上 下
150 / 203
3.喜多村本家に居候

150.護衛待機部屋へ

しおりを挟む

 レニ様がタマちゃんに会いたいってこう言うことだったのかと今さら気づく。

「みんな、いる~?」
 いるのは分かってるけど、どうか、だらけてませんように……。

 護衛たちの待機部屋のドアをノック、ゆっくり開けて部屋に入る。

「どうされました?」
 一番に笹さんが出迎えてくれる。まあ、この人は心配してない。他は?……

「おはようございます。これは一体?」
 タマちゃん水無ミナちゃんのみならずレニ様まで引き連れて部屋に入って行くと、気更来きさらぎさんが焦って出迎える。彼女も黒服に着替えてて、まずまず合格。

 その後ろの者たちも着替えてはいるか。でも……羽衣はごろもさんがゆるゆるだ。

 着崩きくずしたみたいジャケットがずれてるし、ネクタイをゆるめてシャツも何か変。ボタンをかけ違ってるのか?

「ちょっと、昨夜のことで──」
「そなたら、義兄上あにうえとゲームとやらをしたそうだな」
 機先を制してレニ様が直球でり込んでいく。ちょっとボクに説明させて?

「キョウちゃん、身体じゅうが傷だらけなんだけど?」
「ゲームの詳細」
「そう、キョウに変なことしなかったでしょうね?」
「キスマーク?」
「うん、まーく?」
 みんなが一斉いっせいに質問する。


「──みんな、そんな一度に聞いても分からないよ。ちょっと笹さん」
「なんでしょう」
「ちょっとそこ、口裏を合わせようとしてないでしょうね?」
 笹さんを隅に連れて行こうとしたら水無ミナちゃんにブロックされた。まずい……。

「それで、何をお聴きしたいので? ゲームですか?」
「そう。ゲームでキョウちゃんに傷つけたでしょう?」
「どうすれば義兄上あにうえに傷などつける?」
 みんなに見えないようボクは、笹さんに向けて小さくシャドウボクシングしてみせた。

「はあ~? ただのシューティングですが?──」
 ガックリ……ボクのサインは笹さんには通じなかった。小首をかしげていぶかしげだったしね。盛大にため息ついたら困惑される。

「──動き回りますので接触して傷はつくと思われます。傷つけていましたらキョウ様には申し訳なく思います」
「シューティング? 格闘ゲームじゃ?」
「──あ~、シューティング、そうシューティングだったかな~?」
 取りつくろって笹さんに同意する。

「なんで夜のこと覚えてないのさ? 怪しい」
「それは、ほら、一晩寝たら記憶ちがいってあるでしょ?」
「ん~、それはあるかも……」
「だまされない。現物確認」
「お~、そうだ。現物、見せてもらおうか?」
「いや、それは──」
 物を見せちゃったら弁解できない。笹さん気づいて。

「いいですよ。こちらです」
 終わった~。笹さん、正直すぎ。ゴーグルが置かれたテーブルにみんなを案内する。

「ふう~ん、普通っぽいね?」
「これは今できる?」
「できますよ。どうぞ」
「ありがとう。はい、タマちゃん」
「え″っ? や、私はゲームしたことないし、水無ミナちゃんがやればいい」
「私もしたこと、あまりないよ?」
「これは誰でもできますよ。ほら着けてあげます」
 そう言い、笹さんは水無ミナちゃんをソファーに座らせるとゴーグルを着ける。

「あわわわ……」
「大丈夫ですよ?──」
 あわてるボクのそばに来た笹さんがささやく。

「──一般人には特殊効果は発揮はっきされません」
「えっ? アレってボク専用?」
「まあ、そのようなものですね。普通の人はただのゾンビ討伐とうばつゲームです」
 な~んだ、心配して損した。

