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Chapter3(臥籠編)
Chapter3-①【会いたかった】
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ヨウがいなくなってから、イオリは仕事に没頭した。
本当は直ぐにでも後を追いたかったが、締切が二週間後に迫っていたのだ。
約束を放棄して、関西に行く訳にはいかない。
寝る暇を惜しんで、翻訳を進めていく。
集中力が増し、食事もワープロの前で済ます。
おかげで一週間早く完了させた。
「この量を一週間も早く終わらせたのか!
またイオリ君に頼むから、次も宜しくな。」
編集者は驚き、次を約束してくれた。
「データでも送っておきましたので、校正の連絡はメールでお願いします。」
深々と頭を下げ、出版社を後にする。
その足で、東京駅から新幹線に乗った。
ヨウのアパートでビールを一缶飲み終わる頃には、イオリは舟を漕ぎ出す。
そんなイオリが愛おしい。
モノトーンの景色に花が咲いた様だ。
辺鄙な街に色彩が加わった。
『会いたかった。』
俺のために東京の生活を捨てて来たイオリを絶対に幸福にしようと誓う。
イオリは下半身のむず痒さで目が覚める。
「イオリ、会いたかったぜ。」
アナルに挿入したヨウが、キスをしてきた。
そしてゆっくりと腰を動かす。
「気持ちいいか?」
東京ではがむしゃらに腰を振ってたヨウが、今日は具合を聞く。
こんな所に今回の一件の効果があったと、イオリは可笑しくなる。
「今、笑っただろ?」
ヨウが頬っぺたを膨らませた。
「笑ってないよ。
それより、もういい加減イオリにも掘らせてよ。」
イオリは手を伸ばし、ヨウのアナルにディルドが入っているのを確認する。
「それは無理だな。
こんなデカいの入れたら、ケツが壊れちまう。」
ヨウがイオリの巨根を両手で握った。
アナル未経験だったヨウが、今では15センチのディルドが入る様になっている。
しかし、イオリの巨根を受け入れるには程遠い。
イオリはジレンマに陥る。
「ゴメンな。」ヨウが謝った。
「別にヨウが謝る必要ないよ。」
口では否定するが、欲求は募るばかりだ。
スバルの緩マンが頭に浮かんだが、頭を振って追い払う。
イオリが引っ越ししてから、初めてヨウの休みの日になった。
「身体が鈍るな。
またジムに通わないか?」
ヨウが提案する。
「うん、いいよ。
近所のジムって、知ってる?」
イオリが聞くと、ヨウは首を振った。
電話帳で近所のスポーツクラブを探す。
少し離れた駅にあるジムの広告が出てきた。
「ここが良くない?
フリーウエイトと風呂が充実って、書いてあるよ。」
イオリがサイトの写真を指差す。
「風呂が凄いな!
露天風呂まであるぜ!
ここで決まりだな。」
ヨウはすっかり乗り気だ。
電車に乗り、二つ目で降りる。
やけに大きな建物だった。
「何か、高そうだな…。」
見上げたヨウが溜め息を吐く。
「広告では東京より安い会費になってたけど…。」
イオリも自信がなくなる。
受付で入会の旨を伝えると、担当の女性が営業スマイルで現れた。
「当クラブはジムもプールもお風呂も使い放題で、この会費となっています。」
見せられた価格表には、東京より遥かに安い会費が記載されていた。
「これでいいです。
今すぐ、入会します!」
ヨウが飛び付く。
「その前に施設を見学した方が良くない?」
イオリが冷静に窘めた。
ヨウの強い希望により、入会の手続きをする事になる。
「本当、他のジムも見学しなくていいの?」
担当の女性が席を外した隙に聞く。
「ああ。俺はここが気に入ったんだ。
ここでガンガン鍛えるぞ!」
ヨウはやる気満々だ。
「それではこちらが会員証になります。
本日から施設をご利用になりますか?」
女性が確認する。
「勿論!今日から使います!」
ヨウが立ち上がる。
「それではトレーナーを呼んで参りますので、少々お待ち下さい。」
女性は笑いを噛み殺し、席を立った。
「ヨウはせっかちなんだから。」
イオリも呆れて言う。
「お待たせしました。
本日、ご案内させて戴きますコセキジョージです。
宜しくお願いします。」
真っ黒に焼けた男が白い歯を見せて、頭を下げた。
(つづく)
本当は直ぐにでも後を追いたかったが、締切が二週間後に迫っていたのだ。
約束を放棄して、関西に行く訳にはいかない。
寝る暇を惜しんで、翻訳を進めていく。
集中力が増し、食事もワープロの前で済ます。
おかげで一週間早く完了させた。
「この量を一週間も早く終わらせたのか!
