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5.メデューサの呪い
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オレは二重苦にも三重苦にもなった体を引きずるようにして玄関に移動した。
中に入った途端、やっと荷物から解放されて少し涙目になった。
オレが・・・オレが何したって言うんだー!!
「おぅ、お疲れ一真」
「!?」
部屋の奥から聞こえてきた声にオレは思わず顔を上げる。
そこには涼しい顔をした兄キがオレを見下ろしていた。
「兄キ!!何でここにいるんだ!?」
お前はオレにいろんな不幸を預けて逆走して行ったんじゃなかったか!?
それがどうしてオレより先にここにいる!?
「一真、その質問本気で言ってるのか?」
「え?」
どういうことだ?
オレの問いかけは何かおかしかったか?
オレの立場に立ってみたら誰もが同じ質問を兄キに投げかけただろう。
なぁ?
そうだろう?
「お前、ここをどこだと思ってるんだ?」
「え?兄キの家・・・だ」
正式には兄キの両親の家、だ。
「オレの家にオレがいて当然だろう。何寝ぼけたこと言ってるんだ」
なっ・・・ちげぇー!!
オレの質問の意味が違ぇーよ。
そんな兄キの答えを待っていたわけじゃないんだ。
兄キが自分の家に戻ってくる、そんな当たり前の回答を誰が望んでいたというんだ。
オレは逆走していったはずの兄キがどうしてオレより先に家に到着していたかを知りたいんだ。
ここまで全部言わないといけないなんて、同い年かと疑いたくなるほど不安になってくる。
「そりゃあお前、あれだよ」
やっとオレの質問の意図を理解した兄キは、それでもあっけらかんとして答えた。
「向こうに走ったと見せかけて、裏道を通って家の裏に戻ってきてたんだ」
「・・・・・・・・・」
兄キの答えはおおよそそういうことだろうと予想はついていた。
「家の裏まで来たら洋室から入ればご帰宅よ。家に母ちゃんがいる時は全部の部屋の鍵が開いてるからな」
「・・・」
それもだいたい予想通りだ。
兄キの家には勝手口なんてものはなく、外から入るドアは玄関のみだ。
なのでそこ以外から入るとなると、部屋の窓以外侵入方法はない。
玄関の前にはオレと茉がずっといた。
ここを通っていない兄キは窓からしか入れない。
「さっきから聞いてりゃ何だよ、一真。その反応は!もっと驚いてくれないと種明かしの楽しみがないじゃないか」
オレの反応が薄かったことに兄キは不満のようだ。
オレは兄キとは別の理由で不満を抱いている。
「兄キ、オレは兄キに言いたいことと、言いたいことがいっぱいある」
「な、何だ?言いたいことしかないじゃないか」
「まず何でオレに荷物を預けて走って行った!?」
まずはこれだ。
理由も言わずに走って逃げやがって。
オレだって茉がいるとわかれば逃げたかったのに。
「お前、何言ってんだ。メデューサがいたら逃げるだろ」
「!!やっぱり兄キはあいつがいることわかってたんだな!?」
兄キはいとも簡単に事実を暴露した。
「普通そういうことはオレにも教えるだろう」
「あそこにメデューサがいることを、か?」
「当たり前だろ。他に何がある」
「だめだ。あいつはこっちの心の内を読んでくるから下手なことは言えないんだ」
「それはゲームのメデューサの話だろ」
「あいつも心の内を読んでくるんだよ!オレは実際に読まれたんだ!」
兄キってこんなに被害妄想が激しいやつだったか?
実際そうだったとしてもあの距離では何もできなかっただろうに。
「まあいい。それにしても帰ってきた時に謝罪の1つもあっていいんじゃないか?」
「謝罪って、誰が誰に?」
「兄キがオレに、に決まってるだろ」
「はぁ?何でだよ。冗談はシークレット=メデューサだけにしろよ」
「何だと!?」
誰が1人でこのくそ重い荷物を持って帰ってきたと思っているんだ。
兄キが途中で放棄するからオレが1人で2人分持つ羽目になったんだぞ。
ごめんの一言くらい言ったらどうなんだ。
「だいたい買い物について行ってやったのにお礼を言われるならともかく、謝れなんて言われるとは」
「お菓子買ってやっただろ」
「メデューサくれてやっただろ」
「・・・・・・・・・」
ああ言えばこう言う。
このままでは埒が明かない。
これ以上ここで話を続けていてもストレスが溜まるだけだ。
オレは1つ溜息をついて荷物をキッチンへ移動した。
兄キはそんなオレの荷物を1つでも持つという優しさを全く見せずについて来た。
中に入った途端、やっと荷物から解放されて少し涙目になった。
オレが・・・オレが何したって言うんだー!!
