【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~

ペロりねった

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2.5◇古都へ

58.マキナと、ひと時の分かれ

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「……はい……分かりました。そちらに向かいます」

 連絡が入ってマキナはヘリのハンガーに向かう。

 それにボクも付いて行く。

「じゃあ、二人ともキョウをたのむ」

 ヘリコプターの前にマキナが立って護衛の二人にボクを頼んでいる。

「「お任せください!」」

 二人が承知しょうちしましたと返事する。別れのきわに、どうしてそんな元気なの?

「…………」

 我慢がまんできなくなったボクは、だまって物陰ものかげにマキナを連れて行く。

「何? どうした?」

 ボクは黙ったまま、辺りに視線が無いのを確認するとマキナの首を抱きよせてキスをした。

「行ってらっしゃい……」
「っ! い、行ってくる」

 それは、習慣となって来ていた分かれの挨拶あいさつ

「早く来てください、ね?」

 くちびるの触れあう距離で言葉を交わして分かれをしむ。

「もちろんだ」

 ほんの短い抱擁ほうようでボクたちははなれた。

 そうしてマキナはヘリコプターに乗り飛び立っていった。

 ボクの手にはマキナの携帯が残され、マキナには「ウナギ弁当」とお茶、「夜のパイ」の半分を渡した。

「こちらへ、どうぞ」

 青い作業服の女性が、おずおずと寄ってきて案内してくれる。えりに階級章が付いていて防衛軍の人だろうか。

 空港をはしまで行くいきおいでとなりのハンガー群に連れていかれる。

 そこには、そらの安全をまもる航空機が並んでいる。ボクたちは航空宇宙防衛軍の敷地に入っていた。

 その機体をながめながらおくの建物に入ると青い制服を着た初老の女性が出迎えてくれる。

「ようこそ、新浜松へ。お坊っちゃん」
「ど、どうも。よろしくお願いします?」

 お坊っちゃんて、なんかカチンとくる。

 出迎えてくれた人はなんか胸にたくさんのバッジとかウイングマークを付けている。

 えりには星がいっぱい付いてる。きっとえらい人だろうね?

 お胸が育っていらっしゃるので、いいお年だと推察すいさつする。例外はあるけれど、お胸を見ると、大体のお年が分かる。

「飛ぶ準備はできていますよ。あとは貴方あなたたちです」

 そう言って、奥へ連れていかれた先はロッカー室だった。なんかイヤ予感よかん悪寒おかんがする。

「ええっと、ちっこいのあったかな~?」

 ひとり言をつぶやいているけどこえてるよ? 「だれがチビじゃ!」とは流石さすがに突っ込めません。

 そう言う雰囲気《ふんいき》の偉い人です。

 もしかして、チビ──じゃなかった(自虐)、航空隊には小柄《こがら》な人はいないのかな?

「まあ、これか?」

 そう言って渡されたのはサウナスーツみたいな服だった。

 なんかどことなく宇宙服みたいな感じ? これがパイロットスーツって言うんだろうか?

「これ、着ないとダメ……ですよね?」
「もちろん」と満面の笑みで答える偉い人。

 はあ~っとため息をいて、部屋に居座った偉い人に進言する。

「あの~出ていってもらえます、か?」
「大丈夫だ。──」

 えっと、何が、大丈夫?

「──自分が居ないと着替えられないでしょう……」

 まあ、確かに着なれている人に居てもらった方がいい、かもね? 果たしてそうか?

「ちょっと、ずかしいんですけど?」
「ダイジョウブ、ダイジョウブ。皆、通る道だから……」

 全然、意味わかんないけど、通る道って何さ? 仕方ないので渋々しぶしぶ、パジャマをいでいく。

「あ、あの~。そんなにじっと観られると、ですね?……」
「さあ、早く。仮想敵国の航空機は3分で防衛圏内に到達します。速さが大事──」

 スイッチが入ったらしい偉い人は、動作の早さを重要視した話をする。

 それが止めどないのであきらめて聞き流し、さっさと脱いで着替えていく。

 ちなみに護衛の二人、歩鳥ほとりさんと斎木さいきさんは着替え終わっていた。なんだかな。

 素人しろうとでも着替えられているんじゃないの?

「『馬子まごにも衣装いしょう』とはこの事ですな~」

 着替えたボクを見てひと言、そう言った。ほっとけ!

すそは引きずり、そでから指先しか出ないとは……」とか付け加えられる。

 言うな、チビとか! 言ってないけど。

「坊っちゃ──キョウ殿どのにパイロットはムリですなぁ~」

 誰もパイロットになりたいとは思ってないけどね!

 まあ、パイロットは小さくても大き過ぎてもダメらしい。と、エロ──偉い人が教えてくれました。

 ボクは小さくて無理なので助かった。ジェットコースターみたいに大きさ制限せいげんがあるとはおどろきだよ。

 ボクは一六〇|(実測一五五センチ)もあるから、ジェットコースターなら乗れるけどね!


 そこから、ハンガーへ向かうと非光沢マットにび色な外装の戦闘せんとう機の前まで連れていかれる。

「あの、これ戦闘機ファイター、ですよね~?」
「もちろん!」
「なぜ、そんなものの前に連れて来られたのでしょう? 旅客機とか、輸送機ですよね、普通」
「大丈夫。コレならいち早くお連れできる」

 特等席に座らせてあげますよ? とニカッと笑い白い歯を見せる偉い人。

「あの、コレに乗って飛ぶんですか? 訓練くんれんしないと……。それ以前に適性てきせい検査とかして──」
「大丈夫。キョウ君は適性があると聴いている」
「ボク──私はその検査の記憶がありませんが?」
「大丈夫!」

 ダメだ、この人。話を聞かない。

 そう言ってる間にもリュックサックみたいなのを背負しょわされてるボク。

「さあさあ、乗った乗った」

 前席にかった梯子ラダーささえて、乗るようかしてくる偉い人は笑顔が絶えない。

 覚悟かくごを決め、足をかけて登っていく……って、ちょっとお!

ひとりで登れますから……」

 ボクのおしりを支えてくれるエロい人。もう、エロい人で良いよね? 決定!

「大丈夫大丈夫」って、この人の言うことは信用ならん。

 指を広げてお尻を包み込むように押してくる。確かに背中が重いので助かってるけどセクハラだよね? これ。


 ◇
 本作に出てくる団体・人物は、架空の存在であり、実際の団体・人物とはいっさい関係ありません。
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