95 / 203
3.喜多村本家に居候
95.モールに突撃
しおりを挟む小一時間かけて走りショッピングモールに着く。全く迷惑。道路のレーンを二つ使うのですごく通行の邪魔。
先頭車両、ボクたちの車、後方車両と進んで来たけど、そのまま屋外の駐車スペースに横付けで駐める。
一台で普通の車四~五台分のスペースを占有してる。これ絶対(略)
頭痛くなってきた。
まあ、車高が高いし車格があるので立体駐車場には停めるどころか入れないから仕方ないけどね。
前後の装甲車から特殊部隊の戦闘服みたいなのを着た人たちが躍り出て周りを囲んでる。
肩に銃を下げてものものしい。
「ちょっと、やりすぎ。余計目立つよ」
「そうか? 下手に寄ってこず、良いじゃろう?」
「何をしておる。行くぞ」
サキちゃんと話してるとすぐさま下車したミヤビ様がボクたちを急かす。
「はい、ただいま参ります。キョウ、行くぞ」
「こんなんじゃ、全然楽しくないよ」
外にはいつもの黒衣の出立ちの護衛と喜多村の警護が待っている。
「歩鳥さん、斎木さん、よろしく」
「「お任せください」」
「「お任せください」」
いや、気更来さんと羽衣さんは喜多村家の人を警護しなよ。
奥様がたは、まとまって出入口へ向かってる。タンポポちゃんはお父さんのヒロさんと別でいいのかな?
まあ、屋敷でもろくに会話してなかったけど……。
「キョウ、ミヤビ様について行かぬか」
先行するミヤビ様に付いていたサキちゃんが取って返し呼びにくる。
「えっ? でも、タンポポちゃんたちのお世話しなきゃ」
「メイドどもに任せておけ」
「そんな~、皆楽しみにして勉強頑張ったのに~」
タンポポたちに視線を向けると、うなずいている。もう、ボクたちは別行動するから。
「さあ、皆いくよ~」
「「「は~い」」」
「こら、待たぬか」
「知らな~い」
「……な~い」
皆を連れて出入口へ。何も言わなくても前に気更来さん、羽衣さん、後ろに歩鳥さん、斎木さんが位置取る。
そのまた後ろに四人の特殊部隊な人が付いてくる。
「そなた、どこへ行く?」
そして、ミヤビ様ご一行も方向転換して付いてくる。
「ボク、子供たちのお世話しなきゃ」
「そなた、何を言っておる?」
「子供じゃない! 夫、主人よ!」
「はいはい」
「はいは一回──モガッ」
おしゃべりなタンポポちゃんの口をふさぐ。お約束をやらないように気をつけてたのに……。
「そなた、主人とはなんじゃ。これ、答えぬか?」
やれやれ、面倒になった。おままごと、遊びなんだとミヤビ様に説明する。
「そなた発展的じゃのう。わらわとも婦夫ごっこを始めぬか」
タンポポちゃんは、しゃべりたがって手をはがそうとモガモガしてる。
入口のゲートをくぐって店内に入るとカメラを構える人とあの、さがらミャーチがいる。なんで?……
「性懲りもなく来ました、少年K。これから一挙手一投足を撮っていきたいと思います」
なんだって~!
『性懲りもなく』は余計だ。サキちゃんか? サキちゃんなのか、仕組んだのは?
カメラを向けられ子供たちが萎縮して……ないな。カメラに向かって手を振ったりポーズ決めてる。
「さあ、ばかは放っといて行くよ」
「おおっと、初めて声をお聴きしました。鈴を転がす声。しかし、言葉は辛辣です──」
生で見ると余計うるさく感じる。これって実況してないだろうな~。なんか怒りが湧き上がってくる。
「サガラさん、人違いです。ボク──わたくしはただのメイドです。買い物のお客様に迷惑ですよ」
護衛の人垣越しに叫ぶ。
「ちゃんと許可はいただきました。と言うか取材しろと依頼されましたよ?」
「ダメだこりゃ。行くよ~?」
サキちゃん、首謀者確定。いや、社長のレンカさんの可能性も……。
「え~もっと写りたい」
「キョウはズルい」
「……ズルい」
「あの、キョウって呼ばないで」バレるから。
「それで、どこに行くのじゃ?」
「携帯の契約したいので。気更来さん、契約できるところへ」
「はい、こちらへ」
まずは、携帯だな。気更来さんに訊くと先導してくれる。エスカレーターを登って登って三階へ。
「まだなのか?」
「なんか上の階みたいですね」
家電フロアーに三大通信会社とその他の取次店が列なる。迷わずその他の取次店に入る。
受付の女性に頼んで契約を終える。今度の携帯はブルーのメタリックな可愛いやつ。
「終わったのか?」
「うん、終わったみたい」
「それでは行くか──」
「クラウドにデータが残っています。レストアしますか?」
「ちょっと見せて」
「どうぞ」
ほうほう。受付が見せてくれるパソコンを覗くと、インストールしていたアプリのデータがバックアップされており、マキナ関係のアプリも残ってる。
「お願いします」
これって、復旧するの案外早いかも。
「畏まりました」
「終わりではないのか?」
「なんかデータが雲に残ってるらしい」
それをもう一度取り込むのだとミヤビ様に説明する。けど、良く分かってない……っぽいね。
「キョウ、まだ~?」
「うん、もうちょっと」
「そうじゃ。そなた、早うせぬか」
「申し訳ありません。データが膨大でして……」
タンポポちゃんたちが手持ちぶさたでぐずってる。ミヤビ様も受付の人に注文をつける。恐縮して受付さんが答える。
使えるのにやっぱりトータル小一時間かかってしまった。
「さあ、次はご飯、お昼かな?」
「うん、そうね。お腹へった」と幼女たちも同意する。
「食事か……外にはどんな料理があるのかのぅ」
「こちらです」と気を利かせ気更来さんが先導する。
「少年Kは携帯契約を終えて出てきました──」
しつこいなサガラ。店から出るのを待ち構えていた。護衛が回りを固めているので近寄ってこないけど。
「少年Kじゃありません。わたくしはただのメイドですから~」
取材班を無視して進む。すっごいお客さんの邪魔。いや、ボクたちの方が邪魔になってる、か?
平日の昼間で良かったよ。夕方なら大変だった。
0
お気に入りに追加
46
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/essay.png?id=5ada788558fa89228aea)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)
チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。
主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。
ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。
しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。
その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。
「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」
これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/youth.png?id=ad9871afe441980cc37c)
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる