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3.喜多村本家に居候
98.みんなの服を選ぼう
しおりを挟む「さあ、その透け透けのキャミソールと紅いTバックも渡してください」
カメラマンの遠藤さん? がカーテンのすき間から迫ってくる。
「いや、それが、ね。ないの。ボクの下着とメイド服が」
「わらわが捜してやろう」
「私も捜す」
「捜す」
「まったく、手間がかかるわ」
君たちね~、捜すほど広くもないし、隠れるところもないってのに。
一人ファッションショーの時でも、ボクが言わないでいると、ずかずか入って来て下着を渡してくるし、着替えを眺めていくし。
まあ、子供たちはいいとしてミヤビ様まで遠慮がないのはいかがなものか。
「歩鳥さん、もらった服から適当に着るものちょうだい」
「こ、これなんかどうです?」
「いや、これだろ?」
ちょっと、そこ、恥ずかしいから見せ合いっこしないで。それに普通のでいいから。
預けた肌着から煽情的なもの選んで薦めてくる護衛の二人。
肌着だけじゃなく上の服も選んで欲しい。
「これ」
護衛が言い合いになってるところ、マナちゃんがピンクのエプロンドレスを渡してくれる。
「ありがとう」
って、こんなワンピース選んだかな~?
さっそく着付けると荷物の中から無難な肌着を選んで試着コーナーに戻る。
「はい、これでいいんでしょ?」
「まいど、おおきに」
脱いだ肌着を丸めてカメラマンの遠藤さんに渡す。
「で、みんな何か選んだ?」
「選ぶ?」
「ん?」
「もう選んで渡したじゃない?」
「ボクのじゃなくて、ね~」
君たちの服とか下着だよ!
「わらわは、晒しの襦袢と褌があるからの~」
ミヤビちゃん──じゃなかった、ミヤビ様には訊いてません。スーツの下はそんなの穿いてるの?
「せっかくだから、買ってあげる。ミヤビ様も」
「そ、そうか?」
「ありがとー」
「気が利いてるわ」
「ありがと……」
払うのはマキナ、だけどね。ボクが出費する予定だったお金をみんなに使うんだからどうってことない。
「まだ、買うんですか?」
「ボクの分はタダなんだから、全然買えるでしょ?」
荷物を抱えた護衛たちが不平をもらす。
「これどう?」
「タンポポちゃんには早いかな?」
「これ」
「もっと、ちっちゃいのかな?」
「これ、これ」
「もっと、可愛いのをえらんだら?」
子供服エリアに居るのに、なぜか大人エリアにまで行って選んで持ってくる。
君たちの着けるものだからね? ボクが着けるんじゃないからね? さっきまでのボクの服選びは終わったからね?
「そなた、これはどうじゃ?」
「ああ、いいんじゃないですか?」
「投げ槍じゃのう。そなたに似合うぞ」
「そうじゃなく、ミヤビ様のものを選んでください」
やっぱりミヤビ様もか。ミヤビ様自身に似合うのを選んでよ。
レース生地のパンティーなんて持ってこられても。
……仕方ない。
「ええっと……。クマさんにウサギさんに~……。イチゴ柄もいいね。キューティー・ペアのキャラものもいいね~──」
「そなた……そんなものを穿くのかや?」
「違います。子供たちのものです!」
いい加減、ボクの下着から離れてよ。
「子供じゃない。夫、大人よ!」
「うん、大人」
「大人な私はそんなの穿かない」
あのね~。
「ほらほら、ハイソな女児──女子に大人気のキューティー・ペアのパンツを穿けば〝男子の視線は釘付けよ!〟」
「そ、そう? かしら……」
「う~ん?」
「そ、そこまで言うなら……」
おぅふ。釣られてる釣られてる……。
「イチゴのパンツなんて美味しそう。食べたいって男子がわらわら集まってくるよ?」
「おいしい……」
「い、一理あるわ、ね。キョウも、た、食べたい?」
「うん、食べたい食べたい」
「仕方ないわね~。穿いてもいいわよ」
はい、釣れました~。
「そなたがそこまで言うなら、わらわも穿いてもよいぞ」
いや、ミヤビ様は別にど~でもいいです……。てか、大人は穿けるサイズがありません。
「今は、ヒモパンティがトレンドよ?」
「ん?」
「違う。シマパンよ」
ま~た、あらぬ方向へ行こうとしてる……。ま、ボクがチョイスするからいいけどね?
「可愛いキャミソール、タンクトップ……。暑くなってくるから水着も用意し始めないと……」
ボクも用意しとこうかな? 今年はマキナとバカンスかぁ~。
「そなた、女児の肌着を持ってニヤけていると気持ち悪いぞ?」
「ち、違います。今年は海に行けるかも知れないので──」
マキナと、と言ったらミヤビ様がやにわに不機嫌になった。
「わらわも連れて行ってやる。そうじゃの~……そうじゃ。千尋坊、天上の橋立……船屋敷。海に浮かんだ街じゃ。面白かろう?」
「へ~なんかすごいね」
「そうじゃろう、そうじゃろう」
途端に機嫌が直ったミヤビ様は、水着特設コーナーへ突撃していく。
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