*いにしえのコトノハ*1 Red leaf

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翌日。

学校なんて行く気にはなれなかった。 

カナと会うわけだし。 

普通の時間に起きて、普通の時間に家を出て、そして何を思ったかオレは公園に向かっていたんだ。 

これじゃ現実逃避ってわかっているんだけどさ。

学校をサボったことはなかったよ。

親が厳しい人だったから。

でもこの日だけはどうしても、何を言い聞かせても学校に行く気にはなれなかった。

オレはこのまま公園に向かっていつものベンチに腰掛けた。 

いつもは午後に来るわけだから気温が全然違っていて、肌寒いだけだったな。 

朝だから散歩している人も遊んでいる子供もいない。 

そんな中、1人制服姿の高校生がポツンと座っている光景は、どこから見ても哀愁漂うものだったんじゃないかな。

誰もいない公園に声をかけてくれる人は誰もいない。 

そんな中、何であいつは来るんだろうな?

向こうの方からカナが歩いてくるのが見えたんだよ。 

ボーっと座っているだけでいつの間にか数時間経っていたらしい。

カナはオレが無断で学校を休んでいるからって理由で早退して、オレのことを探しにきたみたいだ。 

公園でオレの姿を見た時、やっぱりここにいたって表情をしていた。

オレはオレでカナがやってきて非常に気まずい状態だったし、反射的にベンチから腰を上げると背を向けて帰ろうとした。

その時だ。

カナが全速力で駆けつけてきて、オレの背中に抱きついたのは。
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