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4.本家からの再出発

192.マットプレイ

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「マットなんて要らないよね? シャワーだけでいいんだけど……」
 マットを見て後込しりごみする。これ以上お湯を浴びたらふやけちゃうって問題じゃない。前に何されたか分からない不安感があるから。

「まあまあ、そう言わず」
「マットで洗うの見てみたいんだよね~」
「新都に帰る前に見たくて」
「たぶん見たからって大したものじゃないと思うよ?」

 無駄と思いつつカエデ姉妹にあらがってみる。風呂には暗くない程度の紅い明かりがともっている。紅くなった表情に欲望に染まる目がぎらぎらしてる。

 護衛のみんなも同じように見詰めてくる。
 これ、アカンやつや~。さっきのお風呂で曖昧あいまいに流しちゃったから? 余計に期待させちゃったのかも。

「さあさあ、横になってください」
「ちょっとちょっと」
 お風呂マットに仰向けに寝かされる。
 いつもは、なだめ役の気更来きさらぎさんが率先そっせんしてるのも不可解。どうしちゃったの?

「これこれ、塗りたくって」
 ブラックボトルのボディーソープを羽衣さんが身体にかけてくる。

「ああ~、このにおい。そそられる」
「キョウちゃんの匂いとこれって最強さいキョウかも」
 みんながてのひらでボクの身体にソープを塗りたくってくる。

「ふぅ~、お先にゴメン。いただきます~」
 羽衣さんがおおいかぶさって身体を重ねてくる。

「見ててください。こうやって~」
 斎木さいきさんまで乗ってきて、身体を使って洗ってくる。

「今は二人ですが四人でやると……」
「……ああ」
「なるほど……勉強になる~」
 いや、そんな勉強は要らないから~。これはタンポポちゃんたちに見せられないわ。

「おい、そろそろ、おじょうさんたちにゆずれ」
「ちぇ、しゃーないな~」
キョウが乗ってきたところなのに……」
「ご、ごめんね」
「あ、ありがとう」

 羽衣・斎木さんが退くとツバキ・カエデさんの二人の乗ってくる。羽衣・斎木の二人は腕に移って洗ってくる。

「キョウちゃん、新都に帰るけど、すぐ戻ってくるから」
「うん、きっと卒業して、こっちに来るから忘れないでね?」
 な~んだ。これは、護衛たちのカエデさんたちへのいきな計らい、だったのかな?

「う、うん。忘れないよ。お待ちしています」
「「キョウちゃん!」」
 そのあと、感きわまった二人にめちゃくちゃぬるぬるされた~! それを見ていた護衛たちに、もっとぬるぬるされる。

 簡単にほだされないよう思い止まろうと反省した、次からは……きっと。


「どこにも居ないと思ったら……」
 ふらふらになって部屋に戻っていると笹さんが出迎えてくれる。気づくの遅い。

「これは、その、壮行会」
「新都に戻るお二人を元気づけようとして、なあ?」
「「そうそう」」
「はあ~、キョウ様は大事ないですか?」
「まあ、何とか……」

 本当に何とかなった。表を洗ったら裏も洗うのは当然。前を終わらせると後ろもセットだった。むぎゅ~って圧死するかと思ったよ。

「もう遅い。さっさと眠れ。お嬢様たちもお休みください」
「……はい」
「お休みなさい」
「申し訳ありません。やつらの悪巧わるだくみに気づけず」
 笹さんに抱かれて部屋に戻りながら謝られる。

「いいよ。ボクも思わせ振りだったかも知れないし」
 それに、カエデさんたちには良い思い出ができたかもしれないし……。

「笹さんって……」
「……そう、だよな?」
 付いてくるカエデさんたちが何かつぶやいてる。笹さんがどうかした?

 二人は、リビングの仮設ベッドで床にき、ボクは寝室に運んでもらう。

「ありがとう……」
 笹さんと別れ際、引寄せてキスをする。ほっぺにほんの軽く、だけど……。

「……は?!」
「お休み」
 笹さんの異変に気づくことなくベッドに横になりボクは眠った。


 朝、すっきり目覚めなかった……よ。

「おはよ……」
 おかげでマキナからの熱烈ねつれつキスで目覚める羽目に。

「お前にしては寝起きが悪いな」
「昨日、頑張がんばったから……ひゃひゃっ、くすぐったい」
 本当のこと言ったら脇腹をくすぐられた……せぬ。

「早く顔、洗ってこい」
「は~い」
 重い身体で起き上がる。ローブだけ羽織ってリビングを抜ける。

「「おはよう」」
「お、おはよう、ございます……」
 カエデ姉妹はもう起きていた。当然か……。ちょっと気まずい。

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