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5.メデューサの呪い
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「ああ、あれか!メデューサって。えぬえぬクエストの中ボスか」
突然大声を上げたと思ったら、父ちゃんは携帯電話でメデューサを検索確認していた。
メデューサって、いろんなゲームの敵キャラとして登場すると思うのだが、上位にえぬえぬクエストの中ボスとして表示されているのか。
「父ちゃん、えぬえぬクエスト知ってるのか?」
いい年してゲームの話についてこれるとは珍しい。
父ちゃんがゲームをしている姿など見たことは1度もないが。
「えぬクエなら私も知ってるわよ。昔、ニキがリビングでテレビ占拠してずっとやってたから」
「えー!!」
何にビックリかと言うと、母ちゃんがえぬえぬクエストのことを「えぬクエ」と当たり前のように言ってのけたことと、今まで登場しなかった兄キの名前をここで簡単に暴露したことだ。
こんな終盤になってから母ちゃんはいろいろやってくれる。
何を隠そう、兄キの名前は「ニキ」だ。
だから「あニキ」と呼ぶことでさりげにずっと名前を呼んでいたわけだが。
「あれ、あれ、エヌタローって子がかわいいわよね」
母ちゃんはテレビで占拠されていた当時のことを思い出すように、ポロッとエヌタローの名前を出した。
エヌタローって、前作に1回だけ話題に出たNキャラ以下のザコキャラ・・・。
何でそんなマイナーなキャラクターが好きなんだ。
兄キがNキャラ好きになったのは、きっとこの母ちゃんの血を受け継いでいるからに違いない。
「さぁ、そんなことよりお昼にするからテーブルの上を片付けてちょうだい」
えぬえぬクエストの話題が出て兄キのテンションが上がっていたが、それを封じ込めるかのように昼食のお出ましだ。
普段、母ちゃんは仕事で外に出ているから昼の母ちゃんの手料理は本当に久しぶりになる。
・・・と思ったら、テーブルの上に置かれたのはスーパーで買ってきたと思われるお寿司のパックだった。
「わーい、寿司だ寿司だー」
兄キが子どものようにはしゃぐ。
高校生にもなってこんなふうに無邪気に喜ぶのはいかがなものか。
オレはせっかくなら母ちゃんの手料理が食べたかったのだが、寿司は好物なのでそれは夜に期待しよう。
と喜んだのも束の間、オレの手元にだけ寿司がない。
「・・・オレの分は?」
嫌な予感を抱きつつ、質問する。
確かにこの中でオレだけ本当の家族ではないので唯一仲間外れだが、母ちゃんに限ってそんなあからさまな嫌がらせをするはずがない。
「お前、弁当があるじゃん」
兄キが当たり前のように返す。
いや、それはわかっている。
食べ物を粗末にするつもりはないから、これは食べるつもりだ。
しかしそれと関係なく寿司だ。
なぜ3つしか用意されていないのかが気になる。
母ちゃんはそもそもオレのことを頭数に入れないで家族分の3つだけ買ってきたのか?
そうだとしたら年末にして今年1番の悲しい出来事だ。
「お寿司、元々3つしか買ってなかったのよ。上が3つしかなかったから」
「そんな・・・」
やっぱりオレの分は元々入っていなかったのか。
しかも並でなく上握りなのに。
母ちゃんはオレがあからさまにガッカリする姿を見て笑いだした。
「なんて顔してるのよ。これはお父ちゃんとニキと一真の3つで買ったのよ。私はパンを食べる予定だったから」
そう言って母ちゃんは菓子パンを10個ほど取り出した。
何個食べる予定だったんだ。
「でも一真は弁当があるみたいだし、パンはいつでも食べられるし、だからお寿司は私が貰うわ」
「その寿司、オレが夜に食べるってのは・・・?」
「ダメよ。夜はお鍋だもの。寿司は鮮度が命だから早く食べないと」
そうか?
鮮度って、昼と夜とでも変わるものなのか?
