【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~

ペロりねった

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4.本家からの再出発

187.サキちゃんの呼び出し

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「こんばんは~。サキちゃん、来たよ~」
「おお、来たか。まあ座れ」
 五階の奥、サキちゃんの部屋のドアをくぐる。応接室に入ると返事とともに荷物を抱えたサキちゃんが現れる。

「何それ?」
「ミズキのモールから寄越した荷物じゃ。そなたに渡してくれと聞いておる」
 些事さじでワシをつかいおって……と、サキちゃんはため息をつく。

「もしかして服?」
「そのようじゃ」
「やった! 待ってたよ」
 大きな紙袋を受け取り、さっそく中身を確認する。

うれしそうじゃのぉ」
「もちろん。コレのために恥ずかしい思いをしたんだから」
「そうか──」

 そういうと黙って袋をあさるボクを見ている。

「──そなたには、壁内の学校に通ってもらうが、週に数回、壁外そとの学校を訪問してほしい」
「へ~、そうなったんだ」
「そこでは勉学する必要はないが、できるだけJK? と交遊をもってほしい」
「ふぅ~ん……」
 JKって何で疑問形? 女生徒で良いんじゃないの?……もしかしてだれかの受け売り?

「……そなた、興味なさそうじゃの~?」
「うん。どうせ行かないって言っても拒否きょひできないんでしょ?」
 袋の中の服を広げて見ながら返事する。

「物分かりが良いの~。護衛は付けるし春期も明けよう。早々、さらわれることも無かろう」
「あ~、外には、それもあったね」
 顔を上げサキちゃんに答える。

「せいぜい外の慰問いもんをしてやってくれ。喜多村のために」
「喜多村のために……。分かった」
 喜多村のイメージ戦略にボクは組み込まれちゃってるみたい。

「あの姫君も、しばらく、ちょっかいをかけて来ぬであろう」
「あ~、アンナさんね? どうなったか知ってる?」
「政府から猛抗議しておる。おかげで監視衛星がらみは立ち消えになった……愉快ゆかいじゃ」

「それで、外の慰問?」
「まあ、それもある……」
 意味深に話を打ち切ると終わりとばかり、追い払うように右手を振り、下がれとうながす。
 ボクは猫じゃないぞ?

「やしゃごか~、たのしみじゃ~」
「ん?」
 部屋を退しりぞぎわ、サキちゃんが何か言った。よく分からなかったけど……。
 紙袋を抱えて帰りながら「やしゃごか?」と、反芻はんすうする。


「ただいま~」
「おかえり。それで?」と、マキナがサキちゃんに呼ばれた理由をいてくる。

「服がサキちゃんのところに届いてた」
「そんなことか……」
 やや安心してマキナの力が抜ける。

「そんなことって。あと、学校に通うのと外の学校の慰問に行くとか何とか……」
「外、か。学校は通ってほしい。卒業できなくなる」

「別にいいけど。勉強できないのに通ってるだけで卒業できるって間違ってる。お金もかかるし」
「お前な~」
 ボクの言いぐさにマキナがあきれる。

「学校って初等部よね?」
「幼稚園……」
「中等部に決まってる」
 ど~して、そうなるの? ツバキちゃんと子供たちが決めつける。それを聞き沈黙ちんもくするマキナをうかがう。

「高等部に決まってるだろう」
 面倒くさそうにマキナが口を開く。

「まあ、中等部には、まだ転入してないけど……」
 ツバキちゃんは、しおれてつぶやく。

「編入は、まず誠臨せいりんを卒業してから」とマキナは、ツバキちゃんに圧をかける。

「キョウには初等部の先生をしてもらうのよ?」
 恐る恐るタンポポちゃんがマキナに反論する。

「いや。キョウの保父さんがいい」
「そうそう……」
 アリサ・マナ二人も言い張る。

「ダメだ。キョウが高校を卒業できなくなるぞ?」
「ボクは別に──」
 ぎろっとマキナがにらむので黙る。いいじゃん、学校なんて行かなくても……。

「キョウは私がやしなうから卒業しなくてもいい」
「──できなくてもいい」
「──やしなう」
「…………」
 マキナと子供たちがにらみ合う。

「分かった。午前はタンポポちゃんたちのところ、午後は高校。それでいい? そうしよう」
 決定! 足りない分は本館いえで勉強しよう。そうしよう。

「はあああ~、分かった。キョウの好きにしろ。その代わり卒業できないと……」
「できないと?」
「お仕置しおき、だ」
 マキナが、にやりと笑う。こっわ~。
 でも、まだお仕置きされたこと、ないけどね~。

「やった~! お仕置き、楽しみ」
「たのしみ……」
「おしおき……」
 ちょっと待って? お仕置き、楽しみにされても困惑こんわくするんだけど。応援してくれてるんだよね?
 一方、マキナは頭を抱えて「どう、許可をもらおう」とうめいている。

「そう言えばさ~? 〝やしゃごか〟って何?」
「……なに?!」ってマキナが声を上げる。
「やしゃごか?」
「……やしゃ?」
「ん?……」
 子供たちは未知の言葉に戸惑とまどってる。

「誰がそんなことを?」
 カエデさんが問う。

「サキ──お館様、だけど?」
「「「ああ~~」」」
 カエデ姉妹が納得する。マキナは抱えた頭を反らすと顔を手でおおう。
 どうしたのさ? タンポポちゃんたちとボクは、ワケ分からず頭に疑問符だよ。

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