65 / 73
6.魔の弁当箱
11
しおりを挟む
「オレ小学校の時、ご飯の日に牛乳が付くの嫌だったけど、一真はそんなことなかったんだな」
「いやオレも嫌だよ。ご飯に牛乳は」
「何言ってんだ。今現に選んでるじゃないか」
「これは・・・その・・・成り行きだ」
くそう、こんなことになるならお茶を選んでおけば良かった。
米にはやっぱりお茶だろう。
少なくとも牛乳ではない。
しかし茉に会っていなければお茶にパンという変な組み合わせになる。
ええい、パンにも米にも合う飲み物はないのか。
「それ、メデューさんのですか?」
「え?」
メデューさん?
クスミは今後茉のことをメデューと呼ぶようだ。
「オムライス、メデューさんのですか?」
「あ・・・あぁそうだけど、よくわかったな」
「えぇ!?メデューサのオムライス!?」
オレがクスミの質問を肯定すると、間もなく兄キがでかい声で言葉をかぶせてきた。
「お前・・・やっぱり呪われたのか?」
「呪われた?」
「年末に話してただろ。メデューサのオムライス食べたらそれしか食べたくなくなる呪いにかかるって」
確かにそんな話をした。
というか、忘れっぽい兄キが何でそんなどうでもいいことは覚えているのか。
「言っておくがこれはくれと言って手に入れたものではない」
「奪ってきたのか?」
「奪ってもいない。むしろ奪われたのはオレの方だ。オレのパンを奪われて代わりにこれを渡された」
オレは先程のやりとりをかいつまんで話した。
さぞかしオレに同情してくれると思いきや、兄キは怒り出した。
「何だよ。じゃあパン買わなくて良かったじゃん」
「・・・結果的にはそうなるな」
別にあの時パンがなかったとしてもオムライスは手に入ったわけだし。
「お前、クスミっちにお金借りてパン買ったこと忘れてないだろうな?」
「忘れるわけないだろう。お金は明日返すつもりだ」
「使わなくていいお金を使ったんだからな?100%上乗せして返せよ」
「何でだよ!」
何で500円を借りて翌日1000円返さないといけないんだ。
闇金よりひどい。
しかもクスミが言っているわけじゃないし。
それにしても・・・。
「このオムライス、茉が作ったってよくわかったな」
オレはこれが茉からだと言う前に、クスミが勘づいたのが不思議でならなかった。
入っていた袋もポリ袋だったし、プラスチックの容器だったし、購買部にオムライスは置いていないが、普段から弁当持参のクスミはそこに寄り付かないからそんなことも知らないだろう。
オムライス自体も上にケチャップがかかっているだけの普通のものだったし、えぬたまなら皿の縁にケチャップがついているが、そういうものもこれにはない。
「そのポリ袋からメデューさんの香りが・・・」
「え?ポリ袋?」
突然何を言い出すのかと思いきや、クスミはポリ袋の香りが茉のものだと言い出した。
ポリ袋って単なる袋だろ?
そこから匂いがするってやばいじゃないか。
オレは不安に思いながら鼻にポリ袋を近づけた。
クンクン・・・何も感じない。
「何の匂いもしないんだが」
あらゆる角度から確認してみたが、特に気になる匂いはしなかった。
無臭だ。
「一真、鼻が悪いんじゃないか?」
「悪くないよ。鼻炎でもないし鼻風邪もひいてない。兄キは何かわかるのか?」
「いや、オレにはそもそもメデューサの匂いってやつがわからん」
「オレもわかんねーよ」
改めてポリ袋の匂いを嗅いでもわからない。
一体クスミはどんな匂いを感じ取っているんだ。
「いやオレも嫌だよ。ご飯に牛乳は」
「何言ってんだ。今現に選んでるじゃないか」
「これは・・・その・・・成り行きだ」
くそう、こんなことになるならお茶を選んでおけば良かった。
米にはやっぱりお茶だろう。
少なくとも牛乳ではない。
しかし茉に会っていなければお茶にパンという変な組み合わせになる。
ええい、パンにも米にも合う飲み物はないのか。
「それ、メデューさんのですか?」
「え?」
メデューさん?