まあでもいい。
オレの分がそもそもない、という悲しい出来事は免れたのだ。
今回はそれでもう寿司のことは諦めよう。
突然大声を上げたと思ったら、父ちゃんは携帯電話でメデューサを検索確認していた。
メデューサって、いろんなゲームの敵キャラとして登場すると思うのだが、上位にえぬえぬクエストの中ボスとして表示されているのか。
「父ちゃん、えぬえぬクエスト知ってるのか?」
いい年してゲームの話についてこれるとは珍しい。
父ちゃんがゲームをしている姿など見たことは1度もないが。
「えぬクエなら私も知ってるわよ。昔、ニキがリビングでテレビ占拠してずっとやってたから」
「えー!!」
何にビックリかと言うと、母ちゃんがえぬえぬクエストのことを「えぬクエ」と当たり前のように言ってのけたことと、今まで登場しなかった兄キの名前をここで簡単に暴露したことだ。
こんな終盤になってから母ちゃんはいろいろやってくれる。
何を隠そう、兄キの名前は「ニキ」だ。
だから「あニキ」と呼ぶことでさりげにずっと名前を呼んでいたわけだが。
「あれ、あれ、エヌタローって子がかわいいわよね」
母ちゃんはテレビで占拠されていた当時のことを思い出すように、ポロッとエヌタローの名前を出した。
エヌタローって、前作に1回だけ話題に出たNキャラ以下のザコキャラ・・・。
何でそんなマイナーなキャラクターが好きなんだ。
兄キがNキャラ好きになったのは、きっとこの母ちゃんの血を受け継いでいるからに違いない。
「さぁ、そんなことよりお昼にするからテーブルの上を片付けてちょうだい」
えぬえぬクエストの話題が出て兄キのテンションが上がっていたが、それを封じ込めるかのように昼食のお出ましだ。
普段、母ちゃんは仕事で外に出ているから昼の母ちゃんの手料理は本当に久しぶりになる。
・・・と思ったら、テーブルの上に置かれたのはスーパーで買ってきたと思われるお寿司のパックだった。
「わーい、寿司だ寿司だー」
兄キが子どものようにはしゃぐ。
高校生にもなってこんなふうに無邪気に喜ぶのはいかがなものか。
オレはせっかくなら母ちゃんの手料理が食べたかったのだが、寿司は好物なのでそれは夜に期待しよう。
と喜んだのも束の間、オレの手元にだけ寿司がない。
「・・・オレの分は?」
嫌な予感を抱きつつ、質問する。
確かにこの中でオレだけ本当の家族ではないので唯一仲間外れだが、母ちゃんに限ってそんなあからさまな嫌がらせをするはずがない。
「お前、弁当があるじゃん」
兄キが当たり前のように返す。
いや、それはわかっている。
食べ物を粗末にするつもりはないから、これは食べるつもりだ。
しかしそれと関係なく寿司だ。
なぜ3つしか用意されていないのかが気になる。
母ちゃんはそもそもオレのことを頭数に入れないで家族分の3つだけ買ってきたのか?
そうだとしたら年末にして今年1番の悲しい出来事だ。
「お寿司、元々3つしか買ってなかったのよ。上が3つしかなかったから」
「そんな・・・」
やっぱりオレの分は元々入っていなかったのか。
しかも並でなく上握りなのに。
母ちゃんはオレがあからさまにガッカリする姿を見て笑いだした。
「なんて顔してるのよ。これはお父ちゃんとニキと一真の3つで買ったのよ。私はパンを食べる予定だったから」
そう言って母ちゃんは菓子パンを10個ほど取り出した。
何個食べる予定だったんだ。
「でも一真は弁当があるみたいだし、パンはいつでも食べられるし、だからお寿司は私が貰うわ」
「その寿司、オレが夜に食べるってのは・・・?」
「ダメよ。夜はお鍋だもの。寿司は鮮度が命だから早く食べないと」
そうか?
鮮度って、昼と夜とでも変わるものなのか?
まあでもいい。
オレの分がそもそもない、という悲しい出来事は免れたのだ。
今回はそれでもう寿司のことは諦めよう。
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