またイオリ君に頼むから、次も宜しくな。」
編集者は驚き、次を約束してくれた。
「データでも送っておきましたので、校正の連絡はメールでお願いします。」
深々と頭を下げ、出版社を後にする。
その足で、東京駅から新幹線に乗った。
ヨウのアパートでビールを一缶飲み終わる頃には、イオリは舟を漕ぎ出す。
そんなイオリが愛おしい。
モノトーンの景色に花が咲いた様だ。
辺鄙な街に色彩が加わった。
『会いたかった。』
俺のために東京の生活を捨てて来たイオリを絶対に幸福にしようと誓う。
イオリは下半身のむず痒さで目が覚める。
「イオリ、会いたかったぜ。」
アナルに挿入したヨウが、キスをしてきた。
そしてゆっくりと腰を動かす。
「気持ちいいか?」
東京ではがむしゃらに腰を振ってたヨウが、今日は具合を聞く。
こんな所に今回の一件の効果があったと、イオリは可笑しくなる。
「今、笑っただろ?」
ヨウが頬っぺたを膨らませた。
「笑ってないよ。
それより、もういい加減イオリにも掘らせてよ。」
イオリは手を伸ばし、ヨウのアナルにディルドが入っているのを確認する。
「それは無理だな。
こんなデカいの入れたら、ケツが壊れちまう。」
ヨウがイオリの巨根を両手で握った。
アナル未経験だったヨウが、今では15センチのディルドが入る様になっている。
しかし、イオリの巨根を受け入れるには程遠い。
イオリはジレンマに陥る。
「ゴメンな。」ヨウが謝った。
「別にヨウが謝る必要ないよ。」
口では否定するが、欲求は募るばかりだ。
スバルの緩マンが頭に浮かんだが、頭を振って追い払う。
イオリが引っ越ししてから、初めてヨウの休みの日になった。
「身体が鈍るな。
またジムに通わないか?」
ヨウが提案する。
「うん、いいよ。
近所のジムって、知ってる?」
イオリが聞くと、ヨウは首を振った。
電話帳で近所のスポーツクラブを探す。
少し離れた駅にあるジムの広告が出てきた。
「ここが良くない?
フリーウエイトと風呂が充実って、書いてあるよ。」
イオリがサイトの写真を指差す。
「風呂が凄いな!
露天風呂まであるぜ!
ここで決まりだな。」
ヨウはすっかり乗り気だ。
電車に乗り、二つ目で降りる。
やけに大きな建物だった。
「何か、高そうだな…。」
見上げたヨウが溜め息を吐く。
「広告では東京より安い会費になってたけど…。」
イオリも自信がなくなる。
受付で入会の旨を伝えると、担当の女性が営業スマイルで現れた。
「当クラブはジムもプールもお風呂も使い放題で、この会費となっています。」
見せられた価格表には、東京より遥かに安い会費が記載されていた。
「これでいいです。
今すぐ、入会します!」
ヨウが飛び付く。
「その前に施設を見学した方が良くない?」
イオリが冷静に窘めた。
ヨウの強い希望により、入会の手続きをする事になる。
「本当、他のジムも見学しなくていいの?」
担当の女性が席を外した隙に聞く。
「ああ。俺はここが気に入ったんだ。
ここでガンガン鍛えるぞ!」
ヨウはやる気満々だ。
「それではこちらが会員証になります。
本日から施設をご利用になりますか?」
女性が確認する。
「勿論!今日から使います!」
ヨウが立ち上がる。
「それではトレーナーを呼んで参りますので、少々お待ち下さい。」
女性は笑いを噛み殺し、席を立った。
「ヨウはせっかちなんだから。」
イオリも呆れて言う。
「お待たせしました。
本日、ご案内させて戴きますコセキジョージです。
宜しくお願いします。」
真っ黒に焼けた男が白い歯を見せて、頭を下げた。
(つづく)
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