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2.新居からの新生活
35.学園の食堂にて
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「あなたたち、ワタクシが食べるので退くでございます」
アンナさんは陽当たりの良いテーブルの前に行くと、食べている人たちを睥睨して言う。
「ちょ、ちょっと、アンナさん。ゴメン、他所に行くから……」
食べていた女子、上級生がぽかんと呆ける中、今度はボクがアンナさんを引き摺って、空いたテーブルのある日陰の方に連れていく。
見回していると、担任の五条先生が手招きしていて、それに従いそちらに向かう。
「平民は追い払えばよいですことよ」
「不双では、平民ばかりなんだから」
マジでお貴族様なのか? この国では特権は振りかざせない、アンナさんは皆と一緒の平民扱いなのだと窘める。
「窮屈ですこと。キョウ様は、うちの国に来るべきですことよ。そうすれば、女どもは、あなたにひれ伏すのです」
女どもって、あなたも女では?
「主人たちがいるから旅行はできないと思うよ? 先生、ここ良いですか?」
「おう、座れ座れ」
先生が座っていたテーブルにボクやミナ・タマの二人、アンナさんが座り、続いて料理のトレイを持った緋花さん、紅月さんに、羽鳥来さんも席に着く。
「旅行ではございませんことよ。ワタクシの……パートナーとして」
何言い出すんだ、この人は。言っててモジモジしてるし。
これは、略奪なのか。既婚者にプロポーズしてるのか?
「主人には恩があるから、離婚はムリだよ」
「アンナ様、お料理を持って参りました」
「ご苦労様、ビビ」
いいタイミングで話を打ち切るように、ビビさんがトレイを二つ持って来て、一つをアンナさんの前に置くと自身も席に着く。
「さ、さあ、頂きましょうか?」
「「「頂きます」」」
透かさず、食事の開始で話の中断に追い打ちをかけた。
「で、お見合いの話、でしたっけ?」
食べながら、婚姻話の方に誘導してみる。
「そこはもう……いい。なんで遡る」
「うん、うん」
ミナ・タマの二人がお約束の突っ込みをくれる。
「なあ、また初体験の話か? 初聞きはダメージ、というか刺激が強いぞ?」
俺は、大人だから堪えたけどな、と五条先生が助言する。話したあの時、そうは見えなかったけどね?
羽鳥来さんも既に教室で聴いてるから大丈夫か。そして、アンナさんや他の二人に視線を巡らせる。
「私たちは、文芸部ですので参考にします」
緋花さんと紅月さんは文芸部だったのか。懐から携帯端末を取り出している。
皆を見回してたら、離れて五月ヶ原ユキトくんが食事しながらこちらを見てた。
「ん~、では……。新居の部屋には大きなベッドがありまして──」
それから結婚初日の夜のことを淡々と話した。
お風呂に入ってたら一緒に入ってきて、いつしか洗いっこしたこと。
ボクのために買ってくれた(恥ずかしい)下着を着けるように言われて、そのあとを覚悟したこと。
カタカタという音に気付いて見ると、携帯端末を烈しく叩くホムラさんがいた。
ミントさんは端末をこちらに向けて……撮影・録音してるのか?
五条先生、言った割になんかプルプルしてるけど大丈夫かな? 今なら引き返せますよ?
ミナ・タマの二人は耐性ついたか。むしろ期待している風だ。
あ、アンナさんは……大丈夫か? 悲喜が入り交じった表情をしてる。
ビビさんは、平静を装ってますが鼻血が垂れてきてますよ?
「部屋に恐る恐る入ると、主人がベッドに座って待っていました。おずおずと進むと両腕を広げて迎えてくれ、引かれてボクはその腕の中に収まって──」
ギリギリと、アンナさんから歯ぎしりする音が聴こえてくる。
見回すと、他の皆は真っ赤になってる。ミナ・タマも限界が来そうなのかプルプルしだした。
五条先生は……平然としてるけど鼻の頭が真っ赤になってますよ?
「──抱きしめられて寝転ぶと、折角着けたものがゆっくり脱がされていき……肌が現れればそこを撫でられ、そのたびボクは強ばってしまって……」
皆を見ると限界近いっぽいけど続けていい、かな? 知らないよ。
「……温かい唇が身体中を這い回ってボクを確認すると、……アレを飲まされて……」
って、もう皆限界かな。一様に血を湧き出させている。案外、羽鳥来さんが堪えてるな。
「……二人は一つになり、ました。めでたしめでたし」
「どこの昔話だ」との突っ込みもなく話し終えましたとさ、めでたし、めでたし?
