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2.メリーバースデー
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前の日に食べた物を忘れていることもあるのに、数ヶ月前に店で食べた時の皿を思い出せだって!?
皿・・・皿・・・確かえぬたまで出される皿は3つ並んだ卵イラストが縁の上下にプリントされているんだった。
その辺りにMの文字・・・。
記憶をたどりながら、おぼろげではあるがオムライスが運ばれてきた時の情景を思い出すことができた。
皿が置かれて、食べようとスプーンを取って、オムライスを一口分すくって、その時皿には・・・。
赤・・・赤い何か・・・。
赤い何かが皿の縁にあったような気がする。
Mかどうかまでは思い出せないが、皿に何か付いていたのは思い出せた。
「何か付いていたような気もするけど、Mだったかどうかまでは覚えてないな」
「ケチャップだったでしょ?」
「うーん、多分」
オムライスの上にはえぬたまのイラスト。
卵が真ん中でヒビ割れているものがケチャップで描かれている。
だからそのケチャップの出し方を失敗して皿の縁に付けてしまったのか、なんて思ったことがあるから、ケチャップだったと認識していたことは確かだ。
「だったらそれは私が作ったやつよ。他はオムライスの上以外にケチャップ付けないもの」
「・・・・・・・・・」
と、いうことはオレは夏休みにわざわざ店に行って茉が作ったオムライスを食べに行っていたということか。
「金返せ」
「嫌よ。おいしくいただいたなら誰が作っても一緒でしょ?」
「一緒なわけないだろ。オレは素人が作った飯に500円も払うつもりはない」
っていうか、このセリフさっき言った!!
この時は、あれだ。
えぬたまという店にいるという店フィルターがかかっている上に、お腹が空いているから何を食べてもおいしく感じてしまうという錯覚が混ざって、普段食べているオムライスがどうかの判断が鈍ってしまったんだ。
きっとそうだ。
「じゃあ今からもう1回作ってあげるわよ。タダで作ってあげる。それで今までの分はチャラ。どう?」
「どう?って・・・」
なんという強引なまとめ方なんだ。
人を騙しておいて自分は何も悪くないといった感じの開き直りよう。
怒りを通り越して呆れたところにオレのお腹がぐうと鳴った。
好物のオムライス話にお腹は既に限界だ。
こんなしょうもない話でエネルギーを費やしている場合ではない。
エネルギーを補給せねば。
「わかったよ。もう何でもいいからオムライス作ってくれ」
半ば投げやりに事を任せてオレはドアを開けた。
よく考えたら鍵を持っているからすぐに入れたんだった。
なのに外で話し込んでいたからすっかり体が冷えてしまった。
家の中から暖かい空気が出迎えてくれる。
と、同時に兄キの叫び声も飛び込んできた。
「ギャーやられるー」
その途端、茉の表情が歪んだ。
茉は兄キ達があの後、ゲームをしていることを知らないのだ。
「うおー」
止まらない兄キの叫び声。
きっと中ボスに手こずっているのだろう。
「何?あれ」
怪訝な表情のまま、茉が尋ねる。
「中で何が・・・」
「クスミっちー!もっとそっち攻めてー!もっともっとー!!」
茉の質問も兄キの叫び声に消されてしまう。
ゲームだと知らなければ何かいかがわしいことでもしているんじゃないかと疑うような内容だ。
茉もそう思っているのか、表情はますます険しくなる。
皿・・・皿・・・確かえぬたまで出される皿は3つ並んだ卵イラストが縁の上下にプリントされているんだった。
その辺りにMの文字・・・。
記憶をたどりながら、おぼろげではあるがオムライスが運ばれてきた時の情景を思い出すことができた。
皿が置かれて、食べようとスプーンを取って、オムライスを一口分すくって、その時皿には・・・。
赤・・・赤い何か・・・。
赤い何かが皿の縁にあったような気がする。
Mかどうかまでは思い出せないが、皿に何か付いていたのは思い出せた。
「何か付いていたような気もするけど、Mだったかどうかまでは覚えてないな」
「ケチャップだったでしょ?」
「うーん、多分」
オムライスの上にはえぬたまのイラスト。
卵が真ん中でヒビ割れているものがケチャップで描かれている。
だからそのケチャップの出し方を失敗して皿の縁に付けてしまったのか、なんて思ったことがあるから、ケチャップだったと認識していたことは確かだ。
「だったらそれは私が作ったやつよ。他はオムライスの上以外にケチャップ付けないもの」
「・・・・・・・・・」
と、いうことはオレは夏休みにわざわざ店に行って茉が作ったオムライスを食べに行っていたということか。
「金返せ」
「嫌よ。おいしくいただいたなら誰が作っても一緒でしょ?」
「一緒なわけないだろ。オレは素人が作った飯に500円も払うつもりはない」
っていうか、このセリフさっき言った!!
この時は、あれだ。
えぬたまという店にいるという店フィルターがかかっている上に、お腹が空いているから何を食べてもおいしく感じてしまうという錯覚が混ざって、普段食べているオムライスがどうかの判断が鈍ってしまったんだ。
きっとそうだ。
「じゃあ今からもう1回作ってあげるわよ。タダで作ってあげる。それで今までの分はチャラ。どう?」
「どう?って・・・」
なんという強引なまとめ方なんだ。
人を騙しておいて自分は何も悪くないといった感じの開き直りよう。
怒りを通り越して呆れたところにオレのお腹がぐうと鳴った。
好物のオムライス話にお腹は既に限界だ。
こんなしょうもない話でエネルギーを費やしている場合ではない。
エネルギーを補給せねば。
「わかったよ。もう何でもいいからオムライス作ってくれ」
半ば投げやりに事を任せてオレはドアを開けた。
よく考えたら鍵を持っているからすぐに入れたんだった。
なのに外で話し込んでいたからすっかり体が冷えてしまった。
家の中から暖かい空気が出迎えてくれる。
と、同時に兄キの叫び声も飛び込んできた。
「ギャーやられるー」
その途端、茉の表情が歪んだ。
茉は兄キ達があの後、ゲームをしていることを知らないのだ。
「うおー」
止まらない兄キの叫び声。
きっと中ボスに手こずっているのだろう。
「何?あれ」
怪訝な表情のまま、茉が尋ねる。
「中で何が・・・」
「クスミっちー!もっとそっち攻めてー!もっともっとー!!」
茉の質問も兄キの叫び声に消されてしまう。
ゲームだと知らなければ何かいかがわしいことでもしているんじゃないかと疑うような内容だ。
茉もそう思っているのか、表情はますます険しくなる。
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