136 / 203
3.喜多村本家に居候
136.義兄愛、分かった?
しおりを挟む「それと──」
「ん? それと?」
「──いい加減、手を外してあげないと、レニ様が……」
「も、申し訳ありません!」
タマちゃんの助言で気づく。ちょっと強く口をふさぎすぎた。
「はあ、はあ、はあ……義兄上、は、烈しいですぞ──ポッ」
な、なに言ってんの、この人。頬まで赤らめないで。
「むう~、分かった……」
「えっ、分かった?」
「ん、分かった?」
納得するタマちゃんに、水無ちゃんとボクは聞き返す。
「レニ様、途は険しいけれど……頑張って」
「ん? 分かってくれたか、タマとやら」
「タマじゃない。真城環」
「うむ、タマキ──タマちゃん殿」
レニ様とタマちゃんがうなずき合ってる。
「え~、ど~ゆうこと?」
「そうそう」
「わらわも分からん」
「じゃ、水無ちゃん帰ろ」
「えっ、部屋に戻る?」
「うん」とタマちゃんがうなずく。
「そ、そう。気をつけて。送ってあげられないけど」
ちょっと急展開なんだけど……。
「そ、それじゃ。また、キョウちゃん」
「う、うん」
あっさりタマちゃん水無ちゃんは戻っていく。
「なんだったのだ?」
「なかなか良い友でありました」
なにげにタマちゃんたち、格上げされてる。
「それで、ですね? 夕食を子供たちと取りたいのですが」
「わらわは別に構わぬが」
「子らと取ると言うのなら余も一緒にしますぞ」
「え?」
「なに?……それでは、わらわ一人になる。子らはここへ呼べばよい」
「ええっ? よろしいのですか?」
「いまさらであろう」
まあ、そうですけど。
「じゃ、じゃあお風呂は──」
「こちらでお願いします!」ってレニ様が反論する。だろうね~。
「わらわは、あちらの大浴場に入ってみたいが」
「「えっ?」」
レニ様と同時に感嘆したけど、まったく違う驚きだろうね。
「──良いですよ広くて、広くて……開放的で」
「そなた、広いとしか言っておらぬ」
「はははっ」
「で、では余も──」
「本当ですか?」
「──義兄上とぬるぬるしたいです……はふぅ~」
あ~そっちね。ぬるぬるって、言うほど良くないよ?
「お安い御用です」
「で、では入ってもよろしい、です」
なし崩しに迎賓館のお風呂に入れるようになった。
「あの~サザレさん──」
「畏まりました。リビングに大きいテーブルでございますね?」
「──う、うん」
「それから、子供たちには夕食をこちらにするよう手配しておきます」
「お、お願い」
打てば響く対応で助かります。サザレさんは茶器を片付け戻っていく。
でもね、ミヤビ様たち……居座る気満々ってことだよね~? まあ、お子ができるまでは仕方ないと思うけど。
しかし、聖殿とやらは放ってて良いのだろうか? 痛っ! フ、フラグとか立ってないよな~?
ミヤビ様たちと、と言ってもほぼレニ様と駄弁ってたりして夕食まで過ごす。
リビングにテーブルが運びこまれ、メイドさんたちが配膳に来られた。タンポポちゃんたちを呼びに行こうかと思ったら、準備が調うころに来るよう予定してくれてる。
至れり尽くせりでありがたい。ありがたいが!──
「妻の横は夫」
「そうそう」
「義兄上のとなりは義弟と決まっておる」
「ど~してこ~なるの!」
マナちゃん・アリサちゃんとレニ様は誰がボクのとなりに座るのか争ってる。順番で今回はタンポポちゃんがボクの膝を占領してる。
でもね? かな~り重い。マナちゃんアリサちゃんに比べると。重さを緩和するため膝をずらすと一々振り返ってにらんでくる。
「キョウは人気者じゃのう?」
「ミヤビ様、本当にそう思ってます?」
「もちろんじゃ。女の寵愛を受けるのは男の誉れ」
「女っても女児だし、男が交じってますよ?」
「今、女児って言った?」
「言ってません……」
耳聡く子供扱いに目くじら立てられる。
また、食事をボクの口に運んでくるのもお約束。レニ様、にらんで歯ぎしりしないでください。食欲なくなります。
「食事も終わったしお風呂か~」
食後のコーヒーを頂きながら予定を考える。
「やはり行かれるのですね、大浴場」
「まあね。でも混浴がネックなんですね」
「まあ、そうです。女の入る湯など」
ミヤビ様も女ですよ、レニ様。
「なんとかならないかな~? サザレさん」
食後の片付けも終わったけど部屋の隅に控えるメイド頭・岩居サザレさんに聞いてみる。
「そうでございますね~。皆様の周りは衝立で囲いまして部分的に男湯といたしますか……」
なんか良い構想があるらしい。
「まあ慣れない人にはそれくらいしないとダメか~。折角、広びろしてるのにな~」
「広びろと言えば露天風呂になりますが、あれは農場にありますからね~」
「えっ? あるの露天風呂?」
「えっ、ええ、ございます。風呂が農婦たちの一日の楽しみですから」
「入ってみたいな~露天」
「義兄上、野外で肌を曝すなど……」
「憧れなんだよね~。女性だけに許された娯楽だよね。各地の旅行番組でもお料理と露天風呂は鉄板だし、女は得だよね~──」
軽がるしく旅行に行けないし、男は損。男湯はないし。
「──夕日や日没を見ながら、満天の夜空を見ながら、お風呂入るって最高、だろうな~」
「分かった。旅館を貸し切って旅行じゃ」
まったく分かってないよ、ミヤビ様。それじゃ旅情を楽しめないよ。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。



会社の上司の妻との禁断の関係に溺れた男の物語
六角
恋愛
日本の大都市で働くサラリーマンが、偶然出会った上司の妻に一目惚れしてしまう。彼女に強く引き寄せられるように、彼女との禁断の関係に溺れていく。しかし、会社に知られてしまい、別れを余儀なくされる。彼女との別れに苦しみ、彼女を忘れることができずにいる。彼女との関係は、運命的なものであり、彼女との愛は一生忘れることができない。

ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。

プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる