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YAMATO

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Chapter6(十三夜編)

Chapter6-⑤【秋、多摩川にて】

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「いや、イオリ君のスケジュールが押さえられて安心したよ。」
小肥りの編集者は頻りにハンカチで汗を拭く。
「いや、こちらこそ金沢さんには感謝してます。
こんな大きな仕事を任せてくれて。」
イオリは何度も頭を下げた。
「ちょっとスケジュール的に厳しいので、他の人には任せられないんだ。
イオリ君なら大丈夫だと編集長も安心しているよ。
急で悪いが、宜しく頼む。」
金沢が手を差し出す。
イオリはその湿った手をガッチリと握った。
かなりメジャーな作家の翻訳の依頼だ。
予定してたベテラン翻訳家が倒れ、急遽ピンチヒッターに抜擢されたのだ。
「もうすぐ昼だ。
イオリ君ランチでもどうだい?」
金沢は忙しなく手帳を捲る。
舐めた指で捲る姿に嫌悪感を抱く。
「今日は実家に戻るので、遠慮しておきます。
初回の打ち合わせの時は、是非ご一緒させて下さい。」
イオリは深々と頭を下げる。
「そっか、残念だな。」
金沢は手帳から視線を上げると、引き攣った表情を浮かべた。
「編集長に挨拶してから帰ります。」
イオリはその事には気付かない振りをして、席を立つ。
「キャップは今日は休みなんだ。
俺から伝えておくよ。
じゃあ、下までエスコートするよ。
最近、セキュリティが厳しいんだ。」
金沢は再度握手を求めた。
ヌルッとした手が必要以上に握ってくる。
イオリは不快さを覚えたが、顔には出さずに済んだ。
 
新宿に出て、私鉄に乗り換える。
電車に乗る前にトイレに寄り、ボディスーツに着替えた。
秋とは言え、汗ばむ陽気だ。
多少目立つがショートスパッツを穿いて、トイレを出る。
すれ違う人達の視線が、自分に留まるのが心地好い。
指定の駅で降りると、マサルが書いてくれた地図を頼りに歩き始める。
10分も歩くと、徐々に汗が浮かびだす。
住宅街を抜けると、多摩川の辺に出た。
川沿いは舗装されていて、サイクリングやジョギングする人とすれ違う。
ここまで来ると、イオリの格好でも違和感がなくなる。
少し歩くと、指定された標識を見付けた。
イオリはその下でマサルを待つ。
 
前方からサングラスをした男が走って来た。
剥き出しの筋肉に張り付いタンクトップとロングスパッツ姿だ。
遠目にもマサルだと直ぐに分かる。
近付くにつれ、股間のペニスの形がくっきりと見て取れた。
「待ったか?遠くからでもイオリ君だと分かったぜ。」
マサルが同じ感想を口にする。
こんな全裸に近い姿でジョギングするマサルに、イオリはゾクゾクする欲望を覚え
た。
「今来たばかりだよ。」
イオリはマサルの股間から目を離せない。
「そんなジロジロ見るなよ。
荷物は駅に預けて来たか?」
マサルもイオリを舐め回す様に見る。
「うん、コインロッカーに入れて来た。
で、ここでどうするの?」
イオリは辺りを見回す。
態々ここで待ち合わせした意図が読めない。
「よし、走ろうぜ。嫌か?」
マサルは意外な事を口にする。
「えっ?走るの?」
イオリは思わず聞き返す。
「ああ、走るんだ。
ただ普通に走ってもつまらない。
こうするんだ。」
マサルはウエストポーチからベビーオイルを取り出す。
それをイオリの身体に降り注ぐ。
「うわぁ!ど、どうする気?」
イオリは慌てふためく。
「こうやって伸ばすのさ。」
マサルは両方の掌で、満遍なくオイルを伸ばす。
薄い生地は瞬く間にオイルを吸い取り、透け具合が増した。
「スゲェな!丸でマッパだ。
めちゃエロいぜ!」
マサルは満足げにイオリを眺める。
濡れたスパッツは股間に張り付き、巨根を露わにした。
「俺も同じ様にしてくれ。」
マサルがボトルを差し出す。
 
 
(つづく)
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