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3.喜多村本家に居候

148.土曜はおさらい?

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「おはようございます、田端先生。いかがですか?」
「おはようございます、キョウ様。まだ始めたばかりですので分かりません」
「そうですか」

 みんなと挨拶あいさつを交わしたあと、田端先生に進み具合をいてみる。そのあと少し離れて見守る。見ていると学習内容がさかのぼってるような……。

 土曜なので一週間のお復習さらいかな?


「はい。皆さん、よくできました」
「みんな、お疲れ~」
「私にかかれば楽勝よ」
「うん、らくしょ~」
「お茶の子さらさら﹅﹅﹅﹅よ」
 ボクは田端先生と顔を見合せ苦笑い。お茶の子さいさい、ね?

「キョウと何して遊ぶ?」
「う~ん?」
「…………」
 二時間かからずお復習さらいをすませて、みんなはボクと何して遊ぶか相談してる。

「な、何? マナちゃん?」
 それに引き替えマナちゃんがボクによって来るとワンピースのすそをめくってくる。

「ケガ?」
怪我ケガなんかしてないよ?」
 裾を押さえつけながら弁明する。

「足を引きずってた」
 言葉をいでマナちゃんは、めくる手をゆるめない。田端先生は片付けの手を止め、こちらをうかがってる。

「何なに?」
「どうしたの?」
 目ざとくタンポポ・アリサちゃんたちが気がついてよってくる。

「キョウがケガしてる」
「いや、怪我なんかしてないって」
「これは……治療ちりょうしないと」
「うん、カイボ──ちりょう」
「おちゅうしゃ」
 いいこと思いついたって顔でタンポポちゃんが治療を提案するけど、そんなの要らない。お注射はもっと要らない。三人がよってたかって裾をめくってくる。

「分かった。分かったから、引っ張らないで」
 買ったばかりのワンピースがシワシワになっちゃう。

「アリサ、イスを一つ、持ってきて。キョウはこっちよ」
「うん」
「いったい何を……」
 タンポポちゃんに連れて行かれたのはベッド前。タンポポちゃんのベッドだ。

「え~っと、確か……」
 何をさがしてるんだろうって見てると、タンポポちゃんがサイドボードの引出しから聴診ちょうしん器を取り出してくる。と言ってもおもちゃの聴診器だけど。

「キョウはベッドに座って」
「う、うん」
 取りあえずベッドの縁に座る。

「持ってきた」
 アリサちゃんとマナちゃんがイスを運んでくる。

「ありがと。だれがドクターやる?」
「タンポポでいい」
「ん、タンポポで」
「分かったわ。みんなは看護かんご師ね?」
「分かった」
「わかった……」
 こそこそ相談してるみんなが薄ら笑いしてボクを見てくる。

「何をするの、かな?」
 まあ、分かってるけど聴いておこうか……。

「キョウの解剖かいぼう──診察しんさつよ!」
「今、解剖って言った」
「言ってない。診察と治療よ」
「…………」
 ボクは疑念の眼差しを向ける。

「じゃ、じゃあ、服を脱いでくださ~い?」
「は~」
 ため息ついてワンピースを脱ぐ。もう抵抗しても無意味なのは分かってる。大人はいさぎよいのだ。

「脱いだよ?」
「うむ……」
 脱いでるうちに、どこから出したのか、タンポポちゃんが白衣をまとってイスに座ってる。

「はい、息を吸って~」
 おもちゃの聴診器でボクの胸の音を聴いてくる。

いて~……。少し雑音がしますね~」
「タンポポ、脚」
「分かってるって。これからやるから──」
 また、何こそこそ相談してるんだ?

「──では、横になって……」
「はい……」
 素直にボクはベッドで横になる。

「脚はどこが痛いですか~?」
「痛くないです」
「ウソはいけません。おヘソを取られますよ?」
「ウソじゃないです」
 おヘソを取るのはかみなり様でお医者さんじゃないよ。

「……ここは?……ここは?……ここは痛いですか?」
「……いいえ。……いいえ。……痛くありません」
 タンポポちゃんが脚のあちこちを触診しょくしん──つんつんしてくる。

「これは……重症ですね~?──」
 タンポポ先生が神妙に診断する。なんでそうなるの?

「痛くないんですけど?」
 本当は少し痛い、太もものあちこちが。でも、おくびにも出さない。

「──患者かんじゃの肌着をめくって?」
 看護師マナ・アリサたちに指示する医師タンポポちゃん。

「ちょっと~、お腹はいいから」
「はいはい、病人は指示に従う」
 はいは一回、でしょうに? お腹や胸はヤバいんだって~。そこには……。

「むふ~」
「ふんふん」
「ちょっと。やめて……ダメだって~」
 忠実な看護師アリサちゃんがキャミソールをめくりにかかる。看護師マナちゃんはボクサーパンツに手をかける。

「…………」
 田端先生、片付けるふりで遠目から見てるなら助けてちょうだいよ。

「キョウちゃ~ん、いる~?──何これ!」
「ふぉ~! むふぅ~」
「あ、義兄上あにうえ? いったい、これは??」
 なんか分かんないけどレニ様はじめ、タマ・水無ミナの二人が現れる。

「ちょうど良かった。助けてよ?」
「それよりも、現状確認したいわ」
「ふ~、ふ~……」
「なんなのじゃ……なんなのじゃ?」
 水無ミナちゃんは冷静すぎる。タマちゃんは相変わらず。レニ様はパニクってるし。

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