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6.魔の弁当箱
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「ユノモトくんはメデューさん苦手ですか?」
普段口数が少ないクスミが珍しく茉の話を続けてくる。
Nキャラ以外にこんなに話を続けてくるのは久しぶりだ。
「あんなの苦手じゃないやつの方が少ないって。クスミも苦手だろ?あんなマシンガントークしてくるやつ」
「そうですね、苦手です」
クスミには珍しく、躊躇することなく間髪入れずに答えた。
Nキャラ以外にこんなに早い反応を見せることもできるのか。
「でも悪い人ではないと思います。Nキャライスを教えてくれたので」
「えぬきゃらいす?」
何だ?
その聞き慣れない変な名前は。
「Nキャラオムライスのことをオレたちはそう呼んでるんだ」
兄キは自信満々に答えているが、今までの出来事を思い返せば何となく想像はつくし、ただ言葉を短縮しているだけじゃないか。
「私は器用なので見よう見まねですぐ習得できます」
「うん、そうみたいだね」
オレもクスミのその特質に影響されて同じように試したら失敗に終わった、ということは黙っていよう。
「Nキャライスの習得は私にとってボーナスでした。UFOキャッチャーでは最近Nキャラを見つけられなくてユノモトくんをガッカリさせてしまっていたので」
「もうクスミがNキャラを取り尽くしちゃったんじゃないの?」
「おそらくそうだと思います」
「オレは人気者がゆえに店側がNキャラを出し惜しみしてるだけだと思ってるけどな!」
ザコキャラを出し惜しんで店側に何の得があるというんだ。
ある日、急にNキャラが登場したとしても喜ぶのは兄キとクスミだけだと思うが。
「エヌマーですら最近見かけないんだ。これは近々ビッグサプライズが来るぞ!えぬクエ取り放題!的な」
「・・・・・・・・・」
兄キだけがヒートアップしていて、見ていてちょっと痛い。
クスミですら状況を把握してえぬえぬクエストの後退を感じ取っているのに。
「・・・もしかしたらそれを狙っているのかもしれませんね。えぬえぬランド、急にえぬクエのキャラを全撤去しましたし」
「だろー!?」
「・・・・・・・・・」
前言撤回。
ちょっとだけ兄キとは違う位置にいたはずのクスミは、あっという間に兄キと同じNキャラバカの部類に戻った。
やっぱりこいつらはいつまで経ってもNキャラのことになるとポジティブ思考になれるのだろう。
ついていけない。
オレはオムライスを完食してプラスチックの容器をポリ袋にまとめ入れ、ゴミ箱に捨てた。
これは使い捨て容器だから、後腐れなくて良い。
返しに行かなくても良いし。
冬休みもこういう感じで持ってきてくれれば良かったんだ。
そしたら昨日わざわざ教室まで行って嫌な思いをしながら返さなくて済んだし。
貰っておいて文句を言うのは失礼だが、そもそも頼んでいないものを渡されたのだから仕方がない。
どちらかと言えば勝手に持ってきた茉が失礼なのだ。
それも冬休みでゆっくりしたい時に。
宿題をしているのを邪魔されてまで。
そもそも何で家にまでやってくるのか。
非常識にもほどがある。
「一真、おでこに川の字ができてるぞ」
「あ!」
オレは言われて眉間に手を当てた。
最近不機嫌になることが多いからか、眉間にしわが寄ることが増えた。
そのしわが川の字のようになっている。
原因は1つしかない。
茉だ。
だからハッキリ言う。
オレは、茉が、苦手だ。
普段口数が少ないクスミが珍しく茉の話を続けてくる。
Nキャラ以外にこんなに話を続けてくるのは久しぶりだ。
「あんなの苦手じゃないやつの方が少ないって。クスミも苦手だろ?あんなマシンガントークしてくるやつ」
「そうですね、苦手です」
クスミには珍しく、躊躇することなく間髪入れずに答えた。
Nキャラ以外にこんなに早い反応を見せることもできるのか。
「でも悪い人ではないと思います。Nキャライスを教えてくれたので」
「えぬきゃらいす?」
何だ?
その聞き慣れない変な名前は。
「Nキャラオムライスのことをオレたちはそう呼んでるんだ」
兄キは自信満々に答えているが、今までの出来事を思い返せば何となく想像はつくし、ただ言葉を短縮しているだけじゃないか。
「私は器用なので見よう見まねですぐ習得できます」
「うん、そうみたいだね」
オレもクスミのその特質に影響されて同じように試したら失敗に終わった、ということは黙っていよう。
「Nキャライスの習得は私にとってボーナスでした。UFOキャッチャーでは最近Nキャラを見つけられなくてユノモトくんをガッカリさせてしまっていたので」
「もうクスミがNキャラを取り尽くしちゃったんじゃないの?」
「おそらくそうだと思います」
「オレは人気者がゆえに店側がNキャラを出し惜しみしてるだけだと思ってるけどな!」
ザコキャラを出し惜しんで店側に何の得があるというんだ。
ある日、急にNキャラが登場したとしても喜ぶのは兄キとクスミだけだと思うが。
「エヌマーですら最近見かけないんだ。これは近々ビッグサプライズが来るぞ!えぬクエ取り放題!的な」
「・・・・・・・・・」
兄キだけがヒートアップしていて、見ていてちょっと痛い。
クスミですら状況を把握してえぬえぬクエストの後退を感じ取っているのに。
「・・・もしかしたらそれを狙っているのかもしれませんね。えぬえぬランド、急にえぬクエのキャラを全撤去しましたし」
「だろー!?」
「・・・・・・・・・」
前言撤回。
ちょっとだけ兄キとは違う位置にいたはずのクスミは、あっという間に兄キと同じNキャラバカの部類に戻った。
やっぱりこいつらはいつまで経ってもNキャラのことになるとポジティブ思考になれるのだろう。
ついていけない。
オレはオムライスを完食してプラスチックの容器をポリ袋にまとめ入れ、ゴミ箱に捨てた。
これは使い捨て容器だから、後腐れなくて良い。
返しに行かなくても良いし。
冬休みもこういう感じで持ってきてくれれば良かったんだ。
そしたら昨日わざわざ教室まで行って嫌な思いをしながら返さなくて済んだし。
貰っておいて文句を言うのは失礼だが、そもそも頼んでいないものを渡されたのだから仕方がない。
どちらかと言えば勝手に持ってきた茉が失礼なのだ。
それも冬休みでゆっくりしたい時に。
宿題をしているのを邪魔されてまで。
そもそも何で家にまでやってくるのか。
非常識にもほどがある。
「一真、おでこに川の字ができてるぞ」
「あ!」
オレは言われて眉間に手を当てた。
最近不機嫌になることが多いからか、眉間にしわが寄ることが増えた。
そのしわが川の字のようになっている。
原因は1つしかない。
茉だ。
だからハッキリ言う。
オレは、茉が、苦手だ。
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