クスミは今後茉のことをメデューと呼ぶようだ。
「オムライス、メデューさんのですか?」
「あ・・・あぁそうだけど、よくわかったな」
「えぇ!?メデューサのオムライス!?」
オレがクスミの質問を肯定すると、間もなく兄キがでかい声で言葉をかぶせてきた。
「お前・・・やっぱり呪われたのか?」
「呪われた?」
「年末に話してただろ。メデューサのオムライス食べたらそれしか食べたくなくなる呪いにかかるって」
確かにそんな話をした。
というか、忘れっぽい兄キが何でそんなどうでもいいことは覚えているのか。
「言っておくがこれはくれと言って手に入れたものではない」
「奪ってきたのか?」
「奪ってもいない。むしろ奪われたのはオレの方だ。オレのパンを奪われて代わりにこれを渡された」
オレは先程のやりとりをかいつまんで話した。
さぞかしオレに同情してくれると思いきや、兄キは怒り出した。
「何だよ。じゃあパン買わなくて良かったじゃん」
「・・・結果的にはそうなるな」
別にあの時パンがなかったとしてもオムライスは手に入ったわけだし。
「お前、クスミっちにお金借りてパン買ったこと忘れてないだろうな?」
「忘れるわけないだろう。お金は明日返すつもりだ」
「使わなくていいお金を使ったんだからな?100%上乗せして返せよ」
「何でだよ!」
何で500円を借りて翌日1000円返さないといけないんだ。
闇金よりひどい。
しかもクスミが言っているわけじゃないし。
それにしても・・・。
「このオムライス、茉が作ったってよくわかったな」
オレはこれが茉からだと言う前に、クスミが勘づいたのが不思議でならなかった。
入っていた袋もポリ袋だったし、プラスチックの容器だったし、購買部にオムライスは置いていないが、普段から弁当持参のクスミはそこに寄り付かないからそんなことも知らないだろう。
オムライス自体も上にケチャップがかかっているだけの普通のものだったし、えぬたまなら皿の縁にケチャップがついているが、そういうものもこれにはない。
「そのポリ袋からメデューさんの香りが・・・」
「え?ポリ袋?」
突然何を言い出すのかと思いきや、クスミはポリ袋の香りが茉のものだと言い出した。
ポリ袋って単なる袋だろ?
そこから匂いがするってやばいじゃないか。
オレは不安に思いながら鼻にポリ袋を近づけた。
クンクン・・・何も感じない。
「何の匂いもしないんだが」
あらゆる角度から確認してみたが、特に気になる匂いはしなかった。
無臭だ。
「一真、鼻が悪いんじゃないか?」
「悪くないよ。鼻炎でもないし鼻風邪もひいてない。兄キは何かわかるのか?」
「いや、オレにはそもそもメデューサの匂いってやつがわからん」
「オレもわかんねーよ」
改めてポリ袋の匂いを嗅いでもわからない。
一体クスミはどんな匂いを感じ取っているんだ。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
8年間未来人石原くん。
七部(ななべ)
青春
しがない中学2年生の石原 謙太郎(いしはら けんたろう)に、一通の手紙が机の上に届く。
「苗村と付き合ってくれ!頼む、今しかないんだ!」
と。8年後の未来の、22歳の自分が、今の、14歳の自分宛に。苗村 鈴(なえむら すず)
これは、石原の8年間の恋愛のキャンバスのごく一部分の物語。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ヤマネ姫の幸福論
ふくろう
青春
秋の長野行き中央本線、特急あずさの座席に座る一組の男女。
一見、恋人同士に見えるが、これが最初で最後の二人の旅行になるかもしれない。
彼らは霧ヶ峰高原に、「森の妖精」と呼ばれる小動物の棲み家を訪ね、夢のように楽しい二日間を過ごす。
しかし、運命の時は、刻一刻と迫っていた。
主人公達の恋の行方、霧ヶ峰の生き物のお話に添えて、世界中で愛されてきた好編「幸福論」を交え、お読みいただける方に、少しでも清々しく、優しい気持ちになっていただけますよう、精一杯、書いてます!
どうぞ、よろしくお願いいたします!
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる