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3.喜多村本家に居候
67.喜多村家の子供たち
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「みんな、お名前を教えて」
「喜多村タンポポよ」
一番元気で大きい子がタンポポちゃん、十才。
「マナ、六才」と、握った手に指一本つけ加える。
ピンクのパジャマにご執心な言葉少ないマナちゃん、六才。ほんとはマナミらしいが、マナが定着している。
「アリサ、六才」と、両掌を広げて見せる。
おとなしめのアリサちゃん、六才だが、「お風呂推し」の女の子。
「ちょっと、出かけるって話してくるから……」
そう言って向かいの護衛たちに声をかける。
「どうぞどうぞ」
「本館は、覗き見してると怒られますよ?」
斎木さんは投げ槍、歩鳥さんは注意してくれる。
「うん。ほどほどにして置くよ」
じゃあ、行ってくると皆を連れて連れられ、廊下を奥へ歩く。
どこも居室ばかりで面白みはない。多少の違いがあっても基本同じだ。
中央辺りに食堂というホールがあったり、トイレがあったり、お風呂場があったり、ってお風呂に引き摺って行こうとする皆。
どんだけ風呂に入りたいんだ。まだ行くところがあるでしょう?
その先にも部屋が並んでいるけど同じだろう。
中ほどの階段を上がって二階も部屋の列なりだけだった。
二階十室ずつに対の付き人・護衛の部屋があるだけ。
一階に戻って屋敷の端にある扉の向こうに行く。
屋敷につながる渡り廊下を通って禁断の本館へ行ってしまう。
そこにはドアに取手がない、こちらからもあちらからも押して開けるスイングドアになっている。
そのドアを押して入ると、まず台所・調理場が目に入る。
中を覗いても後片づけや清掃している人が少しいるのと、コンロにかかった鍋の番をする人がいるくらい。
夜に出すスープかもね。
タンポポたちは、暇そうな人を見つけてお菓子をねだっている。
苦笑いしながら、保管庫からクッキーなどを紙ナプキンに包んで渡してくれる。
若い女性、シェフ見習いかな?
「ありがとうございます」
いや、ボクは別に要らないからね?
もうおなかいっぱいだから。でも、もらっちゃうボク。お礼をいって調理場をあとにする。
次、洗濯場というかランドリー。洗濯機や乾燥機が並ぶ。
他はリネン室、キレイになった大量のシーツなどが堆く積まれている。
中には、透明な袋に入った衣装もある。
「そなたら、何をしておる?」
それを感心して眺めていたら後ろから声がかかる。振り向くと銀髪の女の子がいた。
おとなしいブルーのワンピースを着ていて、小学高学年か中学生くらいの子。
髪の毛は背中くらいまである。
子供たちは、慌ててボクの陰に回った。
「あなたは? ボクは、この子たちに屋敷を案内してもらってて」
「ここは、屋敷ではないぞ?」
「そうみたいですね? ボクはキョウ。蒼屋キョウ。あなたは?」
「わしか? わしはマキ……は居ったのぉ……。そう、サキじゃ。そなたが蒼屋キョウか? よう来たのぅ」
「ボクのこと、知ってるの?」
「まあ、いろいろ、な」
こんな子まで知れ渡ってるの、ボク。でも独特な言葉を話す子だな。
「ここは、屋敷のバックヤードじゃ。案内されて見て回るほどのものでもないぞ」
「そのようですね?」
リネン室の向かいには休憩室、数名のメイドさんが休んでいる。と思っていたら、目が合ったので会釈して通り過ぎる。
中には、アイロン台なんかあるから休憩室でもなくアイロン作業の部屋みたい。
「サキちゃん、これ上げる」
「なんじゃ? それは」
「クッキー……かな?」
「わしは、そんなものは要らん。いらんが貰っておいてやろう」
言葉と裏腹に嬉しさを噛み殺してサキちゃんは受け取る。
それから、サキちゃん呼びはよせと注意される。
そのサキちゃんも合流してバックヤード、使用人の作業場を練り歩く。
その隣には表につながるドア、搬入口? がある。
あとは使用人の部屋がずらずらと……。
開けた一つめで流石に気づき、慌ててドアを閉めた。
無用心だな。鍵かけててよね? ここは居室も備わった使用人の館だね?
迎賓館から喜多村家の本館へは、通常、外を回って行き来するのだろう。
「本館には行けないのかな?」
「その先の通用廊下を行った先じゃな」
サキちゃんの言う通り、居室の並ぶの長い廊下を抜けて行くと両開きドアに行き当たる。
これが本館につながるドアかな?
こちらもドアは取手がないスイングドアになってる。そのドアを押して出ると廊下に出た。
「喜多村タンポポよ」
一番元気で大きい子がタンポポちゃん、十才。
「マナ、六才」と、握った手に指一本つけ加える。
ピンクのパジャマにご執心な言葉少ないマナちゃん、六才。ほんとはマナミらしいが、マナが定着している。
「アリサ、六才」と、両掌を広げて見せる。
おとなしめのアリサちゃん、六才だが、「お風呂推し」の女の子。
「ちょっと、出かけるって話してくるから……」
そう言って向かいの護衛たちに声をかける。
「どうぞどうぞ」
「本館は、覗き見してると怒られますよ?」
斎木さんは投げ槍、歩鳥さんは注意してくれる。
「うん。ほどほどにして置くよ」
じゃあ、行ってくると皆を連れて連れられ、廊下を奥へ歩く。
どこも居室ばかりで面白みはない。多少の違いがあっても基本同じだ。
中央辺りに食堂というホールがあったり、トイレがあったり、お風呂場があったり、ってお風呂に引き摺って行こうとする皆。
どんだけ風呂に入りたいんだ。まだ行くところがあるでしょう?
その先にも部屋が並んでいるけど同じだろう。
中ほどの階段を上がって二階も部屋の列なりだけだった。
二階十室ずつに対の付き人・護衛の部屋があるだけ。
一階に戻って屋敷の端にある扉の向こうに行く。
屋敷につながる渡り廊下を通って禁断の本館へ行ってしまう。
そこにはドアに取手がない、こちらからもあちらからも押して開けるスイングドアになっている。
そのドアを押して入ると、まず台所・調理場が目に入る。
中を覗いても後片づけや清掃している人が少しいるのと、コンロにかかった鍋の番をする人がいるくらい。
夜に出すスープかもね。
タンポポたちは、暇そうな人を見つけてお菓子をねだっている。
苦笑いしながら、保管庫からクッキーなどを紙ナプキンに包んで渡してくれる。
若い女性、シェフ見習いかな?
「ありがとうございます」
いや、ボクは別に要らないからね?
もうおなかいっぱいだから。でも、もらっちゃうボク。お礼をいって調理場をあとにする。
次、洗濯場というかランドリー。洗濯機や乾燥機が並ぶ。
他はリネン室、キレイになった大量のシーツなどが堆く積まれている。
中には、透明な袋に入った衣装もある。
「そなたら、何をしておる?」
それを感心して眺めていたら後ろから声がかかる。振り向くと銀髪の女の子がいた。
おとなしいブルーのワンピースを着ていて、小学高学年か中学生くらいの子。
髪の毛は背中くらいまである。
子供たちは、慌ててボクの陰に回った。
「あなたは? ボクは、この子たちに屋敷を案内してもらってて」
「ここは、屋敷ではないぞ?」
「そうみたいですね? ボクはキョウ。蒼屋キョウ。あなたは?」
「わしか? わしはマキ……は居ったのぉ……。そう、サキじゃ。そなたが蒼屋キョウか? よう来たのぅ」
「ボクのこと、知ってるの?」
「まあ、いろいろ、な」
こんな子まで知れ渡ってるの、ボク。でも独特な言葉を話す子だな。
「ここは、屋敷のバックヤードじゃ。案内されて見て回るほどのものでもないぞ」
「そのようですね?」
リネン室の向かいには休憩室、数名のメイドさんが休んでいる。と思っていたら、目が合ったので会釈して通り過ぎる。
中には、アイロン台なんかあるから休憩室でもなくアイロン作業の部屋みたい。
「サキちゃん、これ上げる」
「なんじゃ? それは」
「クッキー……かな?」
「わしは、そんなものは要らん。いらんが貰っておいてやろう」
言葉と裏腹に嬉しさを噛み殺してサキちゃんは受け取る。
それから、サキちゃん呼びはよせと注意される。
そのサキちゃんも合流してバックヤード、使用人の作業場を練り歩く。
その隣には表につながるドア、搬入口? がある。
あとは使用人の部屋がずらずらと……。
開けた一つめで流石に気づき、慌ててドアを閉めた。
無用心だな。鍵かけててよね? ここは居室も備わった使用人の館だね?
迎賓館から喜多村家の本館へは、通常、外を回って行き来するのだろう。
「本館には行けないのかな?」
「その先の通用廊下を行った先じゃな」
サキちゃんの言う通り、居室の並ぶの長い廊下を抜けて行くと両開きドアに行き当たる。
これが本館につながるドアかな?
こちらもドアは取手がないスイングドアになってる。そのドアを押して出ると廊下に出た。
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