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4.始まらない冬休み
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イライラしても始まらない。
イライラするのはきっと腹が減ってきたからだ。
絶対そうだ。
昼時だし。
「兄キ、カップ麺作るけど、何か食べるか?」
一応義理のために聞いてみる。
オレの分だけ作ると怒ってくるかもしれない。
「あ、オレもうクスミっちの家で食べてきた」
「え!?」
クスミの家で!?
一体何をごちそうになってきたんだ。
「クスミっちがNキャラオムライス作ってくれたんだよ」
「・・・Nキャラオムライス?」
「昨日ここでクスミっちが作ってただろ?あれだよ。うまかったぞ」
「え?」
えー!?
クスミがオムライスを作っただとー!?
「え?嘘だろ?」
昨日卵を割るのも一苦労っぽい感じだったのに、オムライスなんて作れるわけがない。
「一真、失礼だぞ。オレが嘘を言ったことが今までにあったか?」
「・・・・・・・・・」
確かに、嘘はなかったかな。
勘違いしていたり、忘れて自分の発言がなかったことにしていたことはあったが。
「だいたいオレが嘘をついて何になる。クスミっちがオムライスを作ってないのに作ったって言って何の得があるんだ」
「わ、わかったよ。そんなに勢いつけて言わなくてもいいだろ?」
「一真、人を嘘つき呼ばわりしておいてその態度はなんだ。本当なら10回くらい土下座させたいくらいだぞ」
何でそんなに怒ってるんだよ。
クスミ絡みだからか?
彼氏ぶりやがって。
「昨日クスミは卵を割るのもおぼつかない手つきだったから、それでオムライスが作れたのかなって思ったんだよ」
「何ー!?そんなこと思ってたのか。クスミっちにも10回土下座して謝れ!」
「い、いいですよ、そんなの」
クスミが慌てて割って入ってくる。
「私、昨日メデューサさんがオムライスを作る過程をじっと見ていたんです」
茉はクスミに卵を割らせてケチャップをかけさせただけで、後は自分でやってのけたもんな。
っていうか、クスミも茉のことはメデューサ呼ばわりか。
「見ていたら覚えました」
覚えた?
作る過程を?
見るだけで流れを覚えて、実際に作れるものなのか?
「私、家に帰ってから試しに作ってみたんです。そしたらできました」
「茉が作った通りに?」
「はい」
「味も一緒?」
「はい」
嘘だろ。
あんなに料理初心者だったクスミが茉の動きを見ただけで完全コピーできただって?
「私、器用なんです」
「ん?」
どこかで聞いた言葉。
あ!
UFOキャッチャーでのすごテクを見せられた時!
そういえばクスミは手先が器用なんだった。
UFOキャッチャーで狙った物をバンバン取れるくらいに。
「ま、そんなわけでオレは腹いっぱいだからキミは庶民らしくカップ麺でも食べておきたまえ。ハッハッハッ」
兄キは声高々に笑い声を上げて、クスミと自室へ行ってしまった。
1人残されたオレはしばらくの間、動くことができなかった。
料理って見ているだけで習得できるものなのか?
そんなことないよな?
それができるとしたら料理人という職業が必要なくなるもんな。
クスミが異常なだけだよな?
異常って言い方は失礼かもしれないが、でも実際UFOキャッチャーといい、オムライスといい、異常な技を見せているわけだし。
とても手先が器用だとしか思えない。
昨日の卵を割る様子を見ている限り、全然そんなふうには見えなかったが。
でも待てよ。
クスミが茉の動きを見てオムライスが作れるようになったってことは、オレもひょっとすると同じように作れるんじゃないか?
オレだって昨日真横で茉の動きを見ていたわけだし、手順も覚えている。
オレは自分で手先が器用だと自負するつもりはないが、初めてやったUFOキャッチャーで獲物をゲットした功績がある。
・・・ちょっと試してみるか。
幸い兄キ達はゲームをしているからしばらくは出てこないだろうし、兄キの両親も午前中で仕事が終わるなんてことはない。
だいた明日が仕事納めだから、今日も遅くまで仕事をしているはずだ。
昨日、冷蔵庫を開けた時に卵がいっぱいあったのも覚えているし、茉が他に何を準備していたかも覚えている。
よーし、やってみるか。
オレもオムライスが作れるようになれば、わざわざ時間を調整してまでえぬたまに行かなくても良くなる。
カップ麺に頼らなくても良くなる。
一石二鳥だ。
イライラするのはきっと腹が減ってきたからだ。
絶対そうだ。
昼時だし。
「兄キ、カップ麺作るけど、何か食べるか?」
一応義理のために聞いてみる。
オレの分だけ作ると怒ってくるかもしれない。
「あ、オレもうクスミっちの家で食べてきた」
「え!?」
クスミの家で!?
