって。」
ジュンヤが恐縮して言う。
「気にすんな。
俺が出来る事なら手伝うぜ。」
ほろ酔いで気が大きくなる。
ジュンヤはブリーフを脱ぎ、籠へ放った。
高校生にしては発達したペニスがだらりと垂れ下がる。
陰毛は競パンから出ない程度にカットしてあった。
「先輩、さあ行きましょう。」
ジュンヤが誘うが、ヨウはジャージに手を掛けられない。
「どうしたんすか?
先輩、脱がないんすか?」
ジュンヤが含み笑いを浮かべる。
「先に行っててくれないか?」
ヨウは動揺を隠し、冷静さを装う。
「別にいいじゃないっすか?
男同士だし。」
先に行く気配はなく、着替えを待っている。
『ケツワレなんか穿いてこなければ良かった。』
ヨウは後悔した。
(つづく)
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