上 下
78 / 203
3.喜多村本家に居候

78.部屋に泊まっていくらしい

しおりを挟む


 ボクも肌着を着けるとローブを借りて着る。

 護衛の歩鳥ほとりさん、斎木さいきさん、喜多村家警護の気更来きさらぎさん、羽衣はごろもさんもお風呂から上がり着つけている。

 さて、脱衣カゴに残る汚れものをどうするか?

 借りたローブの近くにボックスがあり、そこには汚れものがれられている。

 濡れたタオルや下着類だ。

 タンポポちゃんたちは、躊躇ためらわず回収ボックスに放り込んでいる。

 そこで回収し洗濯して持ち主に返すんだと思う。

 ボクもボックスに放り込もうとして、躊躇ためらった。

「このままれちゃって大丈夫かな」

 タンポポちゃんたちは良い。おそらく持ち主は把握はあくされていて戻ってくると思う。

 汚れものを見るに、名前が書かれたものが見える。

 それに対してボクはどうだ。今日来たばかりだし、名前も書いていないのに、果たしてボクに返ってくるかな?

 護衛の皆に聞こうかと視線を移すと、着る手が止まっている。

 こちらを見ている先は、ボクの手元かな?

 みんなの目を観て……羽衣さん、斎木さんは目が泳ぐ。

 歩鳥さん、気更来さんはそっぽ向く。

「ここはダメだな」

 部屋に持ち返りランドリーで洗うか、専門のメイドさんにお願いする方がいい。

 汚れものをふところにしまうと、がっかりする羽衣さんと斎木さん二人。

「さあ、部屋に戻ろうか?」
「「「は~い」」」

 皆と手をつないで本館の方へ行こうとすると「そっちじゃない」とタンポポちゃんに止められる。

「皆の部屋へ戻らないと──」
「違う。キョウの部屋で『鉄の誓い』を立てるのよ」

 誓い?……ああ、お風呂のあれね。そんなのどこでもいいじゃん。

 自分たちの部屋で勝手にやってよ、とも言えない。

「サキちゃん、この子たちを部屋に連れて行って問題ある?」
「まあ、警護どもに連絡させれば良いじゃろ?」

 不似合いなローブに身を包んだサキちゃんが近くにきたのでいてみると、そう答えてくれる。

 手には濡れたワンピースを持っている。まだ、お風呂入って無いよね? 入ってきなよ。

 追っ付け護衛と警護も服を着てよって来ている。

「そなたら、この子らがキョウの部屋へ行くようじゃ。本館に知らせてよ。よいな?」
「は、お任せください」

 警護の気更来きさらぎさん、羽衣さんがひざまづいて答えると、その足で脱衣場を出ていった。


「ちょっと~、サキちゃんってなにもの?」
「ここのエラい人、と思ってよい」

 そう言い、薄い胸を張るサキちゃん。

「そうなんだ。じゃ、部屋に戻るよ~」
「そなた、わしの扱いが軽くないか?」
「ボクは知らないから、その辺の事情」

 皆を連れて自分に充てられた部屋に戻る。

「タンポポちゃんたちはその『誓い』が終わったら自分の部屋に戻るよね?」
「戻るわけないじゃない」
「戻らない」
「……ない」

 やっぱりか。ボクの部屋で寝る気、満々だね。

「じゃあ、朝の朝食とか、こちらで食べるってしらせないとね?」

 きっと、幼女たちも本館に戻らず、こちらで食べるって言うに違いない。

 朝食をボクの部屋で一緒に取れるようにしとかないと。

「こちらのメイド長や警備担当にでも報せておけば良い」とサキちゃんに助言される。

「それじゃ、護衛の二人、分かる?」

 その連絡を歩鳥ほとりさんと斎木さんに振ってみる。

「はあ、まあなんとか分かりますが……」

「じゃあ、歩鳥さん、斎木さん、連絡お願い。朝食はボクの部屋で子供たちと食べる。ボクも子供向けのワンプレート形式で良いので」

「あの~」と、後ろから声がかかる。

 振り返って見ると、付いて来ている給仕のメイドさんが手を上げている。

「わたくしが、連絡して参ります」
「そうですか? では、お願いします」
「待て。わしもキョウのところで休む。朝食も一緒じゃ。伝えてよ」
かしこまりました」と言って給仕の人はきびすを返す。

「あの~、私たちは小間使いではないんですが……」
「そうです。私たちはキョウ様のそばにいないと……」

 護衛の二人が異を唱える。

「ここで護衛がいる? 仕事なくてゴロゴロしてたくせに……」
「む……一理あります、ね」

 一理もくそもあるか。そう言うのをムダ飯食らいって言うんだよ。

「ボクがちゃんと仕事を割り振ってるんだよ。暇でしょうに。感謝してよね?」
「感謝……ですか?」
「……やはり、喜多村家に染まってらっしゃる」

「何か言った?」
「いえ、何も……」
「言うこと聞いてれば良いことがある……かも知れない、んだよね?」

 二人は顔を見合せ、色めき立つ。

「風呂場以上のことをしていただける、と?」

 ボクは、にっこり微笑んだ。

 あれは、したんじゃなく、ボクがされたんだけどね!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

男子中学生から女子校生になった僕

大衆娯楽
僕はある日突然、母と姉に強制的に女の子として育てられる事になった。 普通に男の子として過ごしていた主人公がJKで過ごした高校3年間のお話し。 強制女装、女性と性行為、男性と性行為、羞恥、屈辱などが好きな方は是非読んでみてください!

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

13歳女子は男友達のためヌードモデルになる

矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。

声劇・シチュボ台本たち

ぐーすか
大衆娯楽
フリー台本たちです。 声劇、ボイスドラマ、シチュエーションボイス、朗読などにご使用ください。 使用許可不要です。(配信、商用、収益化などの際は 作者表記:ぐーすか を添えてください。できれば一報いただけると助かります) 自作発言・過度な改変は許可していません。

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

処理中です...