上 下
190 / 203
4.本家からの再出発

190.レニ様おかんむり

しおりを挟む

「帰還したならば、なぜ顔を見せにぬのです?」
「ああ~」
 一緒に出かけなかったんだから、帰ってきたら挨拶あいさつするべきだったね。

「レイニ様、キョウが疲れておりましたので、つい失念しつねんしておりました。申し訳ありません」
「──申し訳ありません」
 マキナと共に謝る。

「まあ、良いでしょう。さあさあ、行きますぞ」
「え、どこへ」
「我らの部屋に決まっております」
 レニ様に腕を取られ引きずられる。

「あ、いや、これから予定が……」
「行ってこい。殿下によろしくな」
 そんな~。
 エレベーターに逆戻り、五階に上がる。

義兄上あにうえ、心配しましたぞ?」
「え、ああ……お気遣きづかいありがとうございます」
 部屋に向かう道すがらレニ様が聴く。拉致らち事件は知らされてるのかな? どっちだろう。

「一日、顔を見せぬと殿下もさみしがっておいでですぞ?」
 これは、事件を知らなそうかな~?

「え~、いろいろありまして帰参の挨拶が遅れていたのです」
「ウソです、ね。あのまま眠りにくところだったでしょう」
 ギクッ。鋭い。

「そ、そんなことありません、よ」
「おつとめを一日休んだのです。今宵こよいは確りやりましょうぞ」
「──お勤め……って」
「子作りに決まっておるでしょう」
「ですよね~」
 五階の自室に入り応接室を通り抜ける。

「ただいま戻りました」
「こんばんは~」
義兄上あにうえ……」
 ボクを見たミヤビ様の顔がくもり、部屋の雰囲気ふんいきが一気に悪くなった気がする。腕を取るレニ様が脇腹をひじつついてくる。

「え? あ……ただいま戻りました」
「よくぞ戻った。変わりないか?」
「はい、もちろん」
「それは僥倖ぎょうこう。時間が勿体もったいない。始めるか」
「さあ、参りましょう」
「え、え、どこへ?」
 我ながら愚問ぐもんだと思うけど。ミヤビ様に続いてレニ様に引きずられ奥へ進む。

しとねに決まっております」
 ですよね~。

「一日分を取り戻さねばなりませぬぞ♪」
「そ、そうですね~(棒)」
 一時間ほど、ふぉーめーしょんを確認しつつ新しい体位も試してフィニッシュ。


義兄上あにうえ、一日休むと身体のキレが悪いですぞ」
「いや、それは……スミマセン」
 拉致らちされて仮死状態だったからとか言えない。

「では、三階に戻られませ」
「え? よろしいのですか?」
「勤めが終われば自由といたしましょう。そちらの家族もいるのですし」
「はい、ありがとうございます」
 レニ様って子作りに真摯しんしに向きあっているだけなのかも。

戸隠とがくし義兄上あにうえを送って差し上げよ」
「ははっ!」
「──ヒッ!」
 びっくりするよ。いつから居たの、白い人。認識阻害そがいとか使ってるんじゃなかろうか?

「お休みなさい、義兄上あにうえ
「お休みなさい、レニ様、ミヤビ様」
 手早く身繕みづくろいすると寝所をあとにする。

「キョウ様、お手を」
「ありがとう──」
「戸隠、義兄上あにうえに触れるでない」
「ははっ」
「いいじゃん、手をつなぐくらい」とも言えず、戸隠さんの後ろを付いて行く。

「ここは?」
 自室を通り過ぎて疑問に思っていると、見覚えのある部屋の前に止まる。まあ、分かるけど聞いてみる。

「三階の風呂です。汗をかかれたことでしょう。シャワーで流された方がよろしいかと」
「なるほど」
 戸隠さんの言う通りローブと下着を脱いで浴室に入るとシャワーを浴びる。

「お背中、流します」
「はあ? 結構けっこうです。出ていってください」
「そう言わず、洗うのは得意です」
 それは知ってますけど。何、勝手に入ってきてるのさ。

「お触り禁止。レニ様が言ってたでしょ」
「こんな機会しかおそばに寄れない気持ちを察してください」
「それってどんな気持ち? よく分かんないけど」
「ご奉仕ほうししたくても近寄れない、切ない気持ちです」
「わ、分かりました。ちょっとだけ、ですからね」
 よく分からん、けどストーカー体質なのは分かった。ふたりっきりになると危ない人だ。素直に従っておこう。

「いかがです?」
「まあ、いいです……そこは背中じゃないんですけど」
「背中だけではもの足りません。脚がっておいでですよ」
「そうですか?」
「そうです」
 息を荒くして下半身をマッサージしながら流してくれる。話が違う。


「何か疲れた」
「それはいけません。どこかで全身マッサージを」
「もう部屋で寝るだけですから結構です」
 れた身体をいてもらいながらつぶやいたら、まともに受け取られた。
 そういうところが疲れるって~の。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

入社した会社でぼくがあたしになる話

青春
父の残した借金返済のためがむしゃらに就活をした結果入社した会社で主人公[山名ユウ]が徐々に変わっていく物語

お兄ちゃんは今日からいもうと!

沼米 さくら
ライト文芸
 大倉京介、十八歳、高卒。女子小学生始めました。  親の再婚で新しくできた妹。けれど、彼女のせいで僕は、体はそのまま、他者から「女子小学生」と認識されるようになってしまった。  トイレに行けないからおもらししちゃったり、おむつをさせられたり、友達を作ったり。  身の回りで少しずつ不可思議な出来事が巻き起こっていくなか、僕は少女に染まっていく。  果たして男に戻る日はやってくるのだろうか。  強制女児女装万歳。  毎週木曜と日曜更新です。

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

転職してOLになった僕。

大衆娯楽
転職した会社で無理矢理女装させられてる男の子の話しです。 強制女装、恥辱、女性からの責めが好きな方にオススメです!

トリビアのイズミ 「小学6年生の男児は、女児用のパンツをはくと100%勃起する」

九拾七
大衆娯楽
かつての人気テレビ番組をオマージュしたものです。 現代ではありえない倫理観なのでご注意を。

カジュアルセックスチェンジ

フロイライン
恋愛
一流企業に勤める吉岡智は、ふとした事からニューハーフとして生きることとなり、順風満帆だった人生が大幅に狂い出す。

歩みだした男の娘

かきこき太郎
ライト文芸
男子大学生の君島海人は日々悩んでいた。変わりたい一心で上京してきたにもかかわらず、変わらない生活を送り続けていた。そんなある日、とある動画サイトで見た動画で彼の心に触れるものが生まれる。 それは、女装だった。男である自分が女性のふりをすることに変化ができるとかすかに希望を感じていた。 女装を続けある日、外出女装に出てみた深夜、一人の女子高生と出会う。彼女との出会いは運命なのか、まだわからないが彼女は女装をする人が大好物なのであった。

処理中です...