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3.喜多村本家に居候

103.脱出!

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「ええっと……ん~? ん? ……ダメだ……」
「あの~何やってんすか?」
「いや、外の装甲そうこう車をこっちに持って来れないかな~っと……」
「そんなこと、出来できるわけないでしょ?」
「そうだね。エンジンかけるくらいしか出来ない。仕方ないか……」
「…………」

 羽衣はごろもさんが聴いてくるので答えたらめた目で見られた。

救援きゅうえんう。マップに指示する箇所かしょに移動されたし』っと。

 装甲車に搭載とうさいされた制御せいぎょコンピュータに侵入しんにゅうして、ナビゲーションの地図に光点をともらせ救援要請ようせいを表示する。


「キョウ様?」
「装甲車、んだから──って、何やってんの?」
「今度は、なんです?」
「サガラ・クルーが見つかって逃げてる……。まったく……」
「お宝かかえて、さぞや格好かっこう餌食えじきになりますね? 自業じごう自得じとく
「そうも言ってられないみたいよ?……仕方ない──」

 モールの社長・レンカ義叔母おば様、スミマセン。スプリンクラー作動!

「──サガラを誘導ゆうどうするから、蓮見はすみさん、池添いけぞえさん、後方防御ぼうぎょお願い!」

 名前を呼ばれた特殊部隊な残りの二人は「なに?」って顔をしたあと、「「イエス・サー!」」と小気味こぎみよく承服しょうふくすると後ろへ回る。

「──申し訳ないけど、戸隠とがくしさん、角師かくしさん、前よりもボクら後ろの直掩ちょくえんに回って?」
「「イエス! ユア・ハイネス」」
「えっ? ハイネ……なに?」
「ふっふっふっ、そなたを認めたようじゃ、の~」

 ミヤビ様がうれしそうに話す。

 ま~なんか分かんないけど、スプリンクラーでサガラを追い立てて暴徒を足止めして……あれ?

「なんか、装甲車一台に指示したのに三台ともやって来るね~?」
「異変に気付いて連携れんけいしたのじゃろ~?」
「ん? そうかも……。そろそろ、後ろにサガラが来る……。前に出るよ?」
「「「おう!」」」
「バッチ来い!」

 暴徒が押し込んでくるに任せてドアが開くと前衛ぜんえい──特殊部隊なさささん、打木うちきさんが暴女たちをぎ払っていく。

 ん~あんまりボクの殺は要らなかった気がしてきた。

「ん~? サキちゃんたち、どうしてる?」

 ま~だのんびりしてるね~? こっちにぼうか?

『退路を確保できそう。一階、〝こちら〟の出入口に来られたし。キョウ』っと、順路をしるした一階平面図を添付てんぷしてメールする。

「いったい、これは! キョ、キョウ──少年K?」

 後ろからサガラが声を掛けてくる。

「無事だった?」
「え!──」
「……え?」なによ?

「──遠藤! 写真、写真!」
「こらこら! 撮るな~!」

 ──「え」って遠藤の「え」かよ!

「だ、だめです……。スプリンクラーの水で……」
「だから、全天候型にしとけって言ったのに~」
「仕方ないでしょ。ローカルテレビに予算なんかないんだし」
「うるさい!──」

 ほっ、スプリンクラー、(*^ー゜)bグッジョブ

「──せめて脳裏に焼き付けとけ!」って、サガラが言う。それもやめろ! 観るな!

 ボクたちはぎ倒されたしかばねみ越えて進み建物の外へ出る。いや、屍じゃないよ、気絶してるだけだから~。

 出入口をかこむように装甲車が配置され周りからはへだてられている。その向こうは特殊部隊な人たちが集結、並んでいて暴徒たちも容易に攻め込めない。

 分散せず、ここに集まったから少人数でも陣容は堅くなってる。

 かくてショッピングモールから脱出、我々は生還したのであった……まる。

「早く、サキちゃんたち、来ないかな~?」
「まだ、後ろから暴徒が来ますよ?」
「分かってる。蓮見はすみさん、池添いけぞえさん、それから戸隠とがくしさん、角師かくしさんに後退こうたいって指示──」

 各人かくじんのヘッドセット並びに黒メガネに接触アクセス……成功。

『脱出成功、サキちゃ──喜多村家の要人到着ののち一緒に後退して。外に出たらシャッターを下ろします』
『『イエス・サー!』』
『『イエス・ユア・ハイネス!』』

 返事が仰々ぎょうぎょうしいよ。普通でお願い。

「キョウ様、部隊長らしき人が来ます」
「うん、分かってる」
「あの、あなたが──うぐっ」
「あ、あれ? 大丈夫?」

 隊長らしき人がボクを見るなり胸を押さえて倒れた……。

「キョウ様の殺人ビームは敵味方関係なし」
「そうだった~! 降ろして、服着る!」

 ボクは人馬ひとうまから降ろしてもらい装甲車に乗り込む。さっきまで着ていたメイド服を改めて着込む。

 サキちゃんたちは程なく護衛や特殊部隊な人たちと出口から現れた。

「シャッター閉鎖。──サキちゃん、ヒロさんたちご無事でしたか?」
「ああ、無事じゃった……が、なんじゃ、アレは? っ! そのメガネ……まさか、つなげて──」
「アレ? ちょっと待ってください。……のぞかれてる? どこから?──そらか!」

 視線を感じる方向、空に目を向ける。

「そなた……」

 なんかあきれてるサキちゃんは置いておいて、はるかかなたに覗いている元凶を確認。どこから操作……してる?……ダメだ。

 侵入できない。

「皆さん、装甲車くるまに乗って? 誰かに覗かれてます」
「……皆、車に乗って帰宅しよう」

 ボクたちは皆、無事に帰宅のいた。

 のちに、ボクから発せられた部隊長さんを殺したビームは〝キョウ・コロリン〟──ボクが発射する無差別ビームと揶揄やゆされるのであった……マル。
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