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3.不器用で器用なあの子
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ク、クスミが人の言葉をさえぎって物申すなんて。
あのおとなしかったクスミが・・・。
話し相手が家族か兄キで90%を占めているクスミが・・・。
オレは衝撃を受けて言葉を失ってしまった。
クスミが・・・出会った時と比べて明らかにレベルアップしている。
これは兄キの効果なのか・・・。
・・・ま、どうでもいいけど。
「あ、大声出してすみません」
どうでもいいことを律儀に謝るところがクスミらしい。
大声と言っても、小から中になったくらいで、オレには全然大声には思えないが。
「ケチャップで描いたNキャラ、ユノモトくんに見てもらいたくて・・・」
言われてオレは残った2つのオムライスを覗き込んだ。
「あ」
確かにオムライスの上にNキャラが描かれている。
きっと茉の分にも同じように描いていたのかもしれないが、オレは腹が減りすぎてそれどころじゃなく、ケチャップには目もくれず食していた。
別にオレはNキャラが好きじゃないから、描かれていたとしても大して嬉しくないし。
「だったらこれ2つ持っていって部屋で食べたらいいわ」
黙って話を聞いていた茉は立ち上がり、目ざとくお盆を見つけると素早くオムライスとお茶の入ったグラスを置いた。
さすが元えぬたま店員。
こういう動きはスムーズで無駄がない。
「クスミさん、持っていったらこう言うのよ」
お盆を手渡しながら茉はクスミにこう言った。
『ユノモトくんのために作ったから一緒に食べよう』
「おい、ちょっと待て」
作ったのは茉だろうとオレが言うのを制して、茉はとっととクスミを追い払ってしまった。
「おい」
「いいの!」
オレが再び声を荒げると、茉もそれに負けじと大声で返した。
「いいのよ」
言い切られてしまうと、オレもそこまで反論しようという気持ちは起きないのだが、もやもやした感じが残る。
「ああ言えばユノモト兄も食べなきゃって思うでしょ」
「・・・クスミに嘘つかせるつもりか?」
「何言ってんのよ。ちゃんと作業に参加したじゃない。一部でも関わったら作ったのと同じよ」
そうか?
クスミって割った卵をかき混ぜただけだったような・・・。
全体の作業の10分の1程度しか参加してないぞ?
「きっとクスミさんはユノモト兄にありがとー、おいしーとか言われると思うのよ」
「兄キが言うかな?」
「言うのよ!!そしたら嬉しくなってまた作りたいって気持ちになるはずよ」
作りたいって・・・作ったのは茉だろう。
クスミは卵をかき混ぜる作業しかしていないんだから。
「こういう気持ちが大事ね!誰かの為に何かしてあげたいと思った時がスキルアップのチャンスよ。きっとクスミさんもオムライスマスターになるわ」
何だ、その理屈。
あの不器用丸出しのクスミがオムライスを作れるようになるまでどれだけかかると思ってるんだ。
卵すらまともに割ったことがなかったのに。
「ちょっと私、様子見てくるわ」
2人の様子が気になるのか、茉は早速兄キの部屋へ行こうとしている。
「待て待て待て待て」
オレは慌てて茉を引き留めた。
「何よ、邪魔しないでよ」
「邪魔しようとしてるのはそっちだろう」
「邪魔にならないようにするわよ」
「どうやって様子を見るつもりだ」
「部屋の外からそーっと覗く感じで」
「却下」
「何でよー」
何でよー、じゃない!
兄キの天敵、メデューサが・・・いや、茉が部屋を覗いているなんて兄キが知ったら発狂するに決まっている。
あのおとなしかったクスミが・・・。
話し相手が家族か兄キで90%を占めているクスミが・・・。
オレは衝撃を受けて言葉を失ってしまった。
クスミが・・・出会った時と比べて明らかにレベルアップしている。
これは兄キの効果なのか・・・。
・・・ま、どうでもいいけど。
「あ、大声出してすみません」
どうでもいいことを律儀に謝るところがクスミらしい。
大声と言っても、小から中になったくらいで、オレには全然大声には思えないが。
「ケチャップで描いたNキャラ、ユノモトくんに見てもらいたくて・・・」
言われてオレは残った2つのオムライスを覗き込んだ。
「あ」
確かにオムライスの上にNキャラが描かれている。
きっと茉の分にも同じように描いていたのかもしれないが、オレは腹が減りすぎてそれどころじゃなく、ケチャップには目もくれず食していた。
別にオレはNキャラが好きじゃないから、描かれていたとしても大して嬉しくないし。
「だったらこれ2つ持っていって部屋で食べたらいいわ」
黙って話を聞いていた茉は立ち上がり、目ざとくお盆を見つけると素早くオムライスとお茶の入ったグラスを置いた。
さすが元えぬたま店員。
こういう動きはスムーズで無駄がない。
「クスミさん、持っていったらこう言うのよ」
お盆を手渡しながら茉はクスミにこう言った。
『ユノモトくんのために作ったから一緒に食べよう』
「おい、ちょっと待て」
作ったのは茉だろうとオレが言うのを制して、茉はとっととクスミを追い払ってしまった。
「おい」
「いいの!」
オレが再び声を荒げると、茉もそれに負けじと大声で返した。
「いいのよ」
言い切られてしまうと、オレもそこまで反論しようという気持ちは起きないのだが、もやもやした感じが残る。
「ああ言えばユノモト兄も食べなきゃって思うでしょ」
「・・・クスミに嘘つかせるつもりか?」
「何言ってんのよ。ちゃんと作業に参加したじゃない。一部でも関わったら作ったのと同じよ」
そうか?
クスミって割った卵をかき混ぜただけだったような・・・。
全体の作業の10分の1程度しか参加してないぞ?
「きっとクスミさんはユノモト兄にありがとー、おいしーとか言われると思うのよ」
「兄キが言うかな?」
「言うのよ!!そしたら嬉しくなってまた作りたいって気持ちになるはずよ」
作りたいって・・・作ったのは茉だろう。
クスミは卵をかき混ぜる作業しかしていないんだから。
「こういう気持ちが大事ね!誰かの為に何かしてあげたいと思った時がスキルアップのチャンスよ。きっとクスミさんもオムライスマスターになるわ」
何だ、その理屈。
あの不器用丸出しのクスミがオムライスを作れるようになるまでどれだけかかると思ってるんだ。
卵すらまともに割ったことがなかったのに。
「ちょっと私、様子見てくるわ」
2人の様子が気になるのか、茉は早速兄キの部屋へ行こうとしている。
「待て待て待て待て」
オレは慌てて茉を引き留めた。
「何よ、邪魔しないでよ」
「邪魔しようとしてるのはそっちだろう」
「邪魔にならないようにするわよ」
「どうやって様子を見るつもりだ」
「部屋の外からそーっと覗く感じで」
「却下」
「何でよー」
何でよー、じゃない!
兄キの天敵、メデューサが・・・いや、茉が部屋を覗いているなんて兄キが知ったら発狂するに決まっている。
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