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5.メデューサの呪い
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全部で6種類あるそれは、チョコを食べるまで中に何が入っているかはわからない。
前もってこれが入っているかも、という5種類は想定できる。
あと1種類はシークレットなので、当たるまでわからない。
兄キの下手くそな説明を要約するとこういうことだ。
兄キの説明をそのまま表すと、軽く1ページは使い果たしてしまう。
「オレはこのシークレットはNキャラだと思っている」
「・・・そうか。当たるといいな」
と言いつつ、心の中ではシークレットがザコキャラなわけがないだろう、と突っ込んでいる。
口に出せば怒り出すから言わない。
こんなスーパーでNキャラの話題を続けたくない。
会計を済ませて外に出ると、兄キは早速お菓子を開けている。
家に帰るまで待つという選択肢はないらしい。
買い物袋を腕にぶら下げながら、ゴミをオレに預けながら、流れるように開けていく。
今は冬だからいいが、チョコの中に玩具なんて夏はドロドロで出てくるんじゃないかと思うと嫌な想像しかできない。
「あれ?Nキャラじゃないな」
卵型のチョコをペロリと平らげた兄キは、中に入っていた玩具を見て不満そうに言った。
玩具は透明な袋に入っているのだが、開けて取り出さなくてもすぐに違うとオレでもわかった。
Nキャラは黄色なのだ。
兄キが持っている玩具は緑色だった。
「何が当たったんだ?」
「色でわかるだろ。メデューサだよ」
「ぶっ」
よりによってメデューサ!
ここ数日、こいつの名前を聞かなかった日はない。
そのせいで今日もメデューサを引いてしまうなんて。
よっぽど運がないというか、呪われてるだろう、絶対。
「こんなのいらねー。一真にやるわ」
「いらねーよ」
散々茉に付きまとわれて嫌な思いをしているのに、茉と似ているメデューサなんて欲しいわけがない。
「あれ?っていうか、さっき言った5種類の中にメデューサって入ってなかったよな?」
さっき兄キが前もってわかっている5種類を声に出していたが、それにはメデューサが入っていなかった。
ということは、シークレットキャラはメデューサだ。
「うわっ、マジだ。シークレットってメデューサかよ。ふざけんなー」
「メデューサって一応中ボスなんだろ?シークレットになるにはいい地位じゃないか」
「シークレットがメデューサで喜ぶやつが何人いると思ってるんだよ。呪いかけられたとしか思えねーよ」
「・・・確かに」
実際、オレはそう思ったわけだし。
「シークレットはNキャラにすべきだって訴えてやろうかな?おい、お客様相談室の電話番号はどこだ?」
「必死だな。今から変更なんてされるわけないからやめとけ。どうせ世間は仕事納めできっと営業していない」
「くっ・・・そうか。図りやがったな。反論させない作戦か」
「いやいや、電話したければ年明けにすればいいだろ。どうしてもしたいなら」
「オレは今文句を言いたいんだ。後日になるなら一真、代わりにやっといてくれ」
「オレは別に文句などない」
「何?貴重な200円がこんなメデューサみたいなつまらん玩具に化けたんだぞ?もっと怒れ」
大丈夫だ。
オレはこれがNキャラだったとしても、エヌマーだったとしても、兄キがカゴに商品を入れた時点で金の無駄遣いだと思っている。
っていうか、200円もするのかよ。
「まぁチョコは食べられたからいっか。エッグチョコのいいところはこれだ。玩具で失敗してもチョコがあるから割り切れる」
その割には文句が多かった気がするが。
兄キはそう言ってメデューサをオレの服の胸ポケットに入れた。
「おい、メデューサをオレのポケットに入れるんじゃねえ」
「200円無駄に使ったから、半分ずつ分け合いだ。オレはチョコを食べたから、一真にはメデューサを」
「ありがとう。いらねーから」
「何だとー、せっかくの好意を!!」
しかし兄キはメデューサを取り返そうとしない。
よほどいらないのだろう。
