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Chapter1(イオリとヨウ編)
Chapter1-④【すき】
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「こ、これって…?」
ヨウの言葉が詰まる。
『ちょっと刺激が強すぎたかな?』
絶句状態を目の当たりにして、イオリは後悔した。
「イオリ、こんな物を使っているのか?」
ヨウが巨大ディルドを拾い、様々な角度から眺めている。
自分ではそれを試した事はない。
外人を相手に何度か使っただけだ。
以前知り合ったSにアナルを仕込まれたが、それによる快楽は得られなかった。
体内に入り込む異物を観察するに過ぎない。
ただそのSからは、様々な知識を教わった。
本に載ってない情報は新鮮で、精神を共有出来た。
亀頭にピアスを入れたのも、そのSの影響だ。
「まさか、これが入るのか?」
ヨウがイオリとディルドを見比べる。
『これはヨウに入れるのさ。』
内心呟くが、そうとも言えない。
「いや、これは…。」
その場凌ぎの言い訳は温かい唇で止められた。
熱い吐息が口内に広がっていく。
狭い納戸の中で、伸し掛かる重みを感じた。
夢心地でキスを受け入れる。
ヨウの汗が額に落ちた。
「お届け物です。」
呼び鈴が鳴った。
「ゴ、ゴメン!」
ヨウが慌てて離れる。
玄関先の声で、二人は現実に呼び戻された。
業者が出ていくと、部屋は無音となる。
西日が差し込む部屋はベッドで占領されていた。
二人はベッドの両端に座る。
話したい事は山ほどあるのに、言葉が出てこない。
「あのさ…。」
「ちょっと…。」
口を開いたのは同時だった。
「先に言えよ。」
ヨウが床を見たまま促す。
「ちょっと寒くない?」
逆光のヨウを見て聞く。
夕方になると、寒気が忍び込んできた。
このまま『帰る』と言われるのが怖い。
「そうだな。エアコン入れるか。」
ヨウが出窓に置いてあるリモコンを操作する。
低い唸りをあげて、エアコンが作動した。
沈黙がなくなった事に、少し安心した。
「ヨウは何を言おうとしたの?」
今度はイオリが促す。
「あのさ、さっきはゴメン。
まさか、男にキスするなんて…。
俺、どうかしてたんだ。」
ヨウが項垂れる。
「あれをイオリが使う訳ないもんな。
女に使うんだろ?」
呟く声は殆ど聞こえない。
イオリは立ち上がると、Tシャツとスパッツを脱ぐ。
もう自分を隠す必要はなかった。
ケツワレ姿になり、窓辺へ移動する。
「本当のイオリを見て。」
最後の一枚をゆっくり脱ぐ。
熱り立つペニスの先のピアスが、夕陽を反射した。
「すげえ…!」上目遣いの瞳が見開く。
今度はイオリの唇がヨウの口を塞ぐ。
固く閉じた唇は触れ合うだけのライトなキスだった。
「イオリ、俺の物にならないか?」
離れた唇が言う。
「うん。」嬉しさが込み上げてくる。
ヨウもウエアを脱ぎ捨てた。
サッカー選手特有の太い腿と発達した膨ら脛に、目を奪われる。
イオリは生まれて始めて、『すき』という感情を持った。
今までは性処理の一貫として、SMプレイに興じていた。
それには恋愛感情は不要だ。
しかしヨウに対しては違う。
好きだからこそ、ヨウの全てが知りたい。
誰にも見せた事のないヨウの深層に入り込み、共有したい。
そのツールがSMだと思う。
『ヨウの方が、イオリの物になるんだ。
本心を曝け出していいんだよ。』
ワクワクする気持ちを抑え、今日はヨウのペースに合わせる。
伸びた手が眼鏡を外し、ベッドサイドに置く。
ベッドに押し倒され、唇を押し付けてきた。
震える手が尻を弄る。
「ケツは大丈夫か?」
耳元でヨウが囁く。
微かな残光の中、素直に頷く。
ヨウはケツワレを脱ぐと、イオリの両足を持ち上げた。
己の唾液を亀頭に含ませると、強引に挿入を始める。
テクニックの欠片もない、幼稚なセックスだ。
イオリは薄目を開けて、観察する。
眉間に皺を寄せ、一心不乱に腰を振っていた。
