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2.メリーバースデー
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「・・・かわいそうだから何か作ってあげるわ」
だから何でそうなる。
オレはカップ麺に対しての不満など一言も口にしていないのに。
「・・・卵かけご飯くらいならオレも作れるぞ」
何も作れないと言いつつ、これくらいならオレでも作れる。
卵を割るくらい何てない。
ラーメンに使用することもあるくらいだし。
「それは料理って言わないわよ」
「え!?」
卵かけご飯って料理じゃなかったのか。
ご飯をよそって卵を割って入れて、出汁醤油をかけてって、手間暇かかっているのに。
「卵使うならオムライスくらい作れたら料理って言うけど」
「オムライス?そんなの無理無理」
フライパンの中でいろんなものがごちゃまぜになって終わりだ。
原型をとどめない何かがフライパンの中で湯気上がっているのが容易に想像できる。
「・・・オムライス作れんの?」
ふとした疑問が口に出る。
実はオムライスはオレの大好物だったりする。
「作れるわよ」
その答えにオレの期待は高まった。
「オムライスってあれだぞ?ケチャップライスを卵にくるんでるーーー」
「知ってるわよ。バカにしてるの?」
いや、そういうつもりではないんだが。
念の為だ、一応。
「食べたことないの?」
「あるよ。バカにしてんのか」
「さっきのお返しよ」
さりげなく仕返ししてくるところが負けず嫌いの茉らしい。
「作ってあげようか?」
「え!?」
茉の提案に思った以上の大声が出た。
まずい、まずい『冷静沈着な一真』で通っているのにイメージが崩れてしまう。
しかしそれほどオレはオムライスが大好物なのだ。
「悪いがオムライスは駅前の『えぬたま』と決めているんだ。あそこのふわとろ半熟オムライスはオレの中で人気ナンバーワンだからな」
この街にある唯一のオムライス専門店。
それが駅前にある『えぬたま』だ。
そこの看板メニューとも言えるふわとろ半熟オムライスは、リピートメニューNo.1に挙げられるくらい人気が高い。
オレも1度それを食してから、オムライスはこれしか考えられないと言えるほどハマってしまっている。
別の店で同じメニューを頼んでも、ここで初めて食べた時の感動は味わえない。
「作れるわよ、私」
茉がさも当たり前といった感じに答える。
「作れるってお前、えぬたまのふわとろ半熟オムライスはそう簡単に作れるもんじゃないぞ?」
食べようとスプーンを入れた時に卵の中から登場する半熟卵。
ケチャップライスもそれに合うように味付けされている。
ライスも何だか柔らかいんだ。
だから食べた瞬間、ふわっとした感触になる。
このプロの仕事を茉ができるわけがない。
豪語するのは内々だけにしてもらいたい。
「作れるって」
しかし茉は折れる様子を見せない。
オレの言葉に反発するように少し怒りがこもっている。
負けず嫌いもここまでくればタチが悪い。
「夏休みにえぬたまでそれ、食べた?」
「何だいきなり。・・・夏休み?」
「質問してるのはこっちよ。夏休みに1度でもえぬたまにオムライス食べに行ったことあるの?」
「・・・あぁ、あるよ。お盆を過ぎてからは4日に1回のペースで食べに行ってた。セットじゃなく単品なら500円だしな」
「何時頃?」
「そりゃ昼時だよ。混んでる時間を避けてたから、閉店ギリギリの14時に行くことが多かったな」
店の営業時間は11時~15時だ。
オムライス専門店は女性客が多いので、昼時は男性よりも女性の比率の方が高くなる。
そうなるとオレも居心地が悪いので、あえてその時間を避けて行っていた。
だから何でそうなる。
オレはカップ麺に対しての不満など一言も口にしていないのに。
「・・・卵かけご飯くらいならオレも作れるぞ」
何も作れないと言いつつ、これくらいならオレでも作れる。
卵を割るくらい何てない。
ラーメンに使用することもあるくらいだし。
「それは料理って言わないわよ」
「え!?」
卵かけご飯って料理じゃなかったのか。
ご飯をよそって卵を割って入れて、出汁醤油をかけてって、手間暇かかっているのに。
「卵使うならオムライスくらい作れたら料理って言うけど」
「オムライス?そんなの無理無理」
フライパンの中でいろんなものがごちゃまぜになって終わりだ。
原型をとどめない何かがフライパンの中で湯気上がっているのが容易に想像できる。
「・・・オムライス作れんの?」
ふとした疑問が口に出る。
実はオムライスはオレの大好物だったりする。
「作れるわよ」
その答えにオレの期待は高まった。
「オムライスってあれだぞ?ケチャップライスを卵にくるんでるーーー」
「知ってるわよ。バカにしてるの?」
いや、そういうつもりではないんだが。
念の為だ、一応。
「食べたことないの?」
「あるよ。バカにしてんのか」
「さっきのお返しよ」
さりげなく仕返ししてくるところが負けず嫌いの茉らしい。
「作ってあげようか?」
「え!?」
茉の提案に思った以上の大声が出た。
まずい、まずい『冷静沈着な一真』で通っているのにイメージが崩れてしまう。
しかしそれほどオレはオムライスが大好物なのだ。
「悪いがオムライスは駅前の『えぬたま』と決めているんだ。あそこのふわとろ半熟オムライスはオレの中で人気ナンバーワンだからな」
この街にある唯一のオムライス専門店。
それが駅前にある『えぬたま』だ。
そこの看板メニューとも言えるふわとろ半熟オムライスは、リピートメニューNo.1に挙げられるくらい人気が高い。
オレも1度それを食してから、オムライスはこれしか考えられないと言えるほどハマってしまっている。
別の店で同じメニューを頼んでも、ここで初めて食べた時の感動は味わえない。
「作れるわよ、私」
茉がさも当たり前といった感じに答える。
「作れるってお前、えぬたまのふわとろ半熟オムライスはそう簡単に作れるもんじゃないぞ?」
食べようとスプーンを入れた時に卵の中から登場する半熟卵。
ケチャップライスもそれに合うように味付けされている。
ライスも何だか柔らかいんだ。
だから食べた瞬間、ふわっとした感触になる。
このプロの仕事を茉ができるわけがない。
豪語するのは内々だけにしてもらいたい。
「作れるって」
しかし茉は折れる様子を見せない。
オレの言葉に反発するように少し怒りがこもっている。
負けず嫌いもここまでくればタチが悪い。
「夏休みにえぬたまでそれ、食べた?」
「何だいきなり。・・・夏休み?」
「質問してるのはこっちよ。夏休みに1度でもえぬたまにオムライス食べに行ったことあるの?」
「・・・あぁ、あるよ。お盆を過ぎてからは4日に1回のペースで食べに行ってた。セットじゃなく単品なら500円だしな」
「何時頃?」
「そりゃ昼時だよ。混んでる時間を避けてたから、閉店ギリギリの14時に行くことが多かったな」
店の営業時間は11時~15時だ。
オムライス専門店は女性客が多いので、昼時は男性よりも女性の比率の方が高くなる。
そうなるとオレも居心地が悪いので、あえてその時間を避けて行っていた。
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