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3.喜多村本家に居候

135.タマ・ミナの追及

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「気になったけど、キョウちゃんはなんで子供たちに懸想けそうしてるの?」
「それは、気になっておりました」
「そうそう」
「それは──」
 タマちゃん、もうしゃべらないんじゃ? まあいいけど。懸想なんてしてないよ?

「お茶をお持ちしまし、た?」
 ちょうどサザレさんがお茶を運んで来てくれる。都合つごうよくインターバルができた。

「ありがとうございます、サザレさん」
「いえ……。それで、これは何の集まりで──いえ、差出口さしいでぐちもうしました」
「いえ、いいんですよ」
 ボクもなんの集まりか、まったく分からん。

「それと、レニ様? とは、ただならぬ関係みたいだけど?」
 給仕きゅうじが終わったとばかり水無ミナちゃんが切り込んでくる。

「うんうん」
とキョウ義兄上あにうえとは兄弟になったと申したではないか」
 部屋の入口に居残いのこり、置物と化したサザレさんがピクッとふるえる。
 まあ、メイドさんはひかえていて普通らしいけど、メイド長ともなればそんなことしてていいのかな。

「──いや、あの、レニ様?」
「義兄弟はそんなにベタベタしない」
「同意。それからアツイ夜、三人ってなに?」
 タマちゃ~ん! 的確な突っ込み、ありがたくな~い。

「ハノリでん──もがっ」
「これは……その……あ、桃園とうえんちかいって知ってる? あれあれ」
 あわててレニ様の口をふさぐ。もがもがしてるけど、しばらく辛抱しんぼうしてくだされ~。

「なにそれ?」
後漢ごかん末期、黄襟こうきんの乱で乱れた世をたださんと若き英傑えいけつ桃園とうえんつどい──」
「長いよ、タマちゃん」

「──むう。要は、いくさおもむくのにご馳走ちそう食べ、酒をみ交わし、やっこを代わるがわる可愛かわい合体がったいして姉妹しまいちぎりを交わしたってこと」(✳️『やっこいやしい身分の男。男のドレイ)
 タマちゃん、後半のいらない知識までありがとー。

「それがどーしてキョウちゃんの義兄弟の話に?」
水無ミナちゃん、ちゃんと聞いてた? 死出しでの旅に出るからちかいを立て義姉妹のちぎりをしたんだよ」
「う~、う~」と、レニ様もうなずく。

「だからって、ベタベタする必要なくない?」
「そ、それは……」
 それがボクにはさっぱり分からんのだよ。

「おそらく……桃園の乱こ──仲くしすぎたのが関係あると見た」
 タマちゃん、アゴのつかれはど~したのさ?

「──その通り! 我らハノリ殿下でんかの穴きょ──」
 レニ様、だまろうか~? 外された手を再びレニ様の口に。

「なるほど……。穴を共有した○兄弟なのは想像ついた──」
 タマちゃ~ん! もうやめようか?

「──だからって、仲好くしすぎ。ハノリ殿下ってことは、やはりあなたは第一正室の山級やましなレイニ」
「ん~ん~」ってうなってレニ様がうなずく。

「ええ?……それってハノリ殿下とキョウちゃんが、ただならぬ関係になってレイニ様は容認ようにんしてる、ってこと?」
「ん~ん~」ってレニ様がまたうなずく。

「いけないよ。いくらキョウちゃんでも﹅﹅高貴なかた手篭てごめにしちゃあ。喜多村の旦那だんなが悲しむ」
「いくらボクでも、ってなに。手篭めなんてしてない。これは喜多村の意思なの。(出なかったけど)なみだを飲んで献身けんしんしたの」

「──わらわがどうかしたか?」
「……え?」
「──出た」
 いや、出たって、タマちゃん。ミヤビ様がおくから現れちゃった。

「ミ、ミヤビ様、どうされました」って我ながらお粗末そまつな問いだ~。

「わらわが呼ばれた気がしてのう」
 確かに呼んだけどんでません。

「ミヤビ様?」ってタマちゃん、頭に疑問ぎもんを浮かべ首をかしげる。

「ミヤビ様は奥でお休みください」
「キョウよ、どこでも休んでいるようなものぞ?」
 ぶっちゃけないでください。今おられると、ややこしい話がもっとややこしくなりそうです。

「ミヤビ……。世をしのぶ仮の名?」
 ッ! なんて的確なんだ、タマちゃん。こちらに向けていた携帯を急いで操作し始める。

「よく分かったのう。いかにも。しかし、ハノリの名を呼んではならぬぞ?」
「は、はぁ~?」
「むう」
 タマちゃん、携帯をうなって観てる。何か調べた?

 ミヤビ様がレニ様の反対側に来られると手であおぐ。すき間をけろと言うように。

「それで、わらわがどうした?」
 ボクたちがスライドしてけたすき間にミヤビ様はおしりをねじ込む。二人にはさまれ、ボクはますます窮屈きゅうくつに。

「殿下とのつながりがあるのは……ご学友・喜多村槙菜マキナ
「ほう、いかにもマキナとは愛友マブだちじゃが?」
 ついにさぐり当てたか、タマちゃん。

「キョウちゃん……」
「な、なに?」
「旦那マキナさんと殿下は、竿さお──」

「ギャアアアアアァ~」
「そなた、やかましいぞ?」
「むう……。だいたい分かった。キョウちゃん、大変だったね──」
「タマちゃん……」分かってくれた?

「──それはそれで置いといて、レニ──レイニ様のべたべたを解明しないと」
 ついでに、それも置いといてよ……。

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