と言ってオレも買い物袋で両手はふさがっているし、わざわざそれを片方の手に預けて取り出すのも煩わしい。
家に着いてから兄キの部屋へ持っていこう。
前もってこれが入っているかも、という5種類は想定できる。
あと1種類はシークレットなので、当たるまでわからない。
兄キの下手くそな説明を要約するとこういうことだ。
兄キの説明をそのまま表すと、軽く1ページは使い果たしてしまう。
「オレはこのシークレットはNキャラだと思っている」
「・・・そうか。当たるといいな」
と言いつつ、心の中ではシークレットがザコキャラなわけがないだろう、と突っ込んでいる。
口に出せば怒り出すから言わない。
こんなスーパーでNキャラの話題を続けたくない。
会計を済ませて外に出ると、兄キは早速お菓子を開けている。
家に帰るまで待つという選択肢はないらしい。
買い物袋を腕にぶら下げながら、ゴミをオレに預けながら、流れるように開けていく。
今は冬だからいいが、チョコの中に玩具なんて夏はドロドロで出てくるんじゃないかと思うと嫌な想像しかできない。
「あれ?Nキャラじゃないな」
卵型のチョコをペロリと平らげた兄キは、中に入っていた玩具を見て不満そうに言った。
玩具は透明な袋に入っているのだが、開けて取り出さなくてもすぐに違うとオレでもわかった。
Nキャラは黄色なのだ。
兄キが持っている玩具は緑色だった。
「何が当たったんだ?」
「色でわかるだろ。メデューサだよ」
「ぶっ」
よりによってメデューサ!
ここ数日、こいつの名前を聞かなかった日はない。
そのせいで今日もメデューサを引いてしまうなんて。
よっぽど運がないというか、呪われてるだろう、絶対。
「こんなのいらねー。一真にやるわ」
「いらねーよ」
散々茉に付きまとわれて嫌な思いをしているのに、茉と似ているメデューサなんて欲しいわけがない。
「あれ?っていうか、さっき言った5種類の中にメデューサって入ってなかったよな?」
さっき兄キが前もってわかっている5種類を声に出していたが、それにはメデューサが入っていなかった。
ということは、シークレットキャラはメデューサだ。
「うわっ、マジだ。シークレットってメデューサかよ。ふざけんなー」
「メデューサって一応中ボスなんだろ?シークレットになるにはいい地位じゃないか」
「シークレットがメデューサで喜ぶやつが何人いると思ってるんだよ。呪いかけられたとしか思えねーよ」
「・・・確かに」
実際、オレはそう思ったわけだし。
「シークレットはNキャラにすべきだって訴えてやろうかな?おい、お客様相談室の電話番号はどこだ?」
「必死だな。今から変更なんてされるわけないからやめとけ。どうせ世間は仕事納めできっと営業していない」
「くっ・・・そうか。図りやがったな。反論させない作戦か」
「いやいや、電話したければ年明けにすればいいだろ。どうしてもしたいなら」
「オレは今文句を言いたいんだ。後日になるなら一真、代わりにやっといてくれ」
「オレは別に文句などない」
「何?貴重な200円がこんなメデューサみたいなつまらん玩具に化けたんだぞ?もっと怒れ」
大丈夫だ。
オレはこれがNキャラだったとしても、エヌマーだったとしても、兄キがカゴに商品を入れた時点で金の無駄遣いだと思っている。
っていうか、200円もするのかよ。
「まぁチョコは食べられたからいっか。エッグチョコのいいところはこれだ。玩具で失敗してもチョコがあるから割り切れる」
その割には文句が多かった気がするが。
兄キはそう言ってメデューサをオレの服の胸ポケットに入れた。
「おい、メデューサをオレのポケットに入れるんじゃねえ」
「200円無駄に使ったから、半分ずつ分け合いだ。オレはチョコを食べたから、一真にはメデューサを」
「ありがとう。いらねーから」
「何だとー、せっかくの好意を!!」
しかし兄キはメデューサを取り返そうとしない。
よほどいらないのだろう。
と言ってオレも買い物袋で両手はふさがっているし、わざわざそれを片方の手に預けて取り出すのも煩わしい。
家に着いてから兄キの部屋へ持っていこう。
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