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2.メリーバースデー
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あ!と気づいた時には遅かった。
ドアが閉まると同時にガチャッと鍵をかける音が耳に響いた。
「兄キ!!開けろ!開けてくれ!」
オレが外から必死に懇願するも、兄キは全く聞き耳を持たない。
それどころか
「何かえぬえぬクエストの話してたらやりたくなってきたな。久々にプレイすっか、クスミっち」
と言いつつ、オレを残してとっとと自分の部屋へ退散したようだ。
なんて薄情なやつなんだ。
っていうか、そもそもオレ、クスミの足踏んでないし。
「ふっふっふっふっ」
突然奇妙な笑い声が聞こえてきたと思ったら、それは茉だった。
外に2人でいるのだから当たり前だ。
オレはそんな人間離れした笑い方はしない。
嫌な予感を抱きつつ、茉を盗み見る。
怒っているのか笑っているのかよくわからない表情をしていた。
もしかしたらしばらく放置されて、気が狂ってしまったのかもしれない。
「散々待たせてくれたわね。体が冷え切ってしまったわよ」
「それは悪かったな」
見る限り、そんな寒そうな格好を茉はしていない。
頭は帽子を被っているし、丈の長いコートを着ているし、足はブーツだ。
さっき外から帰ってきて、軽装になったオレの方がきっと寒い。
このままここにいると風邪を引いてしまいそうだ。
「何なんだよ、一体。冬休みまで家に押しかけてきて」
「あら、なぁに?クスミさんは歓迎するのに私は歓迎されないの?」
「クスミは兄キの彼女だから家に来てもおかしくないだろ」
「私だって似たようなもんじゃない。私は来ちゃダメなの?」
「ダメだな」
「何でよー!差別しないでよー!」
別にクスミだから、とか茉だから、とかそういうことで区別しているわけではないのだが。
「茉は兄キじゃなくてオレに用があるんだろ?」
「そうよ。ユノモト兄に用なんてないわよ。あったこと1度もないわ」
違うクラスだから当たり前かもしれないが、扱い悪いな。
「あのなー、ここは兄キの家であってオレの家じゃないんだよ」
「知ってるわよ。居候してるんでしょ?」
相変わらず何でもご存知で。
オレはこの高校に合格した時、兄キの家に居候することを条件に入学を許可してもらったのだ。
オレが受験生だった中学3年生の頃、父親に他県への異動話が出ており、全く知らない土地で高校生活をスタートするのが嫌だったオレは、兄キと同じ高校へ進学することを決めた。
兄キと同じ高校であれば一人暮らしを許可してもらえると思ったのだ。
しかし金銭的なことと、世の物騒さを心配した母親から兄キの家に居候する話を持ちかけられ、それをOKしなければ入学を取り消すと言われた。
そこで居候を選んだ結果、今に至る。
元々兄キの家とオレの家とはそれほど離れておらず、中学も一緒だった。
中学3年間は同じクラスになったことがなかった為、一緒に行動するようになったのは高校に入学してからだ。
中学の時まで住んでいた家は、父親の異動とともに売り払われており、オレの家はと言うと父親の異動先の県に行かないとない。
行ったのは引っ越しの時くらいだから、場所も曖昧にしか覚えていない。
住所はメモしてあるから、行こうと思えばいつでも行けるのだが。
ドアが閉まると同時にガチャッと鍵をかける音が耳に響いた。
「兄キ!!開けろ!開けてくれ!」
オレが外から必死に懇願するも、兄キは全く聞き耳を持たない。
それどころか
「何かえぬえぬクエストの話してたらやりたくなってきたな。久々にプレイすっか、クスミっち」
と言いつつ、オレを残してとっとと自分の部屋へ退散したようだ。
なんて薄情なやつなんだ。
っていうか、そもそもオレ、クスミの足踏んでないし。
「ふっふっふっふっ」
突然奇妙な笑い声が聞こえてきたと思ったら、それは茉だった。
外に2人でいるのだから当たり前だ。
オレはそんな人間離れした笑い方はしない。
嫌な予感を抱きつつ、茉を盗み見る。
怒っているのか笑っているのかよくわからない表情をしていた。
もしかしたらしばらく放置されて、気が狂ってしまったのかもしれない。
「散々待たせてくれたわね。体が冷え切ってしまったわよ」
「それは悪かったな」
見る限り、そんな寒そうな格好を茉はしていない。
頭は帽子を被っているし、丈の長いコートを着ているし、足はブーツだ。
さっき外から帰ってきて、軽装になったオレの方がきっと寒い。
このままここにいると風邪を引いてしまいそうだ。
「何なんだよ、一体。冬休みまで家に押しかけてきて」
「あら、なぁに?クスミさんは歓迎するのに私は歓迎されないの?」
「クスミは兄キの彼女だから家に来てもおかしくないだろ」
「私だって似たようなもんじゃない。私は来ちゃダメなの?」
「ダメだな」
「何でよー!差別しないでよー!」
別にクスミだから、とか茉だから、とかそういうことで区別しているわけではないのだが。
「茉は兄キじゃなくてオレに用があるんだろ?」
「そうよ。ユノモト兄に用なんてないわよ。あったこと1度もないわ」
違うクラスだから当たり前かもしれないが、扱い悪いな。
「あのなー、ここは兄キの家であってオレの家じゃないんだよ」
「知ってるわよ。居候してるんでしょ?」
相変わらず何でもご存知で。
オレはこの高校に合格した時、兄キの家に居候することを条件に入学を許可してもらったのだ。
オレが受験生だった中学3年生の頃、父親に他県への異動話が出ており、全く知らない土地で高校生活をスタートするのが嫌だったオレは、兄キと同じ高校へ進学することを決めた。
兄キと同じ高校であれば一人暮らしを許可してもらえると思ったのだ。
しかし金銭的なことと、世の物騒さを心配した母親から兄キの家に居候する話を持ちかけられ、それをOKしなければ入学を取り消すと言われた。
そこで居候を選んだ結果、今に至る。
元々兄キの家とオレの家とはそれほど離れておらず、中学も一緒だった。
中学3年間は同じクラスになったことがなかった為、一緒に行動するようになったのは高校に入学してからだ。
中学の時まで住んでいた家は、父親の異動とともに売り払われており、オレの家はと言うと父親の異動先の県に行かないとない。
行ったのは引っ越しの時くらいだから、場所も曖昧にしか覚えていない。
住所はメモしてあるから、行こうと思えばいつでも行けるのだが。
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