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6.魔の弁当箱

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「メデューさんって何かいい香りがするじゃないですか」

「いい香り・・・?あぁ、香水かな」

茉はここが学校ということも忘れて香水をつけている。

女子の中でどの香りが良いか騒いでいるので、茉だけでなく他の女子もつけているようだ。

おかげでクラスによってはいろんな香りが混ざって臭い。

高校生のうちから香水なんて洒落たものをつけなくてもいいのに。

「ユノモトくんが戻ってきた時一瞬その香りがしたので、そのオムライスがメデューさんのものなのかと思いました」

「・・・・・・なるほど」

そうか、そういう理由か。

それはポリ袋自体が香っていたわけではなく、茉と一緒にいたオレに香水が移ったと考えた方がいいのではないか。

オレは先程無駄にポリ袋をクンカクンカしたことが恥ずかしくなった。

「メデューさんはユノモトくんに好意があるのですね」

「!?」

クスミが突然変なことを言い出したので、オムライスを急いで食べていたオレはむせた。

「うわっ、汚ねーな一真」

気管支に米が入って涙目でむせているオレに兄キは優しくするどころか、怒り出した。

人が苦しんでいるのにその間くらい優しくしてくれないのか。

「クスミ、急に変なことを言わないでくれ」

「おい!クスミっちのせいでむせたみたいな言い方するな!」

「実際クスミのせいでむせたんだよ、オレは」

「何!?クスミっちが何をしたって言うんだ。変な言いがかりはよせ」

兄キは今のクスミの言葉を聞いていたはずなのに、理解できていないのか。

「茉がオレに好意があるなんて、クスミが変なこと言うからだ」

「何ー!?」

クスミからそんな言葉が出てくることに驚きだが、そんなことを考えていることにも驚いた。

クスミは兄キのことを好きなんだろうけど、恋話をするようにはまるで見えない。

それでよく兄キと付き合っているなぁと思うが、そうだから付き合っているようにも思う。

兄キにしても同じだからだ。

「そういえばオレも薄々気づいてはいたが・・・」

何!?

クスミが告白した時、クスミの気持ちを全く受け止め切れていなかった鈍感な兄キですら何か感じていただと!?

「一真、メデューサにターゲットにされたようだな」

「ターゲット?」

「言わなかったか?メデューサはこいつ!と決めたらそいつを集中攻撃するやつなんだ。一真はターゲットにされたんだ」

「・・・それ、ゲームの話だよな?」

「いやいや、あいつは現実世界のメデューサだから。ゲームから飛び出してきたやつだから」

兄キにとってはもう茉=メデューサの具現化なのか。

茉のことを普通にメデューサって言ってしまっているし。

「オレは茉に集中攻撃されて、最後はどうなるんだろうな?」

とりあえず兄キに話を合わせてみる。

最近になって茉がオレに接触してきたのは確かだ。

兄キの見解ではオレはどうなるか知っておきたい。

「そりゃあ髪に巻き付かれて石になるのがオチだ」

「石?オレは助からないのか」

「メデューサを倒すためには仲間が協力しないといけないからな」

「兄キ、クスミと協力してオレを助けてくれよ」

「いやー、オレはメデューサ嫌いだし一真を生贄にしてクスミっちと逃げるよ」

「全然協力的じゃないな!」

何だよ、そもそもクスミがUFOキャッチャー得意という噂を確認するためにわざわざ茉にコンタクトを取ってやったのに、その時の恩を忘れやがって。

あの時、茉と関わっていなかったらあのまま関わらずに済んだ可能性大なんだからな。

オレだけ大損じゃないか。
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