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2.新居からの新生活
20.お昼休みに
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机を突き合わせ男子三人で静かに食べ始める。周りが静かで不気味だ。
いつもは適度に猥雑な話が聞こえるのに静まり返っている。
女子の話声が聞こえず耳をそばだてているのだろう。そんなに聞きたいのか、言葉を選んで喋らなきゃ
そんな沈黙に痺れを切らして、話をせがんでくる男子。忘れてくれればいいのにね。
仕方なく声を潜めて話し始めた。でも静寂の中で結構声が漏れているな。
新居で割り当てられた部屋のことを話し始めると、周りからブーブー不満の声が上がった。
そんな女子たちに男子二人が不満を露わに見回す。
「相手はどんな人~?」っと、誰かが言う。
ミナちゃんとタマちゃんが顔を見合せて頷き合うと「どんな人?」と訊いてきた。
相手のことを知りたいのは女子たちと協調したようだ。
「普通の人だよ。課長待遇の会社員。背丈は百七十くらい……」
親族系列の会社勤めとか、名前が喜多村とかは言わない方がいいよね。名前が分かると理事長先生と親族どころか義叔母だって分かってしまう。
「課長くらいか……結構、頑張った感じ?」
「そ、そうだね」
並みの課長では、男を娶ることはできないからね。
「顔合わせから日にちがないから性格とか趣味とか分からないよね?」
「じゃあ、ベッドの話を。特に使い心地とかを白状せよ!」
周りが一斉に頷く。ミナちゃん、言っておいて顔を真っ赤にしないでよ。
「ベッド、ね? そうね、凄く大きい──」
「「フムフム」」
「エンプレスサイズ? って言うの?──」
「「「おおっ!」」」
ミナちやんタマちやん含め教室から歓声が上がってビクっと身体が強ばった。
落ち着くために一旦、お茶で口を湿らせる。男子の視線がボクを凝視して早くと訴えている。
「ふう。三人が一緒に眠れるくらい大きいの。それに天蓋が付いていて……」
ざわざわと教室中がざわめいて猥雑に染まるがすぐに静まる。
「それって多人数でも……ってこと、だよね?」
「単に寝相が悪い人なのでは?」
「キョウちゃん用だよ。キョウちゃんって寝相悪い?」
男子の憶測が交わされている。周りも同様な話題で占められているようだ。
「ボクはそんなに寝相が悪いと思わないけど。右に左に寝返りが打てると助かるかな」
「天蓋って侍女とかが起こしにくるまで暗くしているためだったよね? 起きてもらっても良くなるまで、回りが主人を起こさないために」
「そうなんだ」
「お貴族様だね。課長くらいで侍女とか雇えるのかな?」
「それはどうだろう。家には侍女はいないよ。通いのお手伝いさんだけ。よく知らない」
知らないふりしたけど、そうです。系列会社がいっぱいの教育法人や総合病院を運営できる財閥を組むようなお家の人です。
「それで、使い心地は?」
ああ、やっぱり、そこへ行き着くのね。
「あ、うん。好い、と思う」
「そうじゃなくて、同居して二日もあったんだから、その……結婚前に間違い、とか有ったでしょ!」
「そうだね。キョウちゃんと婚約して同じ屋根の下にいて間違いが起きないハズがない……」
「で?! 襲われた? 犯された?」
また、教室が静まり返る。言うべきか逡巡しているうちに男子二人の鼻から血が……。
ガタガタ椅子が鳴るのを見回せば、女子たちも鼻血を流したり、教室の外へ駆け出していた。
鼻血ふくまで興奮するなら訊かなきゃいいのに。
「ご想像に、お任せします……」
いつもは適度に猥雑な話が聞こえるのに静まり返っている。
女子の話声が聞こえず耳をそばだてているのだろう。そんなに聞きたいのか、言葉を選んで喋らなきゃ
そんな沈黙に痺れを切らして、話をせがんでくる男子。忘れてくれればいいのにね。
仕方なく声を潜めて話し始めた。でも静寂の中で結構声が漏れているな。
新居で割り当てられた部屋のことを話し始めると、周りからブーブー不満の声が上がった。
そんな女子たちに男子二人が不満を露わに見回す。
「相手はどんな人~?」っと、誰かが言う。
ミナちゃんとタマちゃんが顔を見合せて頷き合うと「どんな人?」と訊いてきた。
相手のことを知りたいのは女子たちと協調したようだ。
「普通の人だよ。課長待遇の会社員。背丈は百七十くらい……」
親族系列の会社勤めとか、名前が喜多村とかは言わない方がいいよね。名前が分かると理事長先生と親族どころか義叔母だって分かってしまう。
「課長くらいか……結構、頑張った感じ?」
「そ、そうだね」
並みの課長では、男を娶ることはできないからね。
「顔合わせから日にちがないから性格とか趣味とか分からないよね?」
「じゃあ、ベッドの話を。特に使い心地とかを白状せよ!」
周りが一斉に頷く。ミナちゃん、言っておいて顔を真っ赤にしないでよ。
「ベッド、ね? そうね、凄く大きい──」
「「フムフム」」
「エンプレスサイズ? って言うの?──」
「「「おおっ!」」」
ミナちやんタマちやん含め教室から歓声が上がってビクっと身体が強ばった。
落ち着くために一旦、お茶で口を湿らせる。男子の視線がボクを凝視して早くと訴えている。
「ふう。三人が一緒に眠れるくらい大きいの。それに天蓋が付いていて……」
ざわざわと教室中がざわめいて猥雑に染まるがすぐに静まる。
「それって多人数でも……ってこと、だよね?」
「単に寝相が悪い人なのでは?」
「キョウちゃん用だよ。キョウちゃんって寝相悪い?」
男子の憶測が交わされている。周りも同様な話題で占められているようだ。
「ボクはそんなに寝相が悪いと思わないけど。右に左に寝返りが打てると助かるかな」
「天蓋って侍女とかが起こしにくるまで暗くしているためだったよね? 起きてもらっても良くなるまで、回りが主人を起こさないために」
「そうなんだ」
「お貴族様だね。課長くらいで侍女とか雇えるのかな?」
「それはどうだろう。家には侍女はいないよ。通いのお手伝いさんだけ。よく知らない」
知らないふりしたけど、そうです。系列会社がいっぱいの教育法人や総合病院を運営できる財閥を組むようなお家の人です。
「それで、使い心地は?」
ああ、やっぱり、そこへ行き着くのね。
「あ、うん。好い、と思う」
「そうじゃなくて、同居して二日もあったんだから、その……結婚前に間違い、とか有ったでしょ!」
「そうだね。キョウちゃんと婚約して同じ屋根の下にいて間違いが起きないハズがない……」
「で?! 襲われた? 犯された?」
また、教室が静まり返る。言うべきか逡巡しているうちに男子二人の鼻から血が……。
ガタガタ椅子が鳴るのを見回せば、女子たちも鼻血を流したり、教室の外へ駆け出していた。
鼻血ふくまで興奮するなら訊かなきゃいいのに。
「ご想像に、お任せします……」
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