*いにしえのコトノハ*9 苦くて、甘くて、時々しょっぱい

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旅行は二泊三日だったから、昨日帰ってきている。

グループメッセージで無事帰宅の報告があったから、今回の旅行も何事もなく終了したようだ。

一応、家に着くまでが旅行と位置づけて、メンバー全員自宅に到着したことをグループメッセージで報告して完了となる。

解散した場所から自宅に戻るまでに何かあったら大変だ。

しかし全員問題なく帰れたようだ。

今回旅行に参加しなかったオレはどうしようか迷ったが、全員報告が決まりなので、「おかえり」と送っておいた。

すると、すぐさま『次は絶対一緒に行こう』という誘いと『今回は残念』という励ましの反応があって、ホロリとした。

ちゃんとオレの存在も忘れずにいてくれたことが嬉しかった。

もちろんワッキーからも反応はあって

『つづく』

という謎の言葉が返ってきた。

これはよく漫画やドラマなんかの最後にあるのと同じで、次回につづく、という意味らしい。

確かに旅行はこれで終わりではないし次回もあるのだが、少し考えさせられる言葉を送ってくるあたり、同い年からぬチョイスだなと思ったりした。

そんなワッキーの元へ、本の整理をするふりをして近づく。

「よっ、どうしたんだ?」

ワッキーは会話していることがバレないように、本に目線を預けたまま淡々と答える。

「メッセージを送ったが反応がないのでこっちへ来た」

「あ、悪い。暇ができたんでバイトを入れたんだ」

「時間の有効活用だ。すばらしい」

眼の前で褒められて気分が上がる。

ワッキーは正直なので、褒められると嬉しくなる。

「君たち、変わった話し方するね」

いつの間にか背後に忍び寄っていた店長に声をかけられ、オレは驚き振り向いた。

店長の、気配を殺して近づく忍術には時々度肝を抜かれる。

「誰にも迷惑がかからない方法を編み出した結果です」

店長が現れてもワッキーは本に向かって答えている。

「ワッキーくんは友達とお店思いだねぇ」

ワッキーはこのコンビニの常連で、オレの友達ということもあってか、店長も親しみを込めてあだ名で呼んでいる。

「プーさん、今日は午前中まででいいよ。ワッキーくん来てくれてるし」

「えっ」

今日もフルタイムで入ろうと思っていた。

休日予定がない時は、朝8時から夕方5時まで働いているのだ。
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