アンナさんは陽当たりの良いテーブルの前に行くと、食べている人たちを睥睨して言う。
「ちょ、ちょっと、アンナさん。ゴメン、他所に行くから……」
食べていた女子、上級生がぽかんと呆ける中、今度はボクがアンナさんを引き摺って、空いたテーブルのある日陰の方に連れていく。
見回していると、担任の五条先生が手招きしていて、それに従いそちらに向かう。
「平民は追い払えばよいですことよ」
「不双では、平民ばかりなんだから」
マジでお貴族様なのか? この国では特権は振りかざせない、アンナさんは皆と一緒の平民扱いなのだと窘める。
「窮屈ですこと。キョウ様は、うちの国に来るべきですことよ。そうすれば、女どもは、あなたにひれ伏すのです」
女どもって、あなたも女では?
「主人たちがいるから旅行はできないと思うよ? 先生、ここ良いですか?」
「おう、座れ座れ」
先生が座っていたテーブルにボクやミナ・タマの二人、アンナさんが座り、続いて料理のトレイを持った緋花さん、紅月さんに、羽鳥来さんも席に着く。
「旅行ではございませんことよ。ワタクシの……パートナーとして」
何言い出すんだ、この人は。言っててモジモジしてるし。
これは、略奪なのか。既婚者にプロポーズしてるのか?
「主人には恩があるから、離婚はムリだよ」
「アンナ様、お料理を持って参りました」
「ご苦労様、ビビ」
いいタイミングで話を打ち切るように、ビビさんがトレイを二つ持って来て、一つをアンナさんの前に置くと自身も席に着く。
「さ、さあ、頂きましょうか?」
「「「頂きます」」」
透かさず、食事の開始で話の中断に追い打ちをかけた。
「で、お見合いの話、でしたっけ?」
食べながら、婚姻話の方に誘導してみる。
「そこはもう……いい。なんで遡る」
「うん、うん」
ミナ・タマの二人がお約束の突っ込みをくれる。
「なあ、また初体験の話か? 初聞きはダメージ、というか刺激が強いぞ?」
俺は、大人だから堪えたけどな、と五条先生が助言する。話したあの時、そうは見えなかったけどね?
羽鳥来さんも既に教室で聴いてるから大丈夫か。そして、アンナさんや他の二人に視線を巡らせる。
「私たちは、文芸部ですので参考にします」
緋花さんと紅月さんは文芸部だったのか。懐から携帯端末を取り出している。
皆を見回してたら、離れて五月ヶ原ユキトくんが食事しながらこちらを見てた。
「ん~、では……。新居の部屋には大きなベッドがありまして──」
それから結婚初日の夜のことを淡々と話した。
お風呂に入ってたら一緒に入ってきて、いつしか洗いっこしたこと。
ボクのために買ってくれた(恥ずかしい)下着を着けるように言われて、そのあとを覚悟したこと。
カタカタという音に気付いて見ると、携帯端末を烈しく叩くホムラさんがいた。
ミントさんは端末をこちらに向けて……撮影・録音してるのか?
五条先生、言った割になんかプルプルしてるけど大丈夫かな? 今なら引き返せますよ?
ミナ・タマの二人は耐性ついたか。むしろ期待している風だ。
あ、アンナさんは……大丈夫か? 悲喜が入り交じった表情をしてる。
ビビさんは、平静を装ってますが鼻血が垂れてきてますよ?
「部屋に恐る恐る入ると、主人がベッドに座って待っていました。おずおずと進むと両腕を広げて迎えてくれ、引かれてボクはその腕の中に収まって──」
ギリギリと、アンナさんから歯ぎしりする音が聴こえてくる。
見回すと、他の皆は真っ赤になってる。ミナ・タマも限界が来そうなのかプルプルしだした。
五条先生は……平然としてるけど鼻の頭が真っ赤になってますよ?
「──抱きしめられて寝転ぶと、折角着けたものがゆっくり脱がされていき……肌が現れればそこを撫でられ、そのたびボクは強ばってしまって……」
皆を見ると限界近いっぽいけど続けていい、かな? 知らないよ。
「……温かい唇が身体中を這い回ってボクを確認すると、……アレを飲まされて……」
って、もう皆限界かな。一様に血を湧き出させている。案外、羽鳥来さんが堪えてるな。
「……二人は一つになり、ました。めでたしめでたし」
「どこの昔話だ」との突っ込みもなく話し終えましたとさ、めでたし、めでたし?
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