【悲報】みんながボクを狙ってる?~婚姻したら裸にされるし拐われそうになるし、挙げ句、狙われてるって誰得ですか?~

ペロりねった

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2.新居からの新生活

43.病室はヒロイン栄華の夢のあと

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 目が覚めるとベッドの上にいた。

 目の前には無影むえい灯のまぶしい光。訳が分からない。

「あら、目が覚めちゃった?」

 のぞき込む白衣にマスク姿の女性。まぶしい逆光で眩惑げんわくされ、よく見えない。

「ここ……は?」

 影になってよく分からないが、目元は見慣れた感じの人だ。

 起き上がろうとして腕が拘束こうそくされているのに気づいた。頭を上げて見ると足も拘束されている。

 身体には検査衣をまとっているものの、前がはだけられてボクの全てがさらされている。

 さっきまで夢で見ていた『ウィメン・イン・ブラック』の1シーンみたいだ。

 悪い予感しかしない。

「誰? ボクに何してるの?」
「単なる検査だよ」

「ゴメンね」と言って白衣の女は、ボクの体調を調べていたと言う。

 マジ、映画だ! と驚いて完全に頭が覚醒した。

「どうして拘束こうそく?」
「勿論、暴れないように……」
「検査ですよね? イヤな事されなければ暴れませんよ」

 もうイヤな事されてるしね。今すぐ逃げ出したい。

 グローブをめた彼女の手がボクの股間こかんに伸びてきて……。

「やめて! 赤井さん! マキナ!」

 思い切り叫んで、赤井さんやマキナを呼び、拘束を外そうと四肢ししを動かし暴れた。

 例え、それが無理だとしても……。

「もう、仕方ない」

 そう言い女は手を止め、カートの上にある注射銃を取るとボクの腕に当ててった。

 ボクはすぐに意識がなくなり……マキナ~!


「マキナ……」

 気づくと病室にいた。

 かなり豪華な個室だ。かたわらにマキナの姿が見えた。ベッドの横に座っている。

 はあ~、よかった。その気遣きづかう表情を見てボクは安堵あんどした。

 また、悪い夢を見ていたようだ。

「どうして? マキナは、なぜ居るの?」
「お前が倒れたから──って聴いて病院に搬送はんそうさせたんだ」

 なんだか苦々しげに目を伏せマキナが言う。

「そうですか。赤井さんは……。母は?」

「ああ……赤井は、仕事を終わらせて帰した。つい先ほどまで付き添っていたんだが……。君の母さんは──」

 しらせたが、忙しいそうで……と、申し訳なさそうに顔をそむけてしまう。

 母は、やっぱり変、らしい。マキナの歯切れの悪さから良く分かる。

 もうその現実に向き合う覚悟をしないといけないのかも知れない。

「……やっぱり、そうですか」

 半ば感じていた不調和が現実になった瞬間だ。

「知っているのか」とマキナが聴くのでボクの予想を話す。

 ほぼ、その通りだろう、とマキナが肯定こうていしてしまう。

 家に行って見たと言うマキナの話を聞く。

 早めに退社したあと、車を走らせ見に行ってくれたらしい。それによれば、実家は空き家になり「売家」になっていたと。

 あまりに早いその転身に呆気あっけに取られる。婚姻こんいんして三日だよ?

 マキナは、身辺調査にかくされた秘密がかなり有った、と自責する。

 母は、いわゆる「ホスト狂い」ではないかと。

 新しい遺伝子を求めて男にみついで散財しているのではないか、と結論したと言う。

 姉にも母の様子を聴いたが、母には「連絡つけづらい」くらいにしかとらえていなくて、見聞きした証拠を報せるのを躊躇ためらっているよう。

「蒼屋から喜多村に名を変えるか?」

 唐突にマキナが聴いてくる。少し考えたあと、ボクはまだ蒼屋でいる、と断る。

 将来は分からないけど、婦夫別姓が許されているので別に婚家の名を名乗らなくても良い、今はまだ。

 囲われ婚だと、否応なく変えさせられるらしいけれど……。マキナは、そこまで求めて来ない。

「せめて、学園を卒業するまでは蒼屋でいます」
「……分かった」

 しんみりする中、ドアが開いてあの! エロ医師が入ってくる。

「あっ! エロ改造魔人!」

 その姿は、変わらぬ白衣にマスク姿で聴診器を首から下げている。

 あれは、夢じゃなかったんだ!

「何よ、それ?」

 女医師は抗議して、「それは、なんだ?」とマキナは理解不能の表情をする。

『ウィメン・イン・ブラック』に出てきた悪役だとボクが告げると、「へえぇ~?」っと興味をなくしている。

 昔、そんな映画があったな、と回顧かいこする程度だ。シリーズは、4作まで作られたのに。

 勧善かんぜん懲悪ちょうあくのストーリーで、ドタバタの喜劇要素があって、すごく面白い。

ひどい。マキ姉、言ってやって」
「フム、あながち間違ってない、かな?」

 あごに手を当て虚空こくうに視線を向けながら納得している。

「ひっど~い」
「で、誰なんです? この、悪辣あくらつ医師」
長妹ちょうまいのアヤメだ。お前の二人目のあるじだな」

 ほぉ~うと、長いため息をついてマキナが紹介してくれる。

「──チェンジで!」

 即座にダメ出ししてボクはチェンジを要求する。
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