「おぅ、お疲れ一真」
「!?」
部屋の奥から聞こえてきた声にオレは思わず顔を上げる。
そこには涼しい顔をした兄キがオレを見下ろしていた。
「兄キ!!何でここにいるんだ!?」
お前はオレにいろんな不幸を預けて逆走して行ったんじゃなかったか!?
それがどうしてオレより先にここにいる!?
「一真、その質問本気で言ってるのか?」
「え?」
どういうことだ?
オレの問いかけは何かおかしかったか?
オレの立場に立ってみたら誰もが同じ質問を兄キに投げかけただろう。
なぁ?
そうだろう?
「お前、ここをどこだと思ってるんだ?」
「え?兄キの家・・・だ」
正式には兄キの両親の家、だ。
「オレの家にオレがいて当然だろう。何寝ぼけたこと言ってるんだ」
なっ・・・ちげぇー!!
オレの質問の意味が違ぇーよ。
そんな兄キの答えを待っていたわけじゃないんだ。
兄キが自分の家に戻ってくる、そんな当たり前の回答を誰が望んでいたというんだ。
オレは逆走していったはずの兄キがどうしてオレより先に家に到着していたかを知りたいんだ。
ここまで全部言わないといけないなんて、同い年かと疑いたくなるほど不安になってくる。
「そりゃあお前、あれだよ」
やっとオレの質問の意図を理解した兄キは、それでもあっけらかんとして答えた。
「向こうに走ったと見せかけて、裏道を通って家の裏に戻ってきてたんだ」
「・・・・・・・・・」
兄キの答えはおおよそそういうことだろうと予想はついていた。
「家の裏まで来たら洋室から入ればご帰宅よ。家に母ちゃんがいる時は全部の部屋の鍵が開いてるからな」
「・・・」
それもだいたい予想通りだ。
兄キの家には勝手口なんてものはなく、外から入るドアは玄関のみだ。
なのでそこ以外から入るとなると、部屋の窓以外侵入方法はない。
玄関の前にはオレと茉がずっといた。
ここを通っていない兄キは窓からしか入れない。
「さっきから聞いてりゃ何だよ、一真。その反応は!もっと驚いてくれないと種明かしの楽しみがないじゃないか」
オレの反応が薄かったことに兄キは不満のようだ。
オレは兄キとは別の理由で不満を抱いている。
「兄キ、オレは兄キに言いたいことと、言いたいことがいっぱいある」
「な、何だ?言いたいことしかないじゃないか」
「まず何でオレに荷物を預けて走って行った!?」
まずはこれだ。
理由も言わずに走って逃げやがって。
オレだって茉がいるとわかれば逃げたかったのに。
「お前、何言ってんだ。メデューサがいたら逃げるだろ」
「!!やっぱり兄キはあいつがいることわかってたんだな!?」
兄キはいとも簡単に事実を暴露した。
「普通そういうことはオレにも教えるだろう」
「あそこにメデューサがいることを、か?」
「当たり前だろ。他に何がある」
「だめだ。あいつはこっちの心の内を読んでくるから下手なことは言えないんだ」
「それはゲームのメデューサの話だろ」
「あいつも心の内を読んでくるんだよ!オレは実際に読まれたんだ!」
兄キってこんなに被害妄想が激しいやつだったか?
実際そうだったとしてもあの距離では何もできなかっただろうに。
「まあいい。それにしても帰ってきた時に謝罪の1つもあっていいんじゃないか?」
「謝罪って、誰が誰に?」
「兄キがオレに、に決まってるだろ」
「はぁ?何でだよ。冗談はシークレット=メデューサだけにしろよ」
「何だと!?」
誰が1人でこのくそ重い荷物を持って帰ってきたと思っているんだ。
兄キが途中で放棄するからオレが1人で2人分持つ羽目になったんだぞ。
ごめんの一言くらい言ったらどうなんだ。
「だいたい買い物について行ってやったのにお礼を言われるならともかく、謝れなんて言われるとは」
「お菓子買ってやっただろ」
「メデューサくれてやっただろ」
「・・・・・・・・・」
ああ言えばこう言う。
このままでは埒が明かない。
これ以上ここで話を続けていてもストレスが溜まるだけだ。
オレは1つ溜息をついて荷物をキッチンへ移動した。
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