一体何をごちそうになってきたんだ。
「クスミっちがNキャラオムライス作ってくれたんだよ」
「・・・Nキャラオムライス?」
「昨日ここでクスミっちが作ってただろ?あれだよ。うまかったぞ」
「え?」
えー!?
クスミがオムライスを作っただとー!?
「え?嘘だろ?」
昨日卵を割るのも一苦労っぽい感じだったのに、オムライスなんて作れるわけがない。
「一真、失礼だぞ。オレが嘘を言ったことが今までにあったか?」
「・・・・・・・・・」
確かに、嘘はなかったかな。
勘違いしていたり、忘れて自分の発言がなかったことにしていたことはあったが。
「だいたいオレが嘘をついて何になる。クスミっちがオムライスを作ってないのに作ったって言って何の得があるんだ」
「わ、わかったよ。そんなに勢いつけて言わなくてもいいだろ?」
「一真、人を嘘つき呼ばわりしておいてその態度はなんだ。本当なら10回くらい土下座させたいくらいだぞ」
何でそんなに怒ってるんだよ。
クスミ絡みだからか?
彼氏ぶりやがって。
「昨日クスミは卵を割るのもおぼつかない手つきだったから、それでオムライスが作れたのかなって思ったんだよ」
「何ー!?そんなこと思ってたのか。クスミっちにも10回土下座して謝れ!」
「い、いいですよ、そんなの」
クスミが慌てて割って入ってくる。
「私、昨日メデューサさんがオムライスを作る過程をじっと見ていたんです」
茉はクスミに卵を割らせてケチャップをかけさせただけで、後は自分でやってのけたもんな。
っていうか、クスミも茉のことはメデューサ呼ばわりか。
「見ていたら覚えました」
覚えた?
作る過程を?
見るだけで流れを覚えて、実際に作れるものなのか?
「私、家に帰ってから試しに作ってみたんです。そしたらできました」
「茉が作った通りに?」
「はい」
「味も一緒?」
「はい」
嘘だろ。
あんなに料理初心者だったクスミが茉の動きを見ただけで完全コピーできただって?
「私、器用なんです」
「ん?」
どこかで聞いた言葉。
あ!
UFOキャッチャーでのすごテクを見せられた時!
そういえばクスミは手先が器用なんだった。
UFOキャッチャーで狙った物をバンバン取れるくらいに。
「ま、そんなわけでオレは腹いっぱいだからキミは庶民らしくカップ麺でも食べておきたまえ。ハッハッハッ」
兄キは声高々に笑い声を上げて、クスミと自室へ行ってしまった。
1人残されたオレはしばらくの間、動くことができなかった。
料理って見ているだけで習得できるものなのか?
そんなことないよな?
それができるとしたら料理人という職業が必要なくなるもんな。
クスミが異常なだけだよな?
異常って言い方は失礼かもしれないが、でも実際UFOキャッチャーといい、オムライスといい、異常な技を見せているわけだし。
とても手先が器用だとしか思えない。
昨日の卵を割る様子を見ている限り、全然そんなふうには見えなかったが。
でも待てよ。
クスミが茉の動きを見てオムライスが作れるようになったってことは、オレもひょっとすると同じように作れるんじゃないか?
オレだって昨日真横で茉の動きを見ていたわけだし、手順も覚えている。
オレは自分で手先が器用だと自負するつもりはないが、初めてやったUFOキャッチャーで獲物をゲットした功績がある。
・・・ちょっと試してみるか。
幸い兄キ達はゲームをしているからしばらくは出てこないだろうし、兄キの両親も午前中で仕事が終わるなんてことはない。
だいた明日が仕事納めだから、今日も遅くまで仕事をしているはずだ。
昨日、冷蔵庫を開けた時に卵がいっぱいあったのも覚えているし、茉が他に何を準備していたかも覚えている。
よーし、やってみるか。
オレもオムライスが作れるようになれば、わざわざ時間を調整してまでえぬたまに行かなくても良くなる。
カップ麺に頼らなくても良くなる。
一石二鳥だ。
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