3 / 14
2
しおりを挟む
同じ日々を繰り返して、変化があったのはオレ達が高校3年生になる頃だっただろうか。
いつものようにオレがベンチで本を読んでいると、隣に座ったカナが公園内にある大きな木を見ながら言った。
「あのウワサって本当かな?」
カナの言葉に興味を抱いたオレは、本を閉じてカナに尋ねた。
「ウワサって?」
「願いが叶う葉のウワサ」
ウワサ―――実はこの公園には言い伝えがある。
本当かどうか疑わしいのだが。
この公園には大きな木がたくさんあり、その木の1つに年中赤い葉をつけているものがある。
本来葉は季節によって緑、黄色と変色していくのだが、ある1枚だけずっと赤い色をつけているのだ。
赤い葉は散ってもまた同じ赤い葉が生えてくる。
いっぱい生い茂った中に1枚だけ赤い葉がついているので、それはとても目立つ。
願いが叶う葉というのは、まぎれもなくこの赤い葉のことを言っている。
何度散っても赤い葉として芽生えるこの葉には奇跡的な力があるとしてこんなウワサがつくようになったのだ。
「そろそろ散っちゃう時期でしょ?散ったら手に入れたいな」
赤い葉は毎年冬になると散っている。
散ってもまた新たに生えてくるから気にしてはいなかったが、散る葉を手に入れたいなんて考えは生まれなかったな。
カナは何か叶えたい願いでもあるのか?
きっと時期が時期だけに受験の必勝お守りとして手に入れたいのだろう、なんてことをオレは思っていたんだったな。
「もうすぐ卒業でしょ?だから早く手に入れたいの」
「あぁ、受験は卒業前だしな」
オレはカナの言葉に合わせてそう言ったのだが、カナはキョトンとしている。
「何言ってるの?受験の話なんてしてないじゃない」
願いが受験合格なんだと信じて疑わなかったオレは疑問を感じた。
「卒業したらみんなとお別れでしょ?好きな人とも。だから…それまでに私…」
そう切り出されてオレはその時初めてカナに好きな人がいることに気づいたんだ。
ずっと一緒にいたのに全く気づかないなんて、ほんと男って鈍い生き物だと思ったよ。
鈍くてその時カナが頬を紅潮させていることにも気づかずにいた。
本当はその時、カナが誰かに片思い中って事実がショックで、頭が真っ白になっていたと言った方がわかりやすいんだろうけど。
だって自分の片思い相手が片思い中って言い出したんだぜ?
相手への嫉妬や何とかしなきゃって焦りが生まれてくるよな。
って言っても何の武器もないオレはただカナの話に相槌を打つことしかできなかったんだ。
いつものようにオレがベンチで本を読んでいると、隣に座ったカナが公園内にある大きな木を見ながら言った。
「あのウワサって本当かな?」
カナの言葉に興味を抱いたオレは、本を閉じてカナに尋ねた。
「ウワサって?」
「願いが叶う葉のウワサ」
ウワサ―――実はこの公園には言い伝えがある。
本当かどうか疑わしいのだが。
この公園には大きな木がたくさんあり、その木の1つに年中赤い葉をつけているものがある。
本来葉は季節によって緑、黄色と変色していくのだが、ある1枚だけずっと赤い色をつけているのだ。
赤い葉は散ってもまた同じ赤い葉が生えてくる。
いっぱい生い茂った中に1枚だけ赤い葉がついているので、それはとても目立つ。
願いが叶う葉というのは、まぎれもなくこの赤い葉のことを言っている。
何度散っても赤い葉として芽生えるこの葉には奇跡的な力があるとしてこんなウワサがつくようになったのだ。
「そろそろ散っちゃう時期でしょ?散ったら手に入れたいな」
赤い葉は毎年冬になると散っている。
散ってもまた新たに生えてくるから気にしてはいなかったが、散る葉を手に入れたいなんて考えは生まれなかったな。
カナは何か叶えたい願いでもあるのか?
きっと時期が時期だけに受験の必勝お守りとして手に入れたいのだろう、なんてことをオレは思っていたんだったな。
「もうすぐ卒業でしょ?だから早く手に入れたいの」
「あぁ、受験は卒業前だしな」
オレはカナの言葉に合わせてそう言ったのだが、カナはキョトンとしている。
「何言ってるの?受験の話なんてしてないじゃない」
願いが受験合格なんだと信じて疑わなかったオレは疑問を感じた。
「卒業したらみんなとお別れでしょ?好きな人とも。だから…それまでに私…」
そう切り出されてオレはその時初めてカナに好きな人がいることに気づいたんだ。
ずっと一緒にいたのに全く気づかないなんて、ほんと男って鈍い生き物だと思ったよ。
鈍くてその時カナが頬を紅潮させていることにも気づかずにいた。
本当はその時、カナが誰かに片思い中って事実がショックで、頭が真っ白になっていたと言った方がわかりやすいんだろうけど。
だって自分の片思い相手が片思い中って言い出したんだぜ?
相手への嫉妬や何とかしなきゃって焦りが生まれてくるよな。
って言っても何の武器もないオレはただカナの話に相槌を打つことしかできなかったんだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
機織姫
ワルシャワ
ホラー
栃木県日光市にある鬼怒沼にある伝説にこんな話がありました。そこで、とある美しい姫が現れてカタンコトンと音を鳴らす。声をかけるとその姫は一変し沼の中へ誘うという恐ろしい話。一人の少年もまた誘われそうになり、どうにか命からがら助かったというが。その話はもはや忘れ去られてしまうほど時を超えた現代で起きた怖いお話。はじまりはじまり
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる