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お父さんとお母さんの存在を残してくれたことを嬉しく思う。
いつか私の前に現れた時に、呼ぶことを戸惑わせないためだろう。
15年間現れなかった。
だからもうきっと現れることはないだろうけど。
それでも気遣ってくれることが嬉しかった。
私はそっと大将の横に移動し、これで最後になる砂浜を並んで歩いた。
「なっちゃんがいなくなっても1人で頑張るよ。一人前になって帰ってきたら、海の家の大将を譲ってあげられるように」
「うん!」
大将が自然にそう言ってくれることが嬉しい。
きっと何も言わなくても、大将は私が海の家を継ぎたいということに気づいている。
だって親ってそういうものでしょう。
子どもの考えなんてお見通し、なんて言って。
「あ、でも外の世界に行って別にやりたいことができたら、そっちへ進んでくれても全然構わないから」
そんなはずないじゃない。
やっぱりちょっと甘いか。
だって半分父で、半分大将だもの。
先のことはわからなけど、大丈夫。
私は戻ってくる。
大将と過ごしたこの海の家に。
お父さんとお母さん、そして大将が待つこの海に。
私はきっとまた戻ってくる。
波の音を聞きながら、そう胸に強く誓った。
いつか私の前に現れた時に、呼ぶことを戸惑わせないためだろう。
15年間現れなかった。
だからもうきっと現れることはないだろうけど。
それでも気遣ってくれることが嬉しかった。
私はそっと大将の横に移動し、これで最後になる砂浜を並んで歩いた。
「なっちゃんがいなくなっても1人で頑張るよ。一人前になって帰ってきたら、海の家の大将を譲ってあげられるように」
「うん!」
大将が自然にそう言ってくれることが嬉しい。
きっと何も言わなくても、大将は私が海の家を継ぎたいということに気づいている。
だって親ってそういうものでしょう。
子どもの考えなんてお見通し、なんて言って。
「あ、でも外の世界に行って別にやりたいことができたら、そっちへ進んでくれても全然構わないから」
そんなはずないじゃない。
やっぱりちょっと甘いか。
だって半分父で、半分大将だもの。
先のことはわからなけど、大丈夫。
私は戻ってくる。
大将と過ごしたこの海の家に。
お父さんとお母さん、そして大将が待つこの海に。
私はきっとまた戻ってくる。
波の音を聞きながら、そう胸に強く誓った。
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