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3.喜多村本家に居候

121.みんなでおしっこ

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「マナちゃん……おしっこ、大丈夫?」
「ん~……行く」

 マナちゃんの耳許みみもとで小さくくと、やっぱりか~。

「アリサちゃん、おしっこ、大丈夫?」
「ん~……行きたいかも?」
「タンポポちゃん──」
「待ってた」

 いや、待たなくていいから。すぐマナちゃんアリサちゃん、連れてトイレ行ってよ。

「じゃあ、一緒に行こ?」
「うん」

 三人連れ立ってトイレに急ぐ。マナちゃんたちは抱えてほしかったみたいだけど、白い人が一緒で遠慮えんりょしてるみたい。

「マナちゃん? アリサちゃん?」

 みんなが分かれていくのにマナちゃんがボクを個室に引きずりこもうとする。それをアリサちゃんが引きもどす。

「キョウはこっち」
「いや、マナちゃんが一人じゃこわいらしくて……」
「ズルい」ってアリサちゃんが襦袢じゅばんをつかんで引っ張る。

「ちょっと、何やってんの?」

 個室前でみ合ってるとタンポポちゃんが気がつきめよってくる。

「夜のトイレは怖いから、ね?」
「それじゃ、私もキョウと一緒」
「私も」
「ええ~、みんな、もれちゃわない?」
「そ、それもそうね~?──」

 で、結局みんなで入りました……一つの個室に。白い人まで入ってくるとは思わなかったけど……。

 本当ほんとに大きいトイレで良かったよ。

「終わった?」

 水音が途絶とだえたマナちゃんに訊く。

「うん。拭いて?」
「マナちゃん、自分で拭いて」
「キョウがいい」
「な、な──」

 ──な? なに?

「──なんですって~!」

 びっくりするよ、タンポポちゃん! ま、まあおこるよね、自分で拭けないなんて……。

「ズルい、私も拭いて」
「そうよ。マナとあやしいと思ってたら、そんなただれた関係だったなんて」

 別に爛れてないでしょ? 怒るのそっち?

「キョウがやるとすっきりする……」
「マナちゃん?」なに言ってんのよ。
「妻にしもの世話されるのは女のゆめね?」

 そんな夢はぶち壊れろ! 

「ふつ~に拭いてるだけだよ?」
「きっと指技しぎがすごいのね?」

 そんな技は持ってません。てか、なんでこうも要らない知識あるんだよ、タンポポちゃん。

「じゃ次は私。早くマナを拭いて。もれそう」
「あ、うん……」

 結論は先に送って、マナちゃんを拭く。ほら、なんともない。はずなのに「むふ~」って満足そう……あれ?

「次、次!」
「はいはい」
「はいは──」
「はい」

 マナちゃんを便座から降ろし、アリサちゃんを乗せる。

「アリサ、早く早く!」
「わかってるって」
「タンポポちゃん、となりでして来なよ。もれるよ」
「もれるなんて言わないの」

 ホントにもれたらどうするの、って言ってくる。それはボクの関知するところじゃないね。

「はい、次、タンポポちゃん」

 アリサちゃんを終わらせて便座から降ろす。

「私も座らせてよ」
「大人は自分で座る」
「マナもアリサも座らせたじゃない」なんてタンポポちゃんがわがままを言う。
「それは……便座が高いから……早くしないともれるよ?」
「うっ……」

 もう我慢がまん限界げんかいとタンポポちゃんは自分で座ってくれる。

「じゃあ、戻って寝ようか?」

 タンポポちゃんもすませたし部屋に戻ろう。

「キョウのおしっこは?」
「ボク? もう上でしてきたよ?」
「「ズルい!」」
「ズルい……」

 何がズルいんだか分からないよ。

「人のおしっこ見ておいて。キョウも見せなさい」
「そうそう」
「うん」
「いや、見てないよ。ちゃんと他所よそ向いてたじゃん」

 言いがかりにもほどがある。どんなクレイマーだよ。

「拭く時、見てた」
「見てた」
「見てた……」
「いや、それは……」

 見なきゃどこ拭くか分からないじゃん。

「では、代わりに私が……」

 沈黙ちんもくしてた白い人がのたまう。

「「「…………」」」

 しれっと白い人が便座に座るので、ボクたちは唖然あぜんとする。

「じゃ、じゃあ帰ろう、か?」
「「うん」」
「かえる」
「ちょっと~」

 白い人の意味不明な行動をスルーして、みんなでタンポポちゃんの部屋に戻る。


「キョウも一緒に寝て?」
「うん、寝て」
「でもね~、上でえらい人が待ってるかも知れないし」
「どうして、先に行くんですか?」

 白い人がおくれて部屋に来る。けど、やはりスルーする。

「ほら、あの白い人がずっと監視かんししてるから、ね?」
「なんのお話です?」
「あなたがずっと見てるから、ここでは眠れないと」
「ああ……私は見ているだけですので、お気になさらず」

「……まあ、それなら一緒に寝ようか」
「うん」
「ねる」
「でも三人はせまいよね~」
「そうだった~」とタンポポちゃんがなげく。

「おとなりはダメなのですか?」って白い人が割り込んでくる。

「となりはママの部屋だから……」
「え~レンカ様ならないと思われますが?」

 なぜ、あなたがそこまで知っている?

「キョウ様の儀式ぎしきもよおしたとか……ヒロ様とむつまじく出ていかれましたよ」
「はぁ~……なるほど?」

 それって、なんか複雑。

 となりの部屋を、そろ~っとのぞいて見ると、確かにだれもいない。

「じゃあ、お借りしてそっちで寝ようか?」
「うん」
「いい」
「寝ましょ?」

 ベッドに並んで横になると白い人までベッドに上がってくる。
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