経験が少ない事は安易に想像出来る。
快感は得られないが、精神は充分に満たされた。
(つづく)
ヨウの言葉が詰まる。
『ちょっと刺激が強すぎたかな?』
絶句状態を目の当たりにして、イオリは後悔した。
「イオリ、こんな物を使っているのか?」
ヨウが巨大ディルドを拾い、様々な角度から眺めている。
自分ではそれを試した事はない。
外人を相手に何度か使っただけだ。
以前知り合ったSにアナルを仕込まれたが、それによる快楽は得られなかった。
体内に入り込む異物を観察するに過ぎない。
ただそのSからは、様々な知識を教わった。
本に載ってない情報は新鮮で、精神を共有出来た。
亀頭にピアスを入れたのも、そのSの影響だ。
「まさか、これが入るのか?」
ヨウがイオリとディルドを見比べる。
『これはヨウに入れるのさ。』
内心呟くが、そうとも言えない。
「いや、これは…。」
その場凌ぎの言い訳は温かい唇で止められた。
熱い吐息が口内に広がっていく。
狭い納戸の中で、伸し掛かる重みを感じた。
夢心地でキスを受け入れる。
ヨウの汗が額に落ちた。
「お届け物です。」
呼び鈴が鳴った。
「ゴ、ゴメン!」
ヨウが慌てて離れる。
玄関先の声で、二人は現実に呼び戻された。
業者が出ていくと、部屋は無音となる。
西日が差し込む部屋はベッドで占領されていた。
二人はベッドの両端に座る。
話したい事は山ほどあるのに、言葉が出てこない。
「あのさ…。」
「ちょっと…。」
口を開いたのは同時だった。
「先に言えよ。」
ヨウが床を見たまま促す。
「ちょっと寒くない?」
逆光のヨウを見て聞く。
夕方になると、寒気が忍び込んできた。
このまま『帰る』と言われるのが怖い。
「そうだな。エアコン入れるか。」
ヨウが出窓に置いてあるリモコンを操作する。
低い唸りをあげて、エアコンが作動した。
沈黙がなくなった事に、少し安心した。
「ヨウは何を言おうとしたの?」
今度はイオリが促す。
「あのさ、さっきはゴメン。
まさか、男にキスするなんて…。
俺、どうかしてたんだ。」
ヨウが項垂れる。
「あれをイオリが使う訳ないもんな。
女に使うんだろ?」
呟く声は殆ど聞こえない。
イオリは立ち上がると、Tシャツとスパッツを脱ぐ。
もう自分を隠す必要はなかった。
ケツワレ姿になり、窓辺へ移動する。
「本当のイオリを見て。」
最後の一枚をゆっくり脱ぐ。
熱り立つペニスの先のピアスが、夕陽を反射した。
「すげえ…!」上目遣いの瞳が見開く。
今度はイオリの唇がヨウの口を塞ぐ。
固く閉じた唇は触れ合うだけのライトなキスだった。
「イオリ、俺の物にならないか?」
離れた唇が言う。
「うん。」嬉しさが込み上げてくる。
ヨウもウエアを脱ぎ捨てた。
サッカー選手特有の太い腿と発達した膨ら脛に、目を奪われる。
イオリは生まれて始めて、『すき』という感情を持った。
今までは性処理の一貫として、SMプレイに興じていた。
それには恋愛感情は不要だ。
しかしヨウに対しては違う。
好きだからこそ、ヨウの全てが知りたい。
誰にも見せた事のないヨウの深層に入り込み、共有したい。
そのツールがSMだと思う。
『ヨウの方が、イオリの物になるんだ。
本心を曝け出していいんだよ。』
ワクワクする気持ちを抑え、今日はヨウのペースに合わせる。
伸びた手が眼鏡を外し、ベッドサイドに置く。
ベッドに押し倒され、唇を押し付けてきた。
震える手が尻を弄る。
「ケツは大丈夫か?」
耳元でヨウが囁く。
微かな残光の中、素直に頷く。
ヨウはケツワレを脱ぐと、イオリの両足を持ち上げた。
己の唾液を亀頭に含ませると、強引に挿入を始める。
テクニックの欠片もない、幼稚なセックスだ。
イオリは薄目を開けて、観察する。
眉間に皺を寄せ、一心不乱に腰を振っていた。
経験が少ない事は安易に想像出来る。
快感は得られないが、精神は充分に満たされた。
(つづく)
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