妄想日記2<<BEGINS>>

YAMATO

文字の大きさ
上 下
48 / 147
Chapter5(楽園編)

Chapter5-⑥【RESPECT the POWER OF LOVE】

しおりを挟む
「これからホテルに行くか?」
真っ赤な顔をしたソウイチロウが聞く。
あまり酒には強くない様だ。
「それは次回に取っておくよ。
別に行きたい場所があるんだ。
一緒に行ってくれない?」
イオリは自身のアナルに言い聞かす。
「行きたい場所って、どこだ?
発展場でもSMクラブでも、どこでも行ってやる。」
ソウイチロウは空のジョッキを置くと、更にビールを頼む。
「観覧車に乗りたいんだ。」
イオリは温くなったシャンディガフに口を付ける。
もう泡は浮かんでこない。
「か、かんらんしゃ?
野郎二人でか!」
ソウイチロウが素っ頓狂な声をあげた。
「声がデカいよ!」
イオリは周りを見回し、ソウイチロウを宥める。
「あんなもん、高校生くらいしか乗ってねぇぜ。」
口の周りにビールの泡を付けたまま、ソウイチロウが言う。
そう言われると、何が何でも乗りたくなる。
「だったら交換条件だ。
ソウイチロウの願いをひとつ叶えるよ。
だから乗ってよ!」
イオリは向きになって言ってしまう。
「何でもか?」
ジョッキの水滴を弄りながら、ソウイチロウが念を押す。
「…。」イオリは躊躇する。
「えっ、どうなんだ?」
ジョッキから視線を離す事なく、問い質してきた。
「ああ、何でもするよ!」
後には引けず、啖呵を切る。
「よし、契約成立だ。
ちと恥ずかしいが行くか!」
ソウイチロウはジョッキを置くと、勢い良く立ち上がった。
 
観覧車の乗り場は、長い列が出来ていた。
その殆どが高校生のカップルだ。
男二人は完璧に浮いていた。
好奇の視線に曝されながら、ひたすら順番が来るのを待つ。
ソウイチロウは虚ろな視線で、他人の動向など全く気にしていない。
やっと順番が回ってきた。
「お客様は男性二人で宜しいですか?」
係員が怪訝そうに聞く。
『見れば分かるだろ!』
内心では悪態を吐くが、実際は言葉が出てこない。
「ああ。野郎二人で、何か文句あるのか?」
真っ赤な顔をしたソウイチロウが係員を睨む。
「いや、別に問題はありません。
あくまでも確認の為に…。」
係員がたじろぐ。
「だったら、とっとと案内しろ!」
酔ってる所為か、ソウイチロウは威勢が良い。
「ふうっ。」扉を閉められ、イオリはやっと落ち着く。
思い付きで乗りたいと言い出したが、こんなに難儀だとは思わなかった。
「おい、こっちが大阪の南側だ。
あそこに通天閣が見えるだろ。」
ソウイチロウの方がはしゃいでいる。
窓に額を付けて、説明してくれた。
10分も要さずテッペンに到達する。
「満足したか?」ソウイチロウが真顔で聞く。
「うん。付き合ってくれて、ありがとう。」
照れ臭いイオリは夜景を見たまま言った。
「で、ソウイチロウの願いは何?」
ゆっくり降下し始めた観覧車の中で聞いてみる。
 
「おいらと海に行かないか?」
ソウイチロウが頭を掻きながら言う。
「別にいいけど、それが願い?」
拍子抜けしたイオリが聞き返す。
「いや、これは単なる希望だ。
願い事はもっと大事な時に使うさ。」
ソウイチロウは事もなげに言う。
「そんなの狡いよ!」
イオリが苦情を口にする。
「うるせぇ!いいんだよ!」
ソウイチロウがヘッドロックした。
イオリの鼻孔が汗臭い男の匂いを感じ取った。
無臭のヨウに慣れているイオリにとって、それは新しい刺激となる。
無邪気で飾り気のないソウイチロウが、殊の外身近な存在に思えた。
「実はさ、困った事があるんだ。」
イオリは生まれて初めて、他人に相談をしてみた。
ジョージが持ち掛けてきた沖縄旅行の話をする。
 
 
(つづく)
しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

捜査員達は木馬の上で過敏な反応を見せる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

完成した犬は新たな地獄が待つ飼育部屋へと連れ戻される

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

串刺しの男達は失神さえ認められずに絶頂へと導かれる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

二本の男根は一つの淫具の中で休み無く絶頂を強いられる

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

屈した少年は仲間の隣で絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...