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5.メデューサの呪い
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ん?
待てよ。
逆の方に走り去った・・・。
しかも兄キは走っている時、逃げろーとか言ってなかったか?
まさか・・・まさか・・・兄キはこの電信柱に隠れた茉の姿を見たんじゃないか?
それに気づいて逃げ去ったんじゃないか?
そうだとしたら兄キの不可解な行動は納得がいく。
あのやろう、茉が近くに潜んでいると気づいていながらオレに報告もせず1人だけ逃げやがって・・・許せん!
「何で突然走り去ったのよ」
何も知らない茉はオレに同情しながら尋ねてくる。
100%お前のせいだろう。
兄キが茉を苦手といていることはオレがよくわかっている。
思えば兄キが逃げろーと言った時点でオレが異変に気づくべきだったんだ。
両手を荷物でふさがれた以上、オレに選択肢などほとんどないが。
というか、こいつがいなければオレはこんな指が食い込むほど重い荷物を持たずに済んだんだ。
こいつがいなければ兄キは家まで荷物を運んだだろうし、オレは胸ポケットにメデューサを入れられた不満だけで済んだんだ。
兄キがメデューサを引き当てるからこんなことになったんだ。
これのせいで兄キはどっか行くし、メデューサが現れるし。
だいたいオレは昨日、今日ここには来るなとあれほどメデューサに言ったのに全然言うこと聞かないし。
昨日メデューサの捨てゼリフでちょっと心が乱れたことにもイラッとしたのに。
オレも兄キほどではないけど、メデューサに嫌気がさしてきた。
早くこの胸ポケットのメデューサをどうにかしてしまいたい。
そうしないとメデューサのことを茉と言ってしまいそうだ。
いや、違う。
もう既に頭がこんがらがってしまっている。
オレの中で茉がもうメデューサ化してきている。
呪いだ。
完全なる呪いだ。
「それより」
オレはなるべく感情を押し殺すように話しかけた。
感情をぶつけると言い合いになる。
オレは今のこの状況を長く続けたくはない。
「お前、今日絶対来んなって言っただろ。何回も言われなくてもわかるって言ったくせに」
結局茉はバカだったんだな。
あんなに牽制しておいたのに、オレの言葉が伝わっていなかったなんて。
「近くを通りかかっただけじゃない。何で文句言われなきゃいけないの?」
「通りかかった?じゃあどこに行くつもりだったんだよ」
「・・・・・・・・・いいじゃない別に。プライベートな質問してこないで」
今の無言。
絶対通りかかったなんてのは嘘だ。
ここを目的地としてやってきている。
こいつ・・・懲りないな。
何が茉をここに来させたがるんだ。
「これ!!」
茉は何か考え込んでいたが、やがてオレの目前に紙袋を出してきた。
何だこれは。
どういうつもりだ。
オレは今、両手が荷物でふさがっているというのに、さらに荷物を増やそうっていう魂胆か。
「何だこれは」
「届け物よ!」
「届け物?何も頼んだ覚えはないぞ」
「いいから受け取りなさいよ」
そう言うと茉は紙袋の持ち手をオレの手首に預けた。
「ぐおー」
オレの左手が・・・左手がー・・・!!
よりによって重い荷物が入っている方に・・・。
「じゃあ」
茉はオレに背を向けると、兄キのようにた~っと走り去った。
おいー!
せめて玄関のドアを開けるくらいの優しさを見せろ。
そのまま中に入られたら困るから、やられたらやられたで嫌なんだけど。
待てよ。
逆の方に走り去った・・・。
しかも兄キは走っている時、逃げろーとか言ってなかったか?
まさか・・・まさか・・・兄キはこの電信柱に隠れた茉の姿を見たんじゃないか?
それに気づいて逃げ去ったんじゃないか?
そうだとしたら兄キの不可解な行動は納得がいく。
あのやろう、茉が近くに潜んでいると気づいていながらオレに報告もせず1人だけ逃げやがって・・・許せん!
「何で突然走り去ったのよ」
何も知らない茉はオレに同情しながら尋ねてくる。
100%お前のせいだろう。
兄キが茉を苦手といていることはオレがよくわかっている。
思えば兄キが逃げろーと言った時点でオレが異変に気づくべきだったんだ。
両手を荷物でふさがれた以上、オレに選択肢などほとんどないが。
というか、こいつがいなければオレはこんな指が食い込むほど重い荷物を持たずに済んだんだ。
こいつがいなければ兄キは家まで荷物を運んだだろうし、オレは胸ポケットにメデューサを入れられた不満だけで済んだんだ。
兄キがメデューサを引き当てるからこんなことになったんだ。
これのせいで兄キはどっか行くし、メデューサが現れるし。
だいたいオレは昨日、今日ここには来るなとあれほどメデューサに言ったのに全然言うこと聞かないし。
昨日メデューサの捨てゼリフでちょっと心が乱れたことにもイラッとしたのに。
オレも兄キほどではないけど、メデューサに嫌気がさしてきた。
早くこの胸ポケットのメデューサをどうにかしてしまいたい。
そうしないとメデューサのことを茉と言ってしまいそうだ。
いや、違う。
もう既に頭がこんがらがってしまっている。
オレの中で茉がもうメデューサ化してきている。
呪いだ。
完全なる呪いだ。
「それより」
オレはなるべく感情を押し殺すように話しかけた。
感情をぶつけると言い合いになる。
オレは今のこの状況を長く続けたくはない。
「お前、今日絶対来んなって言っただろ。何回も言われなくてもわかるって言ったくせに」
結局茉はバカだったんだな。
あんなに牽制しておいたのに、オレの言葉が伝わっていなかったなんて。
「近くを通りかかっただけじゃない。何で文句言われなきゃいけないの?」
「通りかかった?じゃあどこに行くつもりだったんだよ」
「・・・・・・・・・いいじゃない別に。プライベートな質問してこないで」
今の無言。
絶対通りかかったなんてのは嘘だ。
ここを目的地としてやってきている。
こいつ・・・懲りないな。
何が茉をここに来させたがるんだ。
「これ!!」
茉は何か考え込んでいたが、やがてオレの目前に紙袋を出してきた。
何だこれは。
どういうつもりだ。
オレは今、両手が荷物でふさがっているというのに、さらに荷物を増やそうっていう魂胆か。
「何だこれは」
「届け物よ!」
「届け物?何も頼んだ覚えはないぞ」
「いいから受け取りなさいよ」
そう言うと茉は紙袋の持ち手をオレの手首に預けた。
「ぐおー」
オレの左手が・・・左手がー・・・!!
よりによって重い荷物が入っている方に・・・。
「じゃあ」
茉はオレに背を向けると、兄キのようにた~っと走り去った。
おいー!
せめて玄関のドアを開けるくらいの優しさを見せろ。
そのまま中に入られたら困るから、やられたらやられたで嫌なんだけど。
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