「うわっ、きんも~。タマちゃん、やってみなよ」
 水無ミナちゃんは銃型のコントローラーを振り回してゲームの最中さいちゅうのよう。

「キモいのは勘弁かんべん。でも、となりにいると腕とかコントローラーが当たる可能性はある」
「なんじゃ? やはり義兄上あにうえの言うとおりで我らの勘違いなのか?」

「うっわ~、ほんとキンモ~」
 タンポポちゃんまでゴーグルを装着してゲームを始める。マナちゃんアリサちゃんまで興味津々。

「で、では、なぜお風呂に入ったのですか?」
「えっ?」
 レニ様が唐突に話をふってくる。

「ぬ? む~んお風呂……」
「そ、そりゃ汗かいたから」
「キョウちゃん、お風呂のこと聞いてない」
「そうだね。情報はしっかり開示してもらわないと」
 ゲームやってりゃいいのに水無ミナちゃんが参加してくる。

「それにご自分の足では帰ってこられなかった」
「えっ? それってどう言う?」
「誰か分からぬが、おそらくそこな者が抱えて連れてきている」と言って笹さんを指さす。

 なんでそこまで覚えてるんだ。格ゲーとシューティングを間違えてるボクがおかしいみたいじゃないか。

「確かに自分がお連れしました。眠ってしまわれましたので」
「眠った? お風呂で? ゲーム中?」
「そ、それは──」
 笹さんがボクをうかがうので、うなずく。

「──お風呂、です」
義兄上あにうえ……警護とはいえ二人きりで風呂に入るなど……」
「ほら、それは……おぼれちゃいけないでしょ?」
「で、では、襦袢じゅばんを汚してしまったのは? あれはなんですか?」
「汚す? それも聞いてない」
「うんうん」

 どうしてそこまで覚えてるんだ。怖いよ、レニ様。

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

入社した会社でぼくがあたしになる話

青春
父の残した借金返済のためがむしゃらに就活をした結果入社した会社で主人公[山名ユウ]が徐々に変わっていく物語

女装とメス調教をさせられ、担任だった教師の亡くなった奥さんの代わりをさせられる元教え子の男

湊戸アサギリ
BL
また女装メス調教です。見ていただきありがとうございます。 何も知らない息子視点です。今回はエロ無しです。他の作品もよろしくお願いします。

お兄ちゃんは今日からいもうと!

沼米 さくら
ライト文芸
 大倉京介、十八歳、高卒。女子小学生始めました。  親の再婚で新しくできた妹。けれど、彼女のせいで僕は、体はそのまま、他者から「女子小学生」と認識されるようになってしまった。  トイレに行けないからおもらししちゃったり、おむつをさせられたり、友達を作ったり。  身の回りで少しずつ不可思議な出来事が巻き起こっていくなか、僕は少女に染まっていく。  果たして男に戻る日はやってくるのだろうか。  強制女児女装万歳。  毎週木曜と日曜更新です。

転職してOLになった僕。

大衆娯楽
転職した会社で無理矢理女装させられてる男の子の話しです。 強制女装、恥辱、女性からの責めが好きな方にオススメです!

トリビアのイズミ 「小学6年生の男児は、女児用のパンツをはくと100%勃起する」

九拾七
大衆娯楽
かつての人気テレビ番組をオマージュしたものです。 現代ではありえない倫理観なのでご注意を。

カジュアルセックスチェンジ

フロイライン
恋愛
一流企業に勤める吉岡智は、ふとした事からニューハーフとして生きることとなり、順風満帆だった人生が大幅に狂い出す。

歩みだした男の娘

かきこき太郎
ライト文芸
男子大学生の君島海人は日々悩んでいた。変わりたい一心で上京してきたにもかかわらず、変わらない生活を送り続けていた。そんなある日、とある動画サイトで見た動画で彼の心に触れるものが生まれる。 それは、女装だった。男である自分が女性のふりをすることに変化ができるとかすかに希望を感じていた。 女装を続けある日、外出女装に出てみた深夜、一人の女子高生と出会う。彼女との出会いは運命なのか、まだわからないが彼女は女装をする人が大好物なのであった。

処理中です...