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6.魔の弁当箱
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オレは紙袋を兄キの腕にぶつけた。
袋の中で弁当箱が躍る。
「痛っ、やめろよ。それメデューサのやつだろ?」
兄キは年が明けても茉のことをそう呼んでいる。
もう兄キにとって茉=メデューサだ。
「お前、学校で茉のことそう呼ぶなよ?」
「呼ばねーよ、っていうか話しかけねーよ。あいつ心の中読んでくるし」
それはゲームの中の話だろう。
「だいいちオレはあいつと顔を合わせたくないからそれは1人で返しに行けよな」
普段は自分の用事に散々オレを巻き込むくせに、オレの用事にはとことん関わろうとしない。
オレばかりいろいろ負担させられて不公平だ。
「そうなんだよなー」
オレは兄キに聞こえないようにつぶやいて溜息をついた。
茉はオレと同じクラスではない。
なのでふとどこかで出くわさない限り、これを教室に届けに行かなくてはいけないのだ。
違うクラスの、しかも異性が届け物をするとなるとやはり注目を浴びるわけで、そこに何人かいたとしたら確実にひそひそ話から憶測の噂話が生まれるだろう。
オレはそれを何としても避けたい。
年が明けてまで茉に関わるとろくな事がない・・・気がする。
しかしオレの期待もむなしく、自分の教室に着いてしまった。
もちろん手にはまだ紙袋がある。
教室で渡すよりも廊下で渡した方が被害が小さく済むのではないかと思い待機していたが、それもチャイムの音によってなくなってしまった。
仕方なく自分の席に紙袋を置く。
あー、何でわざわざ弁当箱に入れてきたんだ、茉のやろう。
使い捨てのパックにでも入れればいいものを。
いや、それよりも何でオムライスを作ってきたんだ。
オレは欲しいなんて一言も言っていないのに。
考えれば考えるほどあの日の茉の行動に疑問がわいて仕方がない。
問い詰めてやりたいが、長々話をしたくない。
うー、どうしてくれよう。
頭の中でぐるぐる考え事をしているうちに朝のホームルームが終わって、兄キがオレの目の前に立っていた。
「何うーうーうなってんだよ、一真。便秘か?」
「いや、オレは毎日快調だが・・・ところで何だ?」
「何だ?って・・・体育館に移動だろ?」
「あぁ、そうだったな」
考え事をしながらぼやっと聞いていた担任の言葉に始業式だの体育館に移動だのそういうフレーズがあった気がする。
「それよりも一真、ちょっと見てくれ」
いきなりテンションが切り替わって兄キは手の甲を見せてきた。
何かうっすらと付いている。
「じゃーん、Nキャラスタンプだ!」
インクの付きが悪いのか、押しているのが手の甲だからか、どちらが理由かは不明だが、よく見ないとわからないそれは確かにNキャラの顔をしたスタンプだ。
ん?
よく見たらこれ、どこかで見た気がする。
「年賀状に押されていたNキャラだぞー」
そうだ、年賀状だ。
クスミが兄キ宛に送ってきた年賀状にこのスタンプがいっぱい押されていた。
それと同じ物が今、兄キの手の甲にある。
「すげーだろ。オレは今Nキャラと一体化している!」
手の甲にスタンプが押してあるだけで一体化と考えるなんて、さすが兄キだ。
考え方が気持ち悪い。
「でもそれ、洗ったら消えちゃうじゃん」
「たわけ!洗うわけないだろう。この左手はご飯を食べる時もトイレをする時も風呂に入る時も!」
そう言って兄キは左手を高く突き上げた。
「こうやって死守するつもりだ!」
「いや、ちゃんと洗えよ。汚いなぁ」
「洗ったら消えちゃうだろ!」
兄キが涙ながらに訴える。
泣き真似だけで泣いてはいないが。
「消えたらまた押すので大丈夫です」
そう言って登場したのは数日ぶりのクスミだ。
袋の中で弁当箱が躍る。
「痛っ、やめろよ。それメデューサのやつだろ?」
兄キは年が明けても茉のことをそう呼んでいる。
もう兄キにとって茉=メデューサだ。
「お前、学校で茉のことそう呼ぶなよ?」
「呼ばねーよ、っていうか話しかけねーよ。あいつ心の中読んでくるし」
それはゲームの中の話だろう。
「だいいちオレはあいつと顔を合わせたくないからそれは1人で返しに行けよな」
普段は自分の用事に散々オレを巻き込むくせに、オレの用事にはとことん関わろうとしない。
オレばかりいろいろ負担させられて不公平だ。
「そうなんだよなー」
オレは兄キに聞こえないようにつぶやいて溜息をついた。
茉はオレと同じクラスではない。
なのでふとどこかで出くわさない限り、これを教室に届けに行かなくてはいけないのだ。
違うクラスの、しかも異性が届け物をするとなるとやはり注目を浴びるわけで、そこに何人かいたとしたら確実にひそひそ話から憶測の噂話が生まれるだろう。
オレはそれを何としても避けたい。
年が明けてまで茉に関わるとろくな事がない・・・気がする。
しかしオレの期待もむなしく、自分の教室に着いてしまった。
もちろん手にはまだ紙袋がある。
教室で渡すよりも廊下で渡した方が被害が小さく済むのではないかと思い待機していたが、それもチャイムの音によってなくなってしまった。
仕方なく自分の席に紙袋を置く。
あー、何でわざわざ弁当箱に入れてきたんだ、茉のやろう。
使い捨てのパックにでも入れればいいものを。
いや、それよりも何でオムライスを作ってきたんだ。
オレは欲しいなんて一言も言っていないのに。
考えれば考えるほどあの日の茉の行動に疑問がわいて仕方がない。
問い詰めてやりたいが、長々話をしたくない。
うー、どうしてくれよう。
頭の中でぐるぐる考え事をしているうちに朝のホームルームが終わって、兄キがオレの目の前に立っていた。
「何うーうーうなってんだよ、一真。便秘か?」
「いや、オレは毎日快調だが・・・ところで何だ?」
「何だ?って・・・体育館に移動だろ?」
「あぁ、そうだったな」
考え事をしながらぼやっと聞いていた担任の言葉に始業式だの体育館に移動だのそういうフレーズがあった気がする。
「それよりも一真、ちょっと見てくれ」
いきなりテンションが切り替わって兄キは手の甲を見せてきた。
何かうっすらと付いている。
「じゃーん、Nキャラスタンプだ!」
インクの付きが悪いのか、押しているのが手の甲だからか、どちらが理由かは不明だが、よく見ないとわからないそれは確かにNキャラの顔をしたスタンプだ。
ん?
よく見たらこれ、どこかで見た気がする。
「年賀状に押されていたNキャラだぞー」
そうだ、年賀状だ。
クスミが兄キ宛に送ってきた年賀状にこのスタンプがいっぱい押されていた。
それと同じ物が今、兄キの手の甲にある。
「すげーだろ。オレは今Nキャラと一体化している!」
手の甲にスタンプが押してあるだけで一体化と考えるなんて、さすが兄キだ。
考え方が気持ち悪い。
「でもそれ、洗ったら消えちゃうじゃん」
「たわけ!洗うわけないだろう。この左手はご飯を食べる時もトイレをする時も風呂に入る時も!」
そう言って兄キは左手を高く突き上げた。
「こうやって死守するつもりだ!」
「いや、ちゃんと洗えよ。汚いなぁ」
「洗ったら消えちゃうだろ!」
兄キが涙ながらに訴える。
泣き真似だけで泣いてはいないが。
「消えたらまた押すので大丈夫です」
そう言って登場したのは数日ぶりのクスミだ。
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