妄想日記2<<BEGINS>>

YAMATO

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Chapter7(朋友編)

Chapter7-②【匂艶 THE NIGHT CLUB】

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ヨウはプレッシャーを感じない予選や記録会では好成績を残した。
しかし少し大きな大会になると、力み過ぎて空回りに終わる。
そんなヨウが一度だけインターハイに出場する機会に恵まれた。
学校には横断幕が張られ、ヨウは一躍時の人となる。
サッカー部との掛け持ちもこの時ばかりは止め、水泳に集中した。
インターハイで記録を残せば推薦もあると、邪心が働く。
加減をしらないヨウは、がむしゃらに練習をした。
普段は練習にも出てこないヨウが、練習に明け暮れる。
顧問の鈴木先生も折角やる気を出したヨウを無理に止めなかった。
気持ちがあれば何とかなると信じていたのだ。
当日は緊張のあまり寝れなかった。
疲労と寝不足でヨウの泳ぎは精彩がない。
挙げ句の果て、試合で足が攣り、途中棄権する。
好成績を上げるどころか、記録すら残せなかった。
ヨウは一夜にして学校の人気者から笑い者に転落した。
 
「ジュンヤには同じ蹉跌を踏んで欲しくないんだ。」
鈴木先生の話しを聞いて、ヨウは自分が今日呼ばれた訳を知る。
それだけこのジュンヤに期待しているのだろう。
「敵は他の選手じゃない。
自分自身だ。
それを胆に銘じて、泳いでこい。」
鈴木先生は話しを締めた。
三人は思い思いに泳ぎ始める。
「悪かったな。嫌な事を思い思させて。」
鈴木先生がヨウの肩を叩く。
「もう忘れたっすよ。
おーい、バサロやってみろよ。」
ヨウは照れ隠しにプールの中のタクローに声を掛けた。
 
「チキショウ!
鈴木の奴、ふざけやかって!」
恥を掻かされたジュンヤは苛立ちを抑え切れない。
「そんなイライラすんなよ。
明日の試合で結果出せばいいんだし。」
リョウが宥める。
ジュンヤは泳ぎが乱れた理由を親友のリョウにも話していない。
ヨウの透けたハイドロが脳裡に焼き付き、動揺したのだ。
今も瞼を閉じると、その映像がハッキリと蘇る。
「チキショウ!」
ジュンヤはロッカーを蹴って、憂さを晴らす。
「じゃ、先に行くから。」
着替えの終わったタクローが出て行く。
「何だ、あいつ。
ここまで来ても単独行動か!」
ジュンヤのイライラは募るばかりだ。
「まあまあ、とにかく着替えろよ。
俺、シャワー浴びて来るよ。」
リョウは着替えを持つと、シャワーブースに消えた。
『何でこんなに苛立つんだ?』
独りになると、ジュンヤは自問自答する。
答えは分かっていた。
 
「じゃ先生、先に行ってて下さい。
シャワー浴びたら直ぐに戻るっすよ。」
外からヨウの声がした。
ジュンヤは慌ててシャワーブースに隠れる。
シャワーを全開にして、カーテンの隙間から覗く。
ヨウが入って来た。
鼻歌を口ずさんでいる。
誰もいないと思ったヨウは無防備だ。
競パンを脱ぎ、パイパンの睾丸にコックリングを嵌めている。
ケツワレを穿くと、ジャージを着込んだ。
「Night clubは男も濡らす…。」
その歌がドアの外に消えていった。
「えっ、ヨウ先輩がパイパン?
しかもリングにケツワレ?
もしかしてヨウ先輩も?」
ジュンヤは確信した。
熱いシャワーに頭を突っ込む。
「俺のKissはきっと痛いよ!」
いつしかジュンヤも鼻歌を口ずさんでいた。
 
夕飯は大広間の一画に用意されていた。
鈴木先生とヨウが昔話で盛り上がる一方で、生徒三人は黙々と食べている。
「先生、部屋でイメトレして来ます。」
箸を置いたタクローが立ち上がる。
「ああ、明日は頼んだぞ。」
ほろ酔い加減の鈴木先生が見上げて言う。
「はい。失礼します。」
頭を下げて、大広間から出て行った。
ヨウはポカンとして、タクローの後ろ姿を見送る。
「あれで大丈夫なんですか?」
タクローが消えた襖を見たまま質問した。
 
 